6 / 39
第1章 魔女と仲間達
第6話 竜、目標が決まる
しおりを挟む
「基礎になるのは、火、水、風、自然、治癒の五つの属性だよ」
「なるほど。魔法の適正みたいなものはあるの?」
「似たようなことはあるよ。魔法陣は人によって書きやすいものもあれば書きにくいものもあるしね」
私は説明しながら地面にそれぞれの基礎魔法陣を書いていく。リュビアが興味深そうにそれらを覗き込む。
「この基礎魔法陣を覚えたら、基礎の魔法は使えるようになるんだね。使ってみようかな!」
リュビアが楽しそうに魔法陣を空中に書き始める。すでにコツを掴んだらしく、基礎の魔法は問題なく使えるようだ。私は彼女を見守りながら、肉が満遍なく焼けるように調整しておく。
「全部使えたよ! 魔法って面白いね。もっと魔法を学びたいな」
「ちゃんと教えてあげるから、慌てないでね。自分の魔力と向き合わないと、魔力切れで倒れてしまうから。そうだ、命にも関わることだから、魔力切れについても説明しておこう。魔力切れは、身体の中の魔力が枯渇する状態を言う。魔力が枯渇すると、めまいや頭痛、幻覚といった症状が出てくる。その状態で魔力を消費し続けると、意識を失う。一般には意識を失うだけなんだけど、全ての魔力を失うと、人は死んでしまうんだ。だから、自分の魔力とちゃんと向き合う必要がある」
私が目を覚ました時の魔力の状態はかなり悪かった。魔力切れを起こしていた。今は徐々に回復しているので問題はないが、気を付けないとね。
「へー。魔力は便利なだけじゃないんだね。魔法の練習のし過ぎはよくないってことだ」
リュビアはうなずいている。彼女に同意しながら、私は肉の様子を確認する。
「色々話している間に、肉が焼けたね」
「いい匂いがするよ! この匂いにつられて魔物がやって来ることはない?」
リュビアが嬉しそうに尾を振りながら尋ねる。私は肉を手に取りながら答える。
「魔物が反応する匂いは主に血だよ。血の匂いには敏感だ。それ以外の匂いにも反応はするけど、わざわざ襲いに来ることはほとんどない」
凶暴な魔物であれば人の気配を察知すると襲いに来ることもあるから、確実に来ないという保証はないが、リュビアを不安にさせるようなことはわざわざ言う必要はないだろう。ここ周辺にはそこまで凶暴な魔物はいないことは魔力探知で把握している。
「そうなんだ! じゃあ気にせず食べられるね。いっただっきまーす!」
私が差し出した肉にリュビアはかぶりつく。リュビアの手は小さいので棒を持って肉を食べることはできない。なので私が差し出す必要があるのだ。
リュビアが豪快にかぶりついているのを見て、私も一口肉を食べる。
「おいしい! めっちゃおいしい! 生肉とは比べ物にならないよ!」
「うん、確かにおいしい。ちゃんと焼けているね」
「街に行ったら、調味料とか料理道具を調達しようよ! そしたらもっとおいしいご飯が食べられるようになる」
おいしいおいしいと言いながらリュビアが食べている。私は基本食には無頓着だけど、食べるならおいしいほうがいい。リュビアの言うように料理道具を集めるのも悪くないかもしれない。
しばらく夢中で食べていると、気になったことがあったのか、リュビアは食べていたものを飲み込み、私を見た。
「ラーシェリアは料理得意なの?」
「得意というほど得意ではないよ。一般的な料理は作れるくらい。リュビアはどう?」
「わたしは……料理の本を読むのは好きだったけど、作ったことはないかな。おいしいものは作れないかもしれないけど、ラーシェリアと一緒に料理がしたい」
リュビアが前世の話をする時は少し悲しそうな顔をする。過去の話を聞くのはできるだけ避けたほうがいいのかもしれない。私もあまり過去の話を聞かれたくはない。
「今のリュビアじゃ難しいかもしれないよ? まずは人型になる方法を探してみようか。人型になれたら、料理以外にも沢山できることが増えるよ」
「うん。そうだね! わたしの第一の目標は、人型になること!」
リュビアが気合を入れるように大きく息を吐くと、勢いよく肉を食べ始めた。私はその様子に思わず笑みを浮かべ、肉を口に含んだ。
「はー。お腹いっぱいになったよ。満足満足」
リュビアがお腹をさすりながら言う。私は肉を二切れ食べたが、それ以外はリュビアが全て平らげた。焼いた分が無駄にならなくてよかった。
「ラーシェリアは二つだけで足りたの?」
「十分だよ。私は普段からあまり食べないからね」
使用した棒は焚火に放り込んで燃やしておいた。冒険では人がいたという痕跡は残さない方がいいとされているため、一応。そして焚火を消す。日は完全に沈んでいるので、火が消えたことで辺りは闇に包まれた。
「もうこんなに暗くなってたんだ」
リュビアに同意しながら、私は指先に火を灯す。夜を過ごす場所を決めないといけない。
「リュビアは眠くない?」
「んー。ちょっと眠いかも。どこで寝るの? この辺じゃ危険じゃない?」
「案としては、木の上かそこら辺で寝るか、だね。どちらにしても、防御壁を張るから安心してほしい」
