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逃の章
第10話 6月11日(逃亡生活九日目)下
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茶菓子を食べた信長達はお茶をすすり「ふぅ」と、幸せのため息をつく。
「美味しかったねー」
「はい、美味でございました」
信長の言葉を笑顔で返す成利。どうやら機嫌も元に戻ったようで、二人は安心した。
「じゃあ、これからどうするか……作戦会議と致しましょう」
影武者は饅頭に刺さっていた串で台に絵を書くように説明しだした。
「ここが明智がいた坂本城がこことして、姫路城がこの辺りとします。羽柴はすでに姫路城に戻り態勢を整え出陣したとして、明智軍と遭遇するとなると……」
と言いながら、串で線を描くように示した先は京の南部に位置する『男山』であった。
「明智はどうしても筒井氏と細川氏を味方につけたいはずです。特に羽柴軍近くに布陣する筒井氏には是非とも早く合流したいはずです。そうとなれば、筒井氏の陣のある「洞ヶ峠」の付近、且つ姫路城より京へ北上する秀吉を迎え撃つ位置……、さすれば、もうここしかありませぬ!」
「おーー!」
信長と成利は揃って感心した。
「影ちゃんって頭いいね!」
「いえいえ、めっそうもございませぬ」
「いや、素晴らしい推理です。影様!」
信長と成利に褒められ照れる影武者。
そして、信長はおもむろに立ち上がる。
「じゃあ、行っちゃう?」
「おーー!」
信長に掛け声に二人も威勢よく立ち上がり返事をした。
「……の」
「あのぅ……すいません」
そんな三人の元へ歩み寄る一人の男。
信長が声に気付きふと横を見ると影武者と同じようななりをし、顔と口元を布で覆い隠す者が
話しかけてきたのである。
「ん? 男……。僕達なにも悪い事してませんけど」
咄嗟に信長は話しかけてきた男に答えた。
「あの……の、信長さま」
男は小声で話す。
その一言に信長は動揺し、しどろもどろになっていた。
「えっ? き、君は何を言ってるんだい? ボ、ボ、ボボ……僕は信長なんかじゃないんだからね」
全くもってわかり易い信長である。
謎の男は口元の布をずらし「私めでございます。会いとうございました」と言うと、信長に
その顔を見せた。
「ええええええええええええ!」
目を見開き驚く三人の声が茶屋中に大きく響く渡る。
茶屋の客達の視線が信長達に向くと、怪しい男は再度布で顔を隠し
「しっ、お静かに……お願い致します」と、懇願。そして、静かに信長達を先導し茶屋の外へ連れ出したのであった。
三人は謎の怪しい男に連れられ、人気のない場所へと向かっていく。
ふいに横を見た信長の目に入ったものは、今までにないほど怒り震える成利の姿だった。
「信長様、これは絶対罠でございます。行くべきではございませぬ!」
と、影武者は言う。
「いや、大丈夫だと思うけどなー」
いつも通り能天気な信長。
「何をおっしゃいますか影殿! この千載一遇の機会を逃すなど馬鹿げています」
さらに顔を強張らせる成利。
しばらく歩き人気のない場所へ移動した男は立ち止まる。
成利は刀を抜き辺りを警戒する。そして、影武者もまた刀を抜き構えをとった。
顔を覆う布を取り去った男は改めて
「信長様、お久しぶりでございます。本当にご無事でよかった。このたびは、申し訳ございませんでした」
と、頭を深々と下げ謝罪した。
「やあ、久しぶりだね明智ちゃん!」
信長の目の前に現れたのは、なんと明智光秀本人であった。
「ごめんね、明智ちゃん『ハゲ』とか言っちゃって! でもあれ俺じゃないからね。
この横の影ちゃんだよ」
「うっ!」
ドキッとする影武者信長。
「存じております」
本物の信長を知っていたかのように返事をする明智。
「……明智ちゃん、知ってたの?」
「はい。以前、殿の部屋へ訪れようとした際に信長様が一般の兵士に頭を下げていたのを見て感づいてしまったのです。信長様が頭を下げる一般兵などいる訳がない、あの人こそが本当の信長様なんだと……」
「さすがだ、明智ちゃん」
影武者は刀を構えじりじりと明智に近付く。
「信長様、危険でございます。もう少し離れてください」
「もう心配性だなー影ちゃんは。大丈夫だって」
「でしたら、これまでの非礼の数々……訳をじっくりと説明頂こうか、明智光秀!」
成利は明智に怒声浴びせる。
すると明智はその場で土下座をし
「信長様の謀反、私めではありませぬ。私の影武者の独断でございます。誠に申し訳ございませんでした」と、改めて謝罪した。
「はっ?」
「はーっ?」
「はぁーー?」
驚く信長達。
なんと、明智光秀もまた影武者がいたのだ。信長達と同様に明智も裏切られた者の一人だった。
話によると明智は本能寺の変の前夜、影武者明智の手下により身柄を拘束され牢へ閉じ込められた。その後、牢に入れられている所を運よく側近の配下に発見され、拘束をといてもらうが……時すでに遅く影武者明智は信長を討伐すべく本能寺へ出陣した後であった。
……。
…………。
明智光秀は言う。
「ただ、私の影武者が一人でそのような大それた事を考え及ぶとは考え固いであるます
私の憶測では羽柴秀吉か徳川家康が裏で糸を引いているように思えて仕方ないのです」
