ドドメ色の君~子作りのために召喚された私~

豆丸

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お買い物と本家のお馬鹿さん

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「……ラッセルやりすぎよ。」 
「す、すまん、ミサキ…」  
  
 私も気持ち良かったし何回かイケたけど……ガツガツされて股関節が痛い……そして、アソコが擦れて痛い。腫れてるかも、ハリーさんには絶対に言わないけど……。 
   
 ラッセル溜まってたのね、あんなに必死に何回も出して。お腹苦しいほど、中に出されたし。 
  
 無理させられない元奥さんと違って頑丈だしね、多少乱暴でも壊れないと思われたのかしら?………はあ、それは、困るわ。
 
 ラッセルは、深々と頭を下げてる。黒い猫耳がへたり、それを後ろに倒す。猫科的反省のポーズ、ちょっと可愛い。動物好きには堪らない、綺麗な毛並みをわしゃわしゃしたい。

  
 ラッセルが反省中の今なら、何でも言うこと聞いてくれるかしら? 
  
 そしたら、町に買い物に行き、孤児院にクッキー型欲しいわ。あと、雑貨や日用品を見たいし、肌に合う化粧水も探したい(切実)。店をブラブラするだけでも、きっと楽しいわ。 
  
 日本だと毎日のようにスーパーに買い物に行き、休日にはちょっと遠くの店に行き買い物を楽しんでた私は、孤児院と領主の館の往復の毎日に煮詰まってしまった。 
    
 良くしてもらっているのは理解してる……それでも募る、ストレスと閉塞感。
  
 勉強会の時に然り気無く、ジャミに町に行きたいと訴えたら「君、馬鹿じゃないの?」って一蹴された。 
  
 きっと私の体とか、町の獣人の反応とか、護衛の問題とか、面倒くさい(ジャミはコレ)とか色々、あるんだろうな……。  
 
 
「ラッセル、謝らなくて良いから、悪いと思うなら、私を町に連れてって欲しいな~」伺うように探るようにラッセルに聞いてみた。聞くのはタダだしね。  
 
「……ミサキを、町にか?」 
  
 下を向いていたラッセルは顔を上げた。眉間の皺は深くなり、耳を不機嫌そうに世話しなく動かす。 
  
はあ、これは、無理なパターンかも、ラッセル真面目だし、なんとか釣らないと……。 
 
「ラッセル、明日午前中お休みなんでしょう?私、ラッセルと町でデートしたいなー」 
  
デートを強調して言ってみた。ラッセル食いついて! 
 
「デ、デート?」 
 
「ラッセル、デートしたことないの?恋仲の男女が連れだって出かけるのよ!」 
 
 呆然としたラッセルの顔。奥さん体弱くてデートしなかったのね。解りやすくデートの説明をする。私とラッセルは恋仲じゃないけど、ラッセルだって若い雄だし、興味はあるよね?
 
「……恋仲の……男女……っ」 
  
ラッセルの瞳が大きく見開かれた。よし、食いついた。あと、一押しね! 
 
「ねえ、お願い!ラッセル」 
    
私はラッセルの右手をとり、両手で祈るように包み込み、あざとく上目遣いでじっと見つめると、ラッセルは折れた。 
 
うふふ、やったー!買い物嬉しい!

  
 
  
  
 町は領主の館を南下して雑木林を越えた開けた土地にあった。ラッセルと二人きりとは行かず、護衛の獣人を伴って向かう。危険があるため、一歩外に出るとラッセルも護衛の獣人たちも剣やら槍を装備する。 
  
 町並は中世ヨーロッパに近いけど、屋根の色は地味で少しお堅いイメージ。メイン通りには食料品、雑貨など沢山お店がひしめいていた。 
  
  
 女の私と領主のラッセルが連れだって歩くと目立ち。町人たちに、あからさまにジロジロ見られた。中には「ひ、人間と」指を差して逃げて行く獣人もいて、良い気分はしない。 
  
 ラッセルと懇意の店の獣人に、「もしかして、孕み人ですか?」とストレートに聞かれ、ラッセルは「俺の客人」と私を紹介してたわ。 まあ、バレバレだろうけど……。 
 
町の中や店頭に女の獣人は、一人も見かけない。
 
「女の人は店番もしないのね?」
 
「ああ、前領主の時に店番していた、蛇獣人の女が相次いで誘拐される事件が発生してな、それ以来禁止になった」 
 
「それ!誘拐された女の人無事だった?犯人は捕まったの?」 
 
「ああ、女たちは直ぐに見つかった。犯人は…………からすだったな」  
 
「からす?」
 
「例のくすりをばらまいた、犯罪者集団だ」 ラッセルは何やら考え込んだ。 
 
 からすめ、昔から犯罪を繰り返し、女の人たちを苦しめているのか!腹が立つわ。
 
 
「ミサキ……からすが潜伏してる可能性も捨てきれん。俺から…離れるなよ!」  
 
「解ったわ!絶対ラッセルから離れないから!」 
危険だから、買い物中止で帰ると言われたくない私はにっこり笑顔で答えた。 
 
「………………ぐっ」 
ラッセルは片手で顔を覆うと呻いた。  
   
え?なに!私の笑顔キモかった? 
 