木の上で過ごす魔物もいるけど、それよりは地上を歩く魔物の方が多い。この辺りの木は大きく枝も太いので、私が乗っても枝が折れることはないだろう。魔力を垂れ流しにして魔物に襲われないかを試したかったが、リュビアがいるので安全第一にしておきたい。
「木の上で寝たい! 楽しそうだもの」
「じゃあ、上まで行こうか」
私は立ち上がって、飛行魔法を発動させる。そのまま安定しそうな枝を確認し、腰掛ける。リュビアが私の膝の上に乗ってきたので、小さな頭をそっと撫でてみた。鱗の独特な感触が伝わってくる。
「おやすみ、リュビア。安心して眠ってね」
「ありがとう。おやすみ、ラーシェリア」
リュビアはそう言って体を丸め、しばらくもぞもぞとしっくりくる姿勢を確認しているようだったが、すぐに安定した寝息が聞こえてきた。それを確認して、私が座っている木が丸々安全圏になるように防御魔法を広範囲に発動する。
背もたれがないまま一晩を過ごすのはかなりきついので、風魔法の応用で背もたれのようなものをつくり出した。リュビアが穏やかに眠れることを願いながら、私は静かに目を瞑った。
「なるほど。魔法の適正みたいなものはあるの?」
「似たようなことはあるよ。魔法陣は人によって書きやすいものもあれば書きにくいものもあるしね」
私は説明しながら地面にそれぞれの基礎魔法陣を書いていく。リュビアが興味深そうにそれらを覗き込む。
「この基礎魔法陣を覚えたら、基礎の魔法は使えるようになるんだね。使ってみようかな!」
リュビアが楽しそうに魔法陣を空中に書き始める。すでにコツを掴んだらしく、基礎の魔法は問題なく使えるようだ。私は彼女を見守りながら、肉が満遍なく焼けるように調整しておく。
「全部使えたよ! 魔法って面白いね。もっと魔法を学びたいな」
「ちゃんと教えてあげるから、慌てないでね。自分の魔力と向き合わないと、魔力切れで倒れてしまうから。そうだ、命にも関わることだから、魔力切れについても説明しておこう。魔力切れは、身体の中の魔力が枯渇する状態を言う。魔力が枯渇すると、めまいや頭痛、幻覚といった症状が出てくる。その状態で魔力を消費し続けると、意識を失う。一般には意識を失うだけなんだけど、全ての魔力を失うと、人は死んでしまうんだ。だから、自分の魔力とちゃんと向き合う必要がある」
私が目を覚ました時の魔力の状態はかなり悪かった。魔力切れを起こしていた。今は徐々に回復しているので問題はないが、気を付けないとね。
「へー。魔力は便利なだけじゃないんだね。魔法の練習のし過ぎはよくないってことだ」
リュビアはうなずいている。彼女に同意しながら、私は肉の様子を確認する。
「色々話している間に、肉が焼けたね」
「いい匂いがするよ! この匂いにつられて魔物がやって来ることはない?」
リュビアが嬉しそうに尾を振りながら尋ねる。私は肉を手に取りながら答える。
「魔物が反応する匂いは主に血だよ。血の匂いには敏感だ。それ以外の匂いにも反応はするけど、わざわざ襲いに来ることはほとんどない」
凶暴な魔物であれば人の気配を察知すると襲いに来ることもあるから、確実に来ないという保証はないが、リュビアを不安にさせるようなことはわざわざ言う必要はないだろう。ここ周辺にはそこまで凶暴な魔物はいないことは魔力探知で把握している。
「そうなんだ! じゃあ気にせず食べられるね。いっただっきまーす!」
私が差し出した肉にリュビアはかぶりつく。リュビアの手は小さいので棒を持って肉を食べることはできない。なので私が差し出す必要があるのだ。
リュビアが豪快にかぶりついているのを見て、私も一口肉を食べる。
「おいしい! めっちゃおいしい! 生肉とは比べ物にならないよ!」
「うん、確かにおいしい。ちゃんと焼けているね」
「街に行ったら、調味料とか料理道具を調達しようよ! そしたらもっとおいしいご飯が食べられるようになる」
おいしいおいしいと言いながらリュビアが食べている。私は基本食には無頓着だけど、食べるならおいしいほうがいい。リュビアの言うように料理道具を集めるのも悪くないかもしれない。
しばらく夢中で食べていると、気になったことがあったのか、リュビアは食べていたものを飲み込み、私を見た。
「ラーシェリアは料理得意なの?」
「得意というほど得意ではないよ。一般的な料理は作れるくらい。リュビアはどう?」
「わたしは……料理の本を読むのは好きだったけど、作ったことはないかな。おいしいものは作れないかもしれないけど、ラーシェリアと一緒に料理がしたい」
リュビアが前世の話をする時は少し悲しそうな顔をする。過去の話を聞くのはできるだけ避けたほうがいいのかもしれない。私もあまり過去の話を聞かれたくはない。
「今のリュビアじゃ難しいかもしれないよ? まずは人型になる方法を探してみようか。人型になれたら、料理以外にも沢山できることが増えるよ」
「うん。そうだね! わたしの第一の目標は、人型になること!」
リュビアが気合を入れるように大きく息を吐くと、勢いよく肉を食べ始めた。私はその様子に思わず笑みを浮かべ、肉を口に含んだ。
「はー。お腹いっぱいになったよ。満足満足」
リュビアがお腹をさすりながら言う。私は肉を二切れ食べたが、それ以外はリュビアが全て平らげた。焼いた分が無駄にならなくてよかった。
