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第1章 勇者の資格
お金が無いです ( 5 )
しおりを挟む深夜。
私は、外が騒がしいのに気がつきました。
一応護身用のナイフを懐に入れながら、私はテントの外へ出ます。
すると、ハバギルドの皆さんが松明を持ちながら慌ただしく駆けていました。
「どうしたのですか?」
近くにいたナミ様に聞くと、彼女は慌てながらこう言った。
「え、エミカ。危ないから離れといて!」
「何があったのですか?」
私が上乗せして聞くと、ナミ様は渋々ながらも教えてくださった。
「魔獣が出たのよ。それも異常な数。B級の魔獣もいるの」
B級の魔獣というのは、冒険者ランクがBの人達がやっと倒せる位のレベルです。
ハバギルドの最高ランクは、ナミ様とバルー様でBランク。
魔獣が大量にいるのだったら、Bランクの冒険者さんがいなくなるので、結果は絶望的。
「大丈夫なのですか!?」
「――――」
返事は返ってこない、という事はノーという意味だと取っていいと思います。
「怪我人は?」
「今のところいないわ。だけどそろそろ――――」
ナミ様の話している途中で、男性の叫び声が聞こえました。
とても悲痛で、苦しそうな。
「バルー! 今の、バルー!?」
ナミ様が走り出したので、私もついて行きます。
その先には、目を紅く光らせた魔獣が大量にいて、それぞれハバギルドの皆さんが抑えている。
「バルー! しっかりして!」
ナミ様が膝を着いて抱えているのは、頭から血を流しているバルー様です。足も折れているように見えます。
ナミ様の悲しそうな顔、バルー様の苦しそうな顔。
もう、迷っているひまなんてありません。
「ナミ様。バルー様をあまり動かさないようにしてください。そして綺麗なハンカチで傷口を抑えてください」
「――お嬢様な貴女に、何かできるって言うの?」
ナミ様は今、バルー様が怪我している事で放心状態。誰も信じられないのでしょう。
仕方がないです。誰だってそうなります。
「いいから、今は私が言ったことに従ってください!」
少し強く命令的な言い方になってしまうのは心苦しいですが、バルー様の様子を見ると、余裕はないです。
ナミ様は震える手で、ハンカチを取り出して傷口を抑えます。
「おい、こっちはもう無理だ!」
その声に私は後ろを振り返ります。
魔獣を抑えるのが難しくなってきたのでしょう。
次から次へとくる魔獣をずっと抑えるのは体力的に難しいですから。
優先すべきはどっちだ――――
虫の息なバルー様。
今すぐにでもこちらに来そうな魔獣。
バルー様を助けているうちに、魔獣がこちらにやって来たら元も子もありません。
魔獣に集中しすぎて、バルー様が救出困難になっても元も子もありません。
それだったら答えは決まっています。
「ナミ様。そのまま傷口を抑えるのをやめないでください!」
一瞬で魔獣を片付ける。
それしかないです。
私は懐に入れていたナイフを取り出して、それに魔力を纏わせます。
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