その話を只々、呆然と聞く信長達だった。
果たして裏切者は秀吉か? 家康か? 謎は深まる。
「美味しかったねー」
「はい、美味でございました」
信長の言葉を笑顔で返す成利。どうやら機嫌も元に戻ったようで、二人は安心した。
「じゃあ、これからどうするか……作戦会議と致しましょう」
影武者は饅頭に刺さっていた串で台に絵を書くように説明しだした。
「ここが明智がいた坂本城がこことして、姫路城がこの辺りとします。羽柴はすでに姫路城に戻り態勢を整え出陣したとして、明智軍と遭遇するとなると……」
と言いながら、串で線を描くように示した先は京の南部に位置する『男山』であった。
「明智はどうしても筒井氏と細川氏を味方につけたいはずです。特に羽柴軍近くに布陣する筒井氏には是非とも早く合流したいはずです。そうとなれば、筒井氏の陣のある「洞ヶ峠」の付近、且つ姫路城より京へ北上する秀吉を迎え撃つ位置……、さすれば、もうここしかありませぬ!」
「おーー!」
信長と成利は揃って感心した。
「影ちゃんって頭いいね!」
「いえいえ、めっそうもございませぬ」
「いや、素晴らしい推理です。影様!」
信長と成利に褒められ照れる影武者。
そして、信長はおもむろに立ち上がる。
「じゃあ、行っちゃう?」
「おーー!」
信長に掛け声に二人も威勢よく立ち上がり返事をした。
「……の」
「あのぅ……すいません」
そんな三人の元へ歩み寄る一人の男。
信長が声に気付きふと横を見ると影武者と同じようななりをし、顔と口元を布で覆い隠す者が
話しかけてきたのである。
「ん? 男……。僕達なにも悪い事してませんけど」
咄嗟に信長は話しかけてきた男に答えた。
「あの……の、信長さま」
男は小声で話す。
その一言に信長は動揺し、しどろもどろになっていた。
「えっ? き、君は何を言ってるんだい? ボ、ボ、ボボ……僕は信長なんかじゃないんだからね」
全くもってわかり易い信長である。
謎の男は口元の布をずらし「私めでございます。会いとうございました」と言うと、信長に
その顔を見せた。
「ええええええええええええ!」
目を見開き驚く三人の声が茶屋中に大きく響く渡る。
茶屋の客達の視線が信長達に向くと、怪しい男は再度布で顔を隠し
「しっ、お静かに……お願い致します」と、懇願。そして、静かに信長達を先導し茶屋の外へ連れ出したのであった。
三人は謎の怪しい男に連れられ、人気のない場所へと向かっていく。
ふいに横を見た信長の目に入ったものは、今までにないほど怒り震える成利の姿だった。
「信長様、これは絶対罠でございます。行くべきではございませぬ!」
と、影武者は言う。
「いや、大丈夫だと思うけどなー」
いつも通り能天気な信長。
「何をおっしゃいますか影殿! この千載一遇の機会を逃すなど馬鹿げています」
さらに顔を強張らせる成利。
しばらく歩き人気のない場所へ移動した男は立ち止まる。
成利は刀を抜き辺りを警戒する。そして、影武者もまた刀を抜き構えをとった。
顔を覆う布を取り去った男は改めて
「信長様、お久しぶりでございます。本当にご無事でよかった。このたびは、申し訳ございませんでした」
と、頭を深々と下げ謝罪した。
「やあ、久しぶりだね明智ちゃん!」
信長の目の前に現れたのは、なんと明智光秀本人であった。
「ごめんね、明智ちゃん『ハゲ』とか言っちゃって! でもあれ俺じゃないからね。
この横の影ちゃんだよ」
「うっ!」
ドキッとする影武者信長。
「存じております」
本物の信長を知っていたかのように返事をする明智。
「……明智ちゃん、知ってたの?」
「はい。以前、殿の部屋へ訪れようとした際に信長様が一般の兵士に頭を下げていたのを見て感づいてしまったのです。信長様が頭を下げる一般兵などいる訳がない、あの人こそが本当の信長様なんだと……」
「さすがだ、明智ちゃん」
影武者は刀を構えじりじりと明智に近付く。
「信長様、危険でございます。もう少し離れてください」
「もう心配性だなー影ちゃんは。大丈夫だって」
「でしたら、これまでの非礼の数々……訳をじっくりと説明頂こうか、明智光秀!」
成利は明智に怒声浴びせる。
すると明智はその場で土下座をし
「信長様の謀反、私めではありませぬ。私の影武者の独断でございます。誠に申し訳ございませんでした」と、改めて謝罪した。
「はっ?」
「はーっ?」
「はぁーー?」
驚く信長達。
なんと、明智光秀もまた影武者がいたのだ。信長達と同様に明智も裏切られた者の一人だった。
話によると明智は本能寺の変の前夜、影武者明智の手下により身柄を拘束され牢へ閉じ込められた。その後、牢に入れられている所を運よく側近の配下に発見され、拘束をといてもらうが……時すでに遅く影武者明智は信長を討伐すべく本能寺へ出陣した後であった。
……。
…………。
明智光秀は言う。
「ただ、私の影武者が一人でそのような大それた事を考え及ぶとは考え固いであるます
私の憶測では羽柴秀吉か徳川家康が裏で糸を引いているように思えて仕方ないのです」
その話を只々、呆然と聞く信長達だった。
果たして裏切者は秀吉か? 家康か? 謎は深まる。
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