錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。

いいたか

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第五十二話 心の抱擁

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「テイル様っ!」

物凄い速さで馬を走らせて来たメイカがかなり物々しい雰囲気で何かを伝えて来ようとしている。

「おかえり、メイカ。 どうだった?」

「はい、旦那様のご意向を聞いて参りました。 遺体はテイル様に任せる…と。 マルディン家では弔わない…との事でした…」

「そう…か」

俺は深く考え込んでしまう。
ここはマーリン様に相談することにしよう。

「マーリン様…。 一つご相談があります…。 学院の敷地内にアリサの墓を作らせては頂けませんでしょうか…」

マーリン様は一瞬考える。

「ふぅむ、ワシらには関係のないことじゃ…と断りたいことじゃ…。 じゃが、今回の件、学院の不祥事でもある...。 それに魔族達が関わっておるからな…。 いいじゃろう、敷地の一角に小さな墓を用意することを許可する。 しかし、条件じゃが...、あのルクインダルクの墓も作ってやってはくれんか。 決してき者とは言えんかったじゃろうが、彼奴あいつも貴族で…この国の民で…この学院の生徒になる者じゃったのじゃ。 愛してやりたかったのじゃ」

「わかりました…」

俺はこの国では普通はしないが火葬をしようと思っている。 異世界の知識が濃くなってしまった為…だろうか。 最期にほんしんを見せてくれたアリサに最大限出来る限りの誠意をもって弔ってやりたい。

「マーリン様、ドーラ様、メイカ…。 俺はアリサを火葬しようと思っている」

「ふむ、火葬とは極東の地方のサカイなどの弔い方じゃったか。 なぜ急にその様な事を」

マーリン様は訝しげに問いかけて来る。

「マーリン様…。 今、メイカとドーラ様は事情を知っているのでお話しますが、僕は転生者です。 極東の地方に極めて風習の似た異世界から転生してきました。 ですので、僕を命を賭して助けてくれたアリサに最大限の誠意を見せたいのです…。 墓に入れることは代わりありません」

「…じゃろうと思っておったわい」

マーリン様が意外な反応を見せる。 そしてドーラ様は何やら先ほどから考え込んでいる。
何かを伝えようとしているのだろうか…。

「ワシはここまで知識があるお主が少々おかしいと思っておった。 それこそ、勇者の様じゃとすら思った。 勇者は神の制約でこの世界に技術をもたらしてはならんと言っておったんじゃ。 テイル君、お主は違うな?」

「はい」

「そうか」

それだけ聞くと、マーリン様とドーラ様は懐かしそうな顔をする。

空飛ぶ乗り物ひこうきや、