「ラーシェリアは二つだけで足りたの?」
「十分だよ。私は普段からあまり食べないからね」
使用した棒は焚火に放り込んで燃やしておいた。冒険では人がいたという痕跡は残さない方がいいとされているため、一応。そして焚火を消す。日は完全に沈んでいるので、火が消えたことで辺りは闇に包まれた。
「もうこんなに暗くなってたんだ」
リュビアに同意しながら、私は指先に火を灯す。夜を過ごす場所を決めないといけない。
「リュビアは眠くない?」
「んー。ちょっと眠いかも。どこで寝るの? この辺じゃ危険じゃない?」
「案としては、木の上かそこら辺で寝るか、だね。どちらにしても、防御壁を張るから安心してほしい」
木の上で過ごす魔物もいるけど、それよりは地上を歩く魔物の方が多い。この辺りの木は大きく枝も太いので、私が乗っても枝が折れることはないだろう。魔力を垂れ流しにして魔物に襲われないかを試したかったが、リュビアがいるので安全第一にしておきたい。
「木の上で寝たい! 楽しそうだもの」
「じゃあ、上まで行こうか」
私は立ち上がって、飛行魔法を発動させる。そのまま安定しそうな枝を確認し、腰掛ける。リュビアが私の膝の上に乗ってきたので、小さな頭をそっと撫でてみた。鱗の独特な感触が伝わってくる。
「おやすみ、リュビア。安心して眠ってね」
「ありがとう。おやすみ、ラーシェリア」
リュビアはそう言って体を丸め、しばらくもぞもぞとしっくりくる姿勢を確認しているようだったが、すぐに安定した寝息が聞こえてきた。それを確認して、私が座っている木が丸々安全圏になるように防御魔法を広範囲に発動する。
背もたれがないまま一晩を過ごすのはかなりきついので、風魔法の応用で背もたれのようなものをつくり出した。リュビアが穏やかに眠れることを願いながら、私は静かに目を瞑った。
0
あなたにおすすめの小説
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ
如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白?
「え~…大丈夫?」
…大丈夫じゃないです
というかあなた誰?
「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」
…合…コン
私の死因…神様の合コン…
…かない
「てことで…好きな所に転生していいよ!!」
好きな所…転生
じゃ異世界で
「異世界ってそんな子供みたいな…」
子供だし
小2
「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」
よろです
魔法使えるところがいいな
「更に注文!?」
…神様のせいで死んだのに…
「あぁ!!分かりました!!」
やたね
「君…結構策士だな」
そう?
作戦とかは楽しいけど…
「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」
…あそこ?
「…うん。君ならやれるよ。頑張って」
…んな他人事みたいな…
「あ。爵位は結構高めだからね」
しゃくい…?
「じゃ!!」
え?
ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!
【完結】憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~
ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。
彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。
敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。
この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。
「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」
無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。
正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。
記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】
かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。
名前も年齢も住んでた町も覚えてません。
ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。
プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。
小説家になろう様にも公開してます。
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる