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後悔
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コンコン。
急なノック音に遼の体が跳ねた。続けて声が聞こえる。
「ただいま」
「ああ、なんだ。おかえり」
母だった。ほっと胸を撫で下ろし、ベッドから起き上がる。テーブルに置きっぱなしにしていたスマートフォンを確認すれば、光太郎から明日の宿題について質問が届いていた。
「お母さんがいない時誰か来たが?」
「誰も!」
「そう」
母の足音が遠のく。光太郎に適当に返信をしてスマートフォンを机に置いた。
「なんで僕のところばっかり」
窓を見遣る。もう陽は傾き始めていた。妙に赤い気がするのは、きっと今日よく晴れていたからだ。遼は首を振ってカーテンを閉めた。
壊したのは光太郎だが、祠は小原家の庭にある。やはり、そこが問題なのだろうか。それならば、ここに住んでいる以上逃れられないことになる。今すぐにでもあの記憶をどっかに放り投げたい。祠が家に無ければよかったのに。後悔ばかりが襲ってくる。
やがて祖父と父も帰宅した。夕食の時間になり、リビングに向かう。祖父の顔を見て一瞬顔が強張ったが、昼間の出来事を話す気にはなれなかった。
「いただきます」
好きなはずのしょうが焼きの味がしない。機械的に喉に押し込んで、ソファでテレビを観ることなく自室に戻った。母たちは遼の様子に気付きもせず、世間話を続けていた。
自室にいても落ち着かず、チラチラ窓の方を向いてしまう。そのたびに背中がぞくぞくして、何故だか哀しい気持ちになった。
「もう寝よう」
明日の学校の準備は終わっている。遼は家族がにぎやかなうちに風呂に入り、歯を磨いて早々にベッドへと飛び込んだ。まだ暑い日が続くが、薄手の毛布を足先までかけて横になる。スマートフォンを操作して流行りの曲を適当に流し、眠気がくるのを待った。
「羊が一匹、羊が二匹……うう……」
右に左に寝返りを打ち続け、二十二時を回る頃、ようやく眠りの底に着いた。耳の向こう側から曲は続いている。そこに混ざって、何か鈴のような音が聞こえた。
りん。
り──……ん。
『…………ます~』
急なノック音に遼の体が跳ねた。続けて声が聞こえる。
「ただいま」
「ああ、なんだ。おかえり」
母だった。ほっと胸を撫で下ろし、ベッドから起き上がる。テーブルに置きっぱなしにしていたスマートフォンを確認すれば、光太郎から明日の宿題について質問が届いていた。
「お母さんがいない時誰か来たが?」
「誰も!」
「そう」
母の足音が遠のく。光太郎に適当に返信をしてスマートフォンを机に置いた。
「なんで僕のところばっかり」
窓を見遣る。もう陽は傾き始めていた。妙に赤い気がするのは、きっと今日よく晴れていたからだ。遼は首を振ってカーテンを閉めた。
壊したのは光太郎だが、祠は小原家の庭にある。やはり、そこが問題なのだろうか。それならば、ここに住んでいる以上逃れられないことになる。今すぐにでもあの記憶をどっかに放り投げたい。祠が家に無ければよかったのに。後悔ばかりが襲ってくる。
やがて祖父と父も帰宅した。夕食の時間になり、リビングに向かう。祖父の顔を見て一瞬顔が強張ったが、昼間の出来事を話す気にはなれなかった。
「いただきます」
好きなはずのしょうが焼きの味がしない。機械的に喉に押し込んで、ソファでテレビを観ることなく自室に戻った。母たちは遼の様子に気付きもせず、世間話を続けていた。
自室にいても落ち着かず、チラチラ窓の方を向いてしまう。そのたびに背中がぞくぞくして、何故だか哀しい気持ちになった。
「もう寝よう」
明日の学校の準備は終わっている。遼は家族がにぎやかなうちに風呂に入り、歯を磨いて早々にベッドへと飛び込んだ。まだ暑い日が続くが、薄手の毛布を足先までかけて横になる。スマートフォンを操作して流行りの曲を適当に流し、眠気がくるのを待った。
「羊が一匹、羊が二匹……うう……」
右に左に寝返りを打ち続け、二十二時を回る頃、ようやく眠りの底に着いた。耳の向こう側から曲は続いている。そこに混ざって、何か鈴のような音が聞こえた。
りん。
り──……ん。
『…………ます~』
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