錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。

いいたか

文字の大きさ
52 / 385

第五十一話 龍王風凪

しおりを挟む
ドーラ様から話を切り出された俺は気持ちを切り替えて聞く体制に入る。
メイカや、マーリン様も同様だった。

「テイルには龍の加護を付与したのじゃ。 付与された本人を強化し、天職の能力を底上げしてくれるというものじゃ。 しかし、あの程度のものにテイルは後れを取ってしまった。 それは加護の力が覚醒しておらんかったからじゃ。 それを説明していたら対策ができたはずなのじゃ。 すまんテイル。 我のせいで犠牲を生んでしまった…」

深々と頭を下げるドーラ様、かなり思い込んでいる様子だ。
俺が強ければ何も問題なんてなかったはずだ、俺が力を過信していなければ…。

「ドーラ様はなにも悪くないよ。 それにマーリン様に弟子入りしたんだ。 これからどんどん強くなって、魔王の復活を阻止してやるさ。 大丈夫だよ」

俺はアリサの亡骸なきがらをそのままにしておくことが気がかりで早く家に帰りたかった。 それをメイカが察知したのか声を掛けて来る。

「テイル様、先にお屋敷の方へ戻り旦那様へアリサ様の訃報をお知らせし、ご遺体をどうなさるか聞いてまいります」

「あぁ、任せたよ」

「テイルよ、お主に覚醒とは何か話しておかねばならんの…」

真剣な面持ちでこちらを見ており、その様からかなり深刻な事が伺える。

「はい、なんでしょう」

「覚醒の鍵は感情の征服じゃ。 感情は喜怒哀楽だけではない、湧き上がってくる全ての感情・・・・・を、飲み込み、制するのじゃ。 意味を自分で理解することも試練の一つなのじゃ、我が出来ることはここまでである。 何かあれば都度言おう」

「感情の征服…」

考えたことも無かった。 だが、強くならないと魔族や悪魔族達が暗躍しどんどん犠牲者が増え、魔王が復活するかもしれない、ならばやるしかない。
ならば考えている暇はない、感情を征服することを考えよう。 

「テイル君よ、ワシからも一つあるのじゃが良いかね」

重い空気の中マーリン様が声を上げる。

「はい、なんでしょう?」

「無属性のサーチが使えると先な騎士に聞いたぞ、であればワシが身体強化を教えてやろうか。 使える者はかなり限られておるが、三賢者であれば全員習得しておるのでな」

驚きの提案だった。 願ってもない事だし、この様な機会は無い。 ありがたく受けよう。

「はい、お願いします!」


マルディン家の書斎前にて

「アリサがテイル様を庇うとは何があったのでしょう…。 ですが、今は遺体の処遇について旦那様に問わなくては」

急用を知らせるため少し勢いよくノックする。

「入れ」

「失礼します、テイル様付きの騎士メイカでございます」

「ふむ、テイル付きの騎士が何用だ?」

急に威圧感が増す、まるで人間ではない何かと対面しているような、そんな気にすらなる。

「テイル様の学院にて魔族、悪魔族が現れました。 そして、テイル様付きの侍女のアリサがテイル様を庇いお亡くなりになりました。 そのご遺体の処遇を聞き及びたく参りました」

「ふむ、何故庇ったのか知らんがあの下らん暗殺貴族・・・・のエリーシア家の末女が死んだか、死体はどこかに捨ておけ」

返ってきたのは無慈悲な答えでした。 でしたら私のやる事は一つです。
心優しいテイル様ならきっと…。

「わかりました。 でしたら遺体の処遇はテイル様に一任して頂けませんでしょうか?」

「ふむ、構わん。 好きにしろ。 所詮使い捨ての駒如きを我が家では埋葬はせん。 これは絶対だ」

「畏まりました。 ただちにテイル様にその旨をお伝えに参ります」

私は、疾風アネモイの如き速さで馬を走らせ、学院へと向かうのでした。
しおりを挟む
感想 48

あなたにおすすめの小説

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

異世界亜人熟女ハーレム製作者

†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です 【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...