青い春

kikusuke

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第3話 告げる

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いつもの朝、いつものようにご飯を食べるが私は緊張していた。

いよいよ今日は羽月くんの空手の全国大会をかけた戦いの日である。

どうしよう…私が緊張して食パンが喉を通らない…

(母)「大丈夫よ、友達なら勝てるわ。夕が緊張してたらその友達にも緊張が伝わってしまうわよ」

(夕)「それはだめ!絶対だめ!」

(母)「ならいつものように笑顔で応援してあげなさい。」

(夕)「すーはー…よしっ!じゃ行ってくる!」

(母)「気をつけてね?夏弥ちゃんによろしくね?」

(夕)「わかった!」

(父)「なに?今日何かあるのか?」

(母)「あなた知らないの?」

(父)「何も聞いてないよ?夕はどこに?友達と出かけるのか?」

(母)「今日学校の友達が空手をやっていて大会にでるんですって。その応援に呼ばれて夕と夏弥ちゃんが。」

(父)「そうだったのか!いやぁ凄いな今の子は。女の子でも空手をやるとは!」

(母)「え?女の子じゃないわよ?」

(父)「な!なに!?」

(母)「なるほど…ふふ…夕も立派な"女の子"なのね。とうとうパパに内緒にしてしまうようになったのね。」

(父)「み、、、認めんぞ!まだ早いぞ!夕ーーーーー!!!!」

父の叫び声は虚しいことに朝の空と雀だけが聞いていた。

なっちゃんと待ち合わせの場所に到着した。少し早かったかな?

