37 / 37
お昼寝場所
しおりを挟む「領主殿。お早いお帰りですね……仕事が山ようにお待ちかねですよ」イヤミ鳥こと、ジャミの盛大な歓迎を受けたラッセル。
「ごめんなさいジャミ。私が無理言ってラッセルに頼んだのよ!」
「違う俺もミサキと共に行きたかったのだ。すまんなジャミ!すぐに取りかかるぞ!!」イヤミにも上機嫌に答え、私に手を振りしっぽフリフリ執務室に向かう。
「おや?お揃いとは仲睦まじいことです」
ジャミが私とラッセルを交互に見て、嘴の端を上げた。
ラッセルの左手首には私とお揃いの銀の鎖にレッドジルコンに似た小降りの宝石が3つ連なったシンプルなブレスレット。
聖女の護りと合わせても見劣りしなくて、お互いの存在を引き立てるような落ち着いた美しい黒みかかった赤い宝石。
竜の背の通貨は大小銀貨に聖女様、大小金貨に竜神の模様がある。小銀貨10枚が大銀貨1枚。大銀貨5枚が小金貨1枚。小金貨10枚が大金貨1枚になる。
ブレスレットの値段は大金貨が1枚2枚……。商人さんが喜んでいたので、高価だと思うわ。
はあっ。ラッセルに体以外で返していけると良いのだけど……。私はこっそりため息をつくと自室に戻ろうと踵を返した。
「ミサキ……君にさ、聞きたい事かあるんだ」ジャミに引き止められてしまった。
「な、なに?ブレスレットのこと?私はねだってないわ。ラッセルに散財させるつもりもないから」高価な宝石をねだる悪女と思われなくない。
「……そんなのはさ、大したことないよ。寧ろさ、領主殿は散財しなさすぎなんだ……。
それよりさ………ミサキは、本当に聖女の力を行使出来るのかな?」ジャミにしては優しく問い掛けられ、背筋がぞーっとする。
「………で、出来た…けど」
「そう。君、凄いね!」
鳥目を細め、嘴を上げるジャミに褒められた!
なに?なんなの?何か企んでるの!変な汗がじわりの滲む。伺うようにジャミを見上げた。
「ジャミが褒めるなんて……雪でも降るのかしら?」
「雪か?……君、面白いこと言うね?」
ジャミが私に近づくと親しげに肩に羽(手)を置く。え?この手は一体?
「ミサキ君さ!疲れてるよね?この後昼寝する予定かな?申し訳ないんだけどさ、領主殿の部屋で寝てくれるかな?」
寝不足で疲れているから、ジャミとの勉強時間まで、少しお昼寝予定だけど……。
「……なんで?ラッセルの部屋なの?」
「………君がさ、予定外に領主殿を町に連れ出したから皆の仕事が滞ってるんだよ。
君が客室で休んだら部屋の前に見張りも必要だしさ……無駄な人員も取られるから。領主殿に執務のついでにさ、見張ってもらってよ。
君が居たら領主殿も苦手な書類から、鍛練に逃げないだろうからさ。………ねえミサキ?僕の……バンローグの役にたってくれるよね?」
ジャミは無機質な鳥目の瞳孔を細めた。
………もしかして、ジャミものすごーく怒っている!!
お詫びにラッセルのおサボりの防波堤にさせられようとしているわ。
「――っ!ちょっとジャミ!?」
私の返事を待たず、両羽で肩を掴むとそのまま領主室に連行された。
ーーーー
『おまけ』
宝石店にて
ミサキ (お揃いは避けたいけど、ラッセルノリノリねえ…ちょっとからかってみようかしら?)
ミサキ「ラッセル、お揃いの首輪なんてどう?」 にまにま→ペットみたいで嫌よねー?怒るかしら?
ラッセル「っ!!ミサキ!!本当に良いのか!?」 肩をがっと掴み、ガクガク揺さぶる。→歓喜!
狐商人「お、奥様はそこまで、領主様のことを!!………私、感動しました!!」うるうると目頭を押さえる。
ミサキ「え?え?まずかった!」
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
私が美女??美醜逆転世界に転移した私
鍋
恋愛
私の名前は如月美夕。
27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。
私は都内で独り暮らし。
風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。
転移した世界は美醜逆転??
こんな地味な丸顔が絶世の美女。
私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。
このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。
※ゆるゆるな設定です
※ご都合主義
※感想欄はほとんど公開してます。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
更新ありがとうございます!!待ってました~!!
待っていただきありがとうございます!
めちゃくちゃ励みになります。遅筆なので気長にお待ち下さいー。感想嬉しいです。
面白くて一気に読んでしまいました。更新楽しみにしています(≧∇≦)
ありがとうございます(涙)
スランプ気味だったので励みになります!頑張って更新しますね✨