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第一章 まさかの幽霊
成人になりたい(3)
しおりを挟む「御名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
「僕はホムラ。姓名はない」
「レイカ・アマムラです」
「ホムラ様とレイカ様ですね。ありがとうございます」
ダームさんは手に持った紙に、羽根ペンで何かを書く。流れからして名前かな?
羽根ペンって凄い。かっこいいんだけど。欲しい。お金が無い。
「Mリングをお渡しするのは、レイカ様でよろしかったですか?」
「はい」
私は頷く。ダーム様は少し顎を下げて、紙にメモをした。
……今心配になってきた。成人の証拠を出せと言われても出せない。いやでも必要だったらホムラが言ってくれるよね?
「ではまず、レイカ様のレベルの確認と、魔力の測定をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「はい」
私は何も考えずに頷いた。けど、ダームさんのこの言葉を聞いて、ホムラが動揺したのがわかった。
『どうしたのホムラ? もしかして頷かない方がよかった?』
私は思念を送る。
『いや、そういう訳ではない。ただ魔力の測定があるのを忘れていた! レイカの魔力は感じる限り人族よりも大幅に多い! レベルはまだ上げてないからLv1だろ? それなのにこの魔力量だったら報告される!』
なんだか色々大変な事をホムラが言っております。
私の魔力って多いの?
『報告って?』
『魔力量が多い新成人がいたら、本部に連絡がいく。本部に連絡がいき、興味を持たれたら召喚状が届く。身分的には平民のレイカには拒否権はないも当然』
『やばいじゃないですか』
『レイカ、今だけ僕に魔力を送って!』
『魔力を送るって?』
『とにかく魔力を出して!』
ホムラに言われるがまま、魔力をばんばん外に出していく。こんなんしてバレないのかな……。
魔力を察知する能力とかあるかもしれないから油断はできない。
『これ大丈夫なの? ダームさんにバレたりしない?』
『バレないようにレイカの魔力は全部僕が吸収してる』
『そんなことできるの!』
『精霊なら』
さすが精霊さん。抜け目ない。
『魔力測定って、最大の魔力量じゃなくて今持ってるだけの魔力を測るんだ』
『そうだ』
『Mリングって、今ある魔力を測れるんでしょ? 魔力量を偽って、その状態でMリング付けたら壊れたりしない?』
『問題ない。魔力測定は新成人の魔力量の確認目的。Mリングと魔力測定は一切関係ない。だから今のうちにレイカの魔力を減らしておく』
『……減らしすぎて殺さないでね』
『魔力枯渇まで吸収するわけがないだろう。あ、もうそろそろ放出を止めて』
『りょーかい』
私は魔力の放出を止める。
この間約10秒。ダームさんは測定器らしきものを準備していたから特に私達に違和感を感じていない様子。
ミサさんともう一人知らない男の人が机を運んでくる。そして、その上にダームさんが測定器らしきものを乗せる。
「では、ここに手をかざしていただけますか?」
「分かりました」
私は測定器らしきものに手をかざす。ピカっと測定器が光る。
そして、測定器らしきものの上空に数字が出てくる。
レイカ・アマムラ
レベル/Lv1
魔力量/1,500
魔力量1,500って多いのか少ないのか分からん。基準をまず知らん。
ホムラの方を見ると、少し安心したような顔に見えたから、大丈夫だったと安堵する。
「レベル1で魔力量1,500ですか。成程」
ダームさんが紙にメモをする。やべーみたいな反応がなかったから、平均的だったのかな?
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