(夏弥)「夕~おはよ~~」

(夕)「おはよ!なっちゃん!凄く眠そうだね」

(夏弥)「うん~前の宿題やるの忘れてて先生に怒られたから家でずっとやってた」

(夕)「あ~前に言ってたのやっと出てきたの?失くしたって言ってたけど?」

(夏弥)「そうそう…出てきたの嬉しすぎて先生にもう期限切れみたいなもんだからやらなくていいですよね?って聞いたらいや…やれよ、って怒られました」

(夕)「なっちゃん…なんでわざわざ言いに言ったの」

(夏弥)「もう時効かな…と」

(夕)「先生そんな甘くないの知ってるでしょ?いつも怒られる時も厳しいじゃない」

(夏弥)「うぅ…おっしゃる通りです…」

シュンとなって肩をあからさまに落とすなっちゃんに私は

(夕)「どこまで出来た?」

(夏弥)「まだ…半分ぐらいしか…」

(夕)「羽月くんの大会見終わったら私手伝うよ」

(夏弥)「えぇ!本当!?」

(夕)「うんっ!なっちゃんがいなかったらこうして今日羽月くんの試合見に行けなかったかもしれないから」

実際そうなったような気がするのである。

何故なら父には今日のことを全く伝えてないのである。

今頃ママから聞いて叫んでいるんだろうなーっと思った。

(夏弥)「本当に夕は出来た子だよね~もう感謝感謝」

そう言ってなっちゃんは私に手を合わせ合掌している。

これには流石に恥ずかしくなって

(夕)「おっ大袈裟だよ!ほら!バス来たから早く乗って行こう!」

(夏弥)「あっほんとだ。じゃあ愛しの羽月の待つ所へ行きますか!」

(夕)「愛しの!?もぉ!なっちゃんっ」

(夏弥)「あはははは!ごめんごめん!羽月の方がぞっこんだもんね?」

(夕)「いやっそうじゃなくて~」

(夏弥)「照れるな照れるな。ほらほら足気をつけて」

(夕)「もぉ!言いたいだけ言って上手いことすり抜けるんだからいつも」

(夏弥)「いざしゅっぱーーーつ!」

なっちゃんの掛け声と共にバスも動き出した。

◆❖◇◇❖◆

会場に着いた。

周りには柔道着?みたいな服を着た男女がいっぱいらしい。

服は見えないけど確かにこんなに大勢の声は生まれて初めて聞いたかも。

(夏弥)「す、凄い人の量だね…はは」

(夕)「う、うん…凄そうだね、これは」

2人ではははと苦笑いしながら会場の入口まで来ていた。

会場に近づけば近づくほど階段が多い。

私には崖を登っているみたく大変だ。

(夏弥)「階段沢山あるから気をつけて、ほら手に捕まって」

(夕)「ありがとう。よいしょ…あっ!!!」

ドンっと何かにぶつかった。

この感触はもう分かる。人だ。

(夕)「ごっごめんなさい!怪我はありませんか??」

(空手選手A)「いってーな!どこ見てんだよ!」

(夕)「ひっ…!!本当にごめんなさい…悪気はなくて…」

あまりの大きな声にびっくりしてしまった。

(夏弥)「ちょっと!そんな強く言わなくてもいいでしょ!こっちだってわざとじゃないんだから!」

(空手選手A)「いや普通ぶつからないから。どこに目をつけてんだよ、あんた」

(夕)「私目が見えなくて…その…いつも心がけているのに申し訳ありません。」

(空手選手A)「目が見えない?ならもうちょっと自分のこと分かっとけよな。目が見えないのなら見えないなりの努力があるだろう。こんな大勢が行き来する中にお前のような奴がいると正直通行の邪魔。迷惑なんだよ。考えろ」

(夕)「……」

(夏弥)「取り消しなさい。今言ったことを。」

(空手選手A)「はぁ?なに?聞こえなかった~」

(夏弥)「取り消しなさいって言ったのよ!この子に目が見えないから邪魔って言ったことを!取り消しなさい!早く!」

ドンと何かを叩く音が聞こえた。

(夕)「なっ…なっちゃん!もういいよ!大丈夫っ私は大丈夫だから!ね??行こう?」

(夏弥)「全然良くない!何にも良くない!待ってて。私が話つけてくるから!」

(空手選手A)「いってぇーな!てめぇ!舐めてんのか!」

(夕)「だめっ!なっちゃんを傷つけるのはだめ!お願い!」

そう言っていた時にはもう身体が勝手に動いてなっちゃんの前に立っていた

(夏弥)「夕…!危ない!」

なんとなく分かっていた。どこかでいつかこんなことは起こると。分かっていたのに今までの自分の努力を全部無駄だと言われている気がして殴られるのを覚悟で譲れなかった。

ぎゅっと目を閉じて痛みを待っていると…ん?痛みが来ない?

恐る恐る目を開けると

さっきの人はぐったりとなっていた。

どうしたのだろう。倒れたのかな?持病とか持っていたのかな?何か分かるのもがあるかもと思い地面を触ろうとした。

するとなにかがっしりした物に触れた

ん?これなに?

さわさわ色んなところを触った。

これは…腕?凄く鍛えられている…

お腹かな?凄い、、これシックスパックってやつ?

初めて触った…

ふーーーーむと考えているとなっちゃんの声がやっと頭に入ってきた

(夏弥)「はっ羽月!!」

(夕)「えっ!?」

(羽月)「けっ怪我ないか?」

(夕)「羽月くん!?ごめん!色んなところ触ってしまった!」

(羽月)「いや、俺こそ声も出さず突っ立っていてごめん…」

恥ずかしくて死にそう。誰か穴掘ってっ!

(羽月)「無事で良かった」

羽月くんはそう言って私の手を自分の頬へと連れて行った。

照れてるのかな?こっちまで照れる。

(夏弥)「あの~アツアツなところすいませんがね~」

(羽月・夕)「あっ…!」

お互いすぐに距離を取り夏弥の話を聞いた。

(夏弥)「コホン…まず、羽月どこから現れたの!?」

(羽月)「さっき会場に着いて仲間が誰かと揉めているって聞いて」

(夏弥)「それで来てくれたのね。」

(羽月)「あぁ…その揉めていたやつは俺の空手道場の仲間だよ」

(夏弥)「そうなの!?こいつ夕がぶつかったって言って目が見てないから邪魔だ。って言ったの!」

(羽月)「ちょっと待ってろ」

羽月くんは持っていたバックの中からスポーツ飲料をだして伸びている仲間の男の子の口にゴボゴボと入れた

(空手選手A)「ゲホッオエッ!」

(羽月)「起きたか。いつまでぼさっと寝てんだよ」

(空手選手A)「羽月…てめぇ…」

(羽月)「お前のことは後で相手してやるから。それよりお前のこの2人に謝れ。特に磨波城にだ。」

(空手選手A)「…俺は間違ったことは言ってない…」

(羽月)「…霧島…お前は根っからの空手バカだって分かってるしこの大舞台だ。いつもより気が立っているのも分かる。だが、それが何だ。お前言ったことは誰が聞いても間違っていると思ってるよ。周りを見てみろ」

そういって霧島くんと言う子は周りを見渡したのだろう。

それはだめだろうと言う白い目の応酬だった。

(霧島)「…悪かった」

(夕)「大丈夫ですよ、謝ってくれてありがとうございます。そりゃ気も立ってますよね。こちらも真ん中を通ってすいませんでした。」

(夏弥)「夕はまた謝ってる!謝らなくていいの!私も一言霧島?くんにいいかな?」

(霧島)「な、なんだよ」

(夏弥)「本当に心から謝っているかはどうか不明だけど…とりあえず謝ったことで勘弁してあげる。ただし二度と目が見えないから邪魔言わないで。分かった?夕だって好きで目が見えないのを選んだのではない。分かったような口で夕の苦しみを言わないで。」

(霧島)「…わかった」

(羽月)「霧島も反省したことだし磨波城も許してくれてるし…古河許してやってくれ」

(夏弥)「分かってるわよ!」

ふんっと言ってそっぽを向いたであろうなっちゃんを合図に霧島くんは会場の中へと入っていった。

(羽月)「本当にごめん!磨波城に辛い思いさせちゃって…」

(夕)「もう本当に大丈夫だよ。それより試合への意気込みは?」

(羽月)「あぁバッチリだよ、朝食べてきたおにぎりがいい感じに腹ん中で整ってきた」

(夕)「そっか!」

「只今より…第50回神奈川県小学生空手選手権大会を開催致します。選手の皆さん会場へ速やかに集まってください。」

(羽月)「俺行かなくちゃ!」

(夕)「頑張って!応援してるから!」

(羽月)「ありがとう!」

(夏弥)「いよいよだね!さ!私達も行こ!」

(夕)「うん!」

会場に入ると応援の声に圧倒された。大会ってこんなに盛り上がるんだ!

凄い!今までこんな声聞いたことない!初めて!

ドキドキワクワクしてしまう。

羽月くんは第2試合から出場らしい。

シード枠?らしくなっちゃん曰く強い人がそこに入るらしい。

凄い!羽月くん強いんだ!

(夏弥)「あれ?あれって霧島?」

(夕)「え?」

(夏弥)「なんか劣勢だね…」

(夕)「そうなの?霧島くん大丈夫かな?」

(夏弥)「なんで霧島の心配してんの!人が良すぎるよ!夕のこと傷つけたんだから当然だよ!」

(夕)「まぁまぁなっちゃん。そう言わず応援してあげよう?羽月くんが言ってたじゃない?空手バカだって。きっとそれは誰にも負けないくらい空手が大好きなんだよ。その集中の邪魔をしてしまったかもしれないから。ね?応援しよ?」

(夏弥)「はぁぁぁぁぁ~…分かった。夕がそう言うなら…すぅぅぅーーーー頑張れー!!!!!!霧島ー!!!!!!」

一瞬会場が静かになった。

え!?え!?なっちゃん凄い大きい声!

私もびっくりしたよ!

それからすぐにまたざわめきを取り戻したが

その声は霧島にも届いていた。

(霧島)「…恥ずかしいことすんなよ」

(相手選手B)「なに?あの子彼女?」

(霧島)「そんなんじゃねーよ。口が過ぎると足元救われるぜ」

(相手選手B)「ぐわっ!」

(審判)「やめ!勝者霧島!」

うぉおおおおおー!と言う歓声と共に霧島くんの祝砲が聞こえたのであった。

(夕・夏弥)「やったねー!!!」

手を取り合って喜んだ。






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