「離れないなんて、領主様と人間さんは仲良しなんですね?」 
ニマニマと店番をしていた栗鼠獣人にからかわれ、自分の言った言葉の意味にやっと気づいた。   
 
うわあ、恥ずかしい。 
 
「ラッセル、えっと変な意味じゃないからね」  
   
「ああ……」 
 
ラッセルは恥ずかしいのか下を向いたまま。微妙な距離を保ちながら、私たちは、お目当ての店に入った。 
 
  
 
 
◇◇◇◇  
  
  
  
 久しぶりの買い物は楽しい。孤児院のお菓子作り用の道具と私の化粧水、日用品を購入出来て満足です。 
    
 御代は俺の客人だからとラッセルが払ってくれた。一瞬、愛人とか情婦が頭をよぎる。  
  
 昨夜、頑張ってラッセルの相手をした労働による代価として遠慮しないことにした。 
 
 次回の買い物は、孤児院お手伝いの賃金を、ラッセルから支給されるので、自分で払うつもり。 

  
 可愛いクッキー型があって良かったわ。小さな手でも使いやすい大きさ。 
 
 昨夜の反動で、腰が痛かったけど、ラッセルが助手してくれて助かった。 
 店長さんが何やら騒がしかったけど、また来たい。 
 ラッセルに貴重な休みに付き合ってもらった、お礼にクッキーを作ろう。甘い物大丈夫だと良いけど……。 

「そうだ、ラッセル、甘いお菓子は食べれる?嫌いじゃない?」 
 
「……嫌いではないが」 
 
「良かったわ!ラッセルにもクッキー作るから、仕事の合間に食べてね」 
  
 ラッセルは口もとを手のひらで押さえ、反対側を向いてしまった。 
 
 本当はクッキー嫌いだったのかしら……不安になりラッセルのしっぽを観察すると、ピンと立っている。喉から小さくゴロゴロする音も聞こえた。 
 良かったラッセル、ご機嫌みたい。ふふ、猫みたいで解りやすいかも。
  
 
 
