母校に就職したら指導教官が大好きだった先生でした

風花鳴海

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4 それぞれの。

小西と里見

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希帆ちゃんは数学の天才。今回も100点に近かった。正直、とてもうらやましい。でも、なぜか国語が苦手。だから、総合点だと、私たちはクラスの真ん中あたりになってしまう。
わたしは国語を、希帆ちゃんは数学をお互いに教えあおうとしたことがあったけど、結局2人ともなんで自分が出来るのかがわからなくて、人に教えられないってことがわかっただけだった。そういう意味では、私たちは似ている。
「ね、愛莉ちゃん、個人面談呼ばれた?」
「ううん、まだ。希帆ちゃん昼休みに呼ばれたの、あれ個人面談の連絡じゃなかったの?」
「なんか、答案貸してって言われただけ。呼ばれないのも、落ち着かないよね」
「そうだね」
早く呼んで欲しいような、まだ呼ばれたくないような。たしかに、中間試験のときは、結果の返却のその日に呼ばれたのに、今回はもう2日もたつ。
「ね、個人面談て何するの?」
「一年生のときの先生は、とにかくお説教だったの。でも、水谷先生は、この面談は、もう赤点を取らないようにするには、どうしたらいいかを2人で話し合うためのものなんだよ、って、どうしたら成績が上がるかを、いろいろアドバイスしてくれた」
「でも、また赤点だったわけだ」
「うん。実は、先生にもらったアドバイス、全然守らなかったから」
「それはさすがに叱られるかもね」
「うん。だからちょっと、今回は怖い」
先生に、ダメな生徒だって思われたくなかったのに、どうしても、苦手な数学は頑張ろうって気持ちが起きなくて、つい、サボった。宿題の答えがわからないときは、答えをうつせばいい。そのかわり、解き方を覚えるまで徹底的に。というのがアドバイスだったのに、答えをうつして、それで終わりにしてた。今回は前より点数は上がったけれど、赤点は赤点だし、クラス最下位は変わらない。
「じゃ、帰ろっか」
「そうだね」
2人で玄関に向かう。
「なんか、さっきの水谷先生、ちょっと元気なかったことない?」
「そういわれてみると、たしかに、ちょっとヘコんでる感じはあったよね」
「出来の悪い生徒を抱えて、深い悩みにー、とかだったりして」
「えー、それ、うちらが悪いことになるじゃん」
2人で笑う。笑うけど、ちょっと胸が痛い。
「あれ、希帆ちゃんって電車通学?」
「うん。桜町」
電車で2駅のところ。
寮の前で別れて、部屋に戻る。数学の教科書を広げて、今日からは心を入れ替えます、と水谷先生にテレパシーを送ってみる。

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