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第一章 まさかの幽霊

成人になりたい(4)

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「御協力ありがとうございました。Mリングを貴女にお渡しします」

 ミサさんがMリングらしきものを持ってくる。そして、それをダームさんに渡す。
 ダームさんが私に向き合って、にこりと微笑む。

「左手を出していただけますか?」

 私は左手を出した。
 ダームさんは、失礼しますと言ってから、私の手に触れ、リングを通す。
 Mリングが私の手首に入ると、ぶかぶかだったリングが手首にフィットした。
 すげー、と思いながらリングを眺める。フィットした。これは外れないな。
 というか外したい時はどうするんだろう?

「あの、Mリングを外すにはどうすれば良いのですか?」
「こちらにボタンがあるでしょう? これを押せば外すことができます」

 私はボタンをポチッと押してみる。するとリングがぶかぶかに戻って、するりと外すことが出来た。
 おー。と少し呟く。
 またリングを手首に戻すと直ぐにフィットする。
 面白これ。暇な時に遊べそう。

「これでレイカ様は成人と承認されました。街で様々なことができるようになりますよ」
「ありがとうございます」

 私は頭を下げる。ホムラはほんのすこーしだけ頭を下げた。
 そして彼は直ぐに立ち上がる。つかつかと私のところに来て、私の腕を持って立ち上がらせる。

「じゃあ、僕達は帰る。今日はありがとう」
「いえ。お気になさらず」

 ダームさんは相変わらず微笑みながら、優雅にお辞儀をした。綺麗だわー。
 ホムラは私を引っ張って部屋を出て、そのまま教会もでる。ミサさんが最後まで着いてきてくれていたのでペコペコしておいた。
 教会から離れると、私はホムラから開放される。

「どうしたの急に?」
「あのまま中にいて、レイカがヘマをやらかしたらやばいと思ったから早く出た」
「あーそういうこと」

 納得。

「魔力量1,500って、多いの?」
「平均が1,000だから少し多いくらいだ。普通の状態で測っていたらと思うとゾッとするよ。霊体になると魔力量は3倍くらい増えるからな」

 ということは、私の元々の魔力量は3,000以上はあるってことなのかな? 半分くらいに減ってるんだ。
 とか思っていると、足元がふらりと揺れた。そこをホムラが助けてくれる。

「魔力が半分以上減ると、身体に影響が出てくる。Mリングは何色だ?」

 私はMリングに目を向ける。黄色に光っている。Mリングの説明に確かあったよね。青が普通、緑が三分の二、黄色が半分、赤が3分の1だっけ。

「黄色だよ」
「半分か……。今日は休んだ方が良さそうだ」

 魔力が枯渇したら死んじゃうんだものね……。生態反応みたいなのがでるんだろう。
 半分でも軽い頭痛と目眩。
 3分の1だとどうなるんだろう。怖。
 寝たら魔力が回復するんだっけ。

「どこで休むの?」
「そうだな……。だが宿屋は使えないか。金がない」

 無一文辛い。

「そこら辺で実体化して寝るのは不用心だ。せめて霊体じゃないと」

 ホムラは私を支えながら、来た道を帰っていく。
 そして着いたのはホムラと出会った場所。

「この場所、基本誰も来ないから。レイカが寝てる間は僕が守っておくから大丈夫。それに、霊体中だったら、人族にも魔物にも見えないから安心して」

 私達は実体化を解除して透明になる。
 ホムラが座って、私に横で寝転ぶよう促す。
 私はゴロンと横になる。

『おやすみ、レイカ』
『おやすみ』

 私は目を閉じる。
 疲れていたのか、睡魔はすぐにやってきて、私を飲み込んだ。
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