 
 お昼は町で食べようとラッセルの馴染みの店に向かう。少しがに股になりながら歩き、時折股関節がぴきっとする。  
  
 怨みがましく、真隣を歩くラッセルをちらっと見上げると同じく私を見ていたラッセルと目が合う。ラッセルが口角を上げた。  
  
  
 うわあ、空気がこそばゆい、むずむずする。付き合い初めのような甘ずっぱい変な感じ。 
 
 少し離れて護衛の獣人が微笑ましそうに見ている。 
 
 違う……私とラッセルは、そんな微笑ましく見られる関係じゃない!お互い命令で仕方なく子作りしているだけなんだけどな……。 
 
 
「ミサキ、大丈夫か?体辛いか?」 
  
 数歩遅れた私をラッセルが心配そうに気遣う。 
 
「大丈夫!元気よ!……ひぎ!」 
  
 元気をアピールしようと握り拳を作った瞬間、腰に痛みが走り踞る。 
 
「閨で……無理をさせたな」 
 
ラッセルが隣に屈むと私の腰を擦り始めた。 
 
「ちょ、ラッセル、往来で領主様が何てことを!」 
  
 行き交う町人たちの視線が痛いほど刺さり、護衛の獣人の生ぬるい視線を感じる。 
 
い、居たたまれない。 
     
  
 ラッセルの腰を擦る手のひらがするっとお尻を撫で、尻肉を掴んだ。 
 
 
 え?なんで?びっくりして声すら出ない、ラッセルを見上げると肉欲の残り火が覗く瞳。 
  
「ミサキは、どこも柔らかいな」と耳元で低く渋く囁く。かっと顔が赤くなったのが解った。 
 
「――――っ。ら、ラッセルさん、距離感がおかしいです!」 
 思わず敬語になり、腰の痛みを忘れラッセルから跳ぶように距離をとる。  
 
「――く、はは、ミサキは元気だな」 
ラッセルが意地悪く笑った。 
 
「領主様が笑ってる」 
 
「俺、初めて見た」と驚きざわつく護衛の獣人たち。 
 
うぐぐ、からかわれたんだわ!何か悔しいー。 
 
「ラッセル……」 
 文句を言おうと口を開きかけたかその時、若い男の声に遮られた。 
 
 
「これは、何やら人だかりがあると思えば領主殿ですか?お久しぶりです。いや元義兄様と呼ぶべきかな?」 
 
 からかうような馬鹿するような声音。ラッセルより一回り小さい体躯の若い黒豹人が冷たく私たちを見ていた。 

「……ログナか、久しぶりだな」 
 
 ラッセルの笑みがすっと消え、表情が固くなる。私を庇うように背中に隠した。護衛の獣人たちに緊張が走る。 
 
「ずいぶんな歓迎ですね、元義兄様。後ろのみすぼらしそれが、噂の孕み人ですか?」     
 
な、なんて失礼な奴! 
  
 ログナと呼ばれた獣人は私の頭から爪先まで舐めるような視線を向けると鼻で笑った。 
 
「ふっ、哀れですね。子も作れず、姉さまと離縁して、すがるのが、そんな人間なんて!!俺だったら恥ずかしくて町に出てこれませんよ!………分家の獣人はプライドがなくて、本当に羨ましいです!」 
 
「俺のことを馬鹿にするのは構わんが、ミサキを下げずむ発言をするな」
 
「ラッセル、分家ってなに?」
 
「人間に言ってなかったのですか?領主殿は分家の獣人、本家より劣った獣人なんです!」 
 
「はい?時代錯誤ね、分家が本家より劣ってるって、本気で言ってるの?」 
 何を基準に劣ってると言うのか小一時間ほど問い詰めたい! 
 
「劣っていますよ、馬鹿な人間の言いそうなことです!」
 
「ログナ、ミサキを馬鹿にするのはゆるさん!」ラッセルが鋭く吠えた。 
 
「ふん、姉さまよりそんな人間が大切なんですか?」 
 
「違う!どちらも大切だ!」   
 
「偽善者ですね本当に……。姉さまも元義兄様の顔をたて、聖女の館に居なくても良いのに、早く僕の側に……本家に帰って来て欲しいに……」
 イライラしているのかログナは爪を噛みだした。 
 
「ラッセル、なにこの、世間知らずのシスコン獣人は?」 

「な!し、シスコン!」ラッセルと護衛の獣人が静止した。
 
「は!人間のたかが女のくせに、馬鹿にするなよ!」ログナは牙を剥き出しにして威嚇した。  
 
 
「馬鹿にするわよ!本家がどれだけ偉いか、知らないけど、今バンローグの領主はラッセルなんでしょ?貴方じゃないわ。女のくせにとか……こんな時代錯誤の男がいるんじゃ、本家もお里がしれてるわね………きっと赤ちゃん出来なくてあなたの姉さん、責められたんでしょう?本家の居心地が悪いから帰りたくないんだろうに、この人、ラッセルに責任転嫁して、カッコ悪いわ……」  

「何だと!クソ、人間が知ったように勝手なこと言いやがって!!」 
 
 ログナが腰にぶら下げた剣に手を掛けた一瞬にラッセルが動いた。鞘から剣が抜けないように上から押さえ付ける。凄い早業。  
 
「ログナ、町中で剣を抜くな。ミサキの言う通り、現領主は俺だ。気に入らないならいつでも領主の座を掛けて、決闘してやるが?」 
 
 ラッセルは殺意を隠さず、獰猛な牙を光らせ、獲物をねめつけた。 
 
「ひ!」 
ログナの口から悲鳴が漏れ、腰を抜かした。剣さえ抜かせてもらえないのに、ラッセルに勝てるわけがない。 
 
「に、人間は守るのに、なぜ姉さんを守ってくれなかったんだ」 
  
 地面に座りまだ、ぐずぐず言っている。小さい子どもが、ただを捏ねてるみたいな態度が孤児院の子たちと重なる。 
 
 
「お姉さん大切だったのね?」 
 私は座り込んだログナの隣に移動すると優しく問いかけた。 
     
「当たり前だ!」 
   
「それじゃ、大切なお姉さんをラッセルじゃなくて、あなたが守ってあげれば、いいんじゃない?お姉さんもきっと嬉しいわよ」 
 
「俺が?姉さんを?守る、しかし……」 
   
「しかしってなに?言い訳?………お姉さんに早く帰って来て欲しいんでしょう?ラッセルを責める前に自分に出来ることを考えたらどう?」 
 
「………俺に……出来ること…」 
ログナの目の色が変わった。




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