僕の家の祠の下

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二人の秘密

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 途端、体が動くようになり、遼が後ろに尻もちをつく。

「どうしよう。僕たち、こんなの見つけて」

 呆然と呟く遼の横で、光太郎が地面を素手で埋め直す。

「光太郎ッ」
「祠を戻そう」
「でも」
「戻すぞ」

 遼もそれ以上何も言わず、黙々と作業を終わらせた。

 土で汚れた手を払い、元どおりになった祠を見つめる。

「これ、死体遺棄になるがか?」
「元からあったき、何の罪にもならん。多分」
「多分、かぁ」

 目線の先には祠がある。先ほどは無残な姿であったが、今はもうその面影は無い。黙っていれば、誰にも叱られない。二人は顔を見合わせた。

「秘密にしよう」
「うん。俺が祠をぶっ壊したなんて言ったら、母ちゃんブチ切れて大変なことになる」
「たしかに。光太郎のお母さん怖いき」

 ようやく遼に笑みが戻る。

 してはいけないことをし、そこから人の腕が出た。大事件だ。しかし、黙っていれば、二人には関係のない話。

「それにしても、祠の下に死体があるのは驚いた」
「まっこと驚いたねや。祠って何かを祀っちゅうがか?」
「知らん」
「俺も。今まで祠に興味持ったことなかった」

 遼がちらりと祠を見遣る。そして、あることに気が付いた。

「なんで、これ、骨じゃないがか」

 呟いた言葉に光太郎も振り向く。

「どういうこと?」
「ずっと昔のことなら、もうとっくに肉は無くなって骨になるがよ」

 光太郎は目を見開いて固まった。視線の先には祠がある。今は埋めてしまって見えなくなっているが、その下には腕があるはずだ。

「最近、誰かが埋めたとか?」
「いや、地面は硬かった。ずっと掘り起こされていないと思う」
「なら……」

 光太郎が遼の左腕を掴み、祠から距離を取った。

「何も見なかった。な?」

 それに遼も頷く。

「うん。幸いここは裏庭やき、こっちまで来なければ祠を見ることもない」
「そうそう。大丈夫」
「僕と光太郎の秘密」
「うん。また明日」

 サッカーボールを持ち、光太郎が帰っていく。遼も後ろを見ることなく家に入った。

 玄関はまだ九月だと言うのにひんやりとしていた。この家は真夏でも涼しく、どこからか風が吹いてくるのだ。子どもの頃は窓でも開いているのかと思い、家中を探し回ったが、それらしき“空気穴”は見当たらなかった。

 そんなことも気にしなくなって数年、久しぶりに周囲を警戒しながら自室に入る。祖父は午後まで囲碁会に出かけている。光太郎さえ言わなければ、このことは二人だけで完結することだ。

 ピンポーン。

「あれ」

 今日宅配便が届く予定は聞いていない。親や祖父であれば鍵を持っている。不思議に思いながらも玄関に向かうと、玄関のドア越しに人の頭が見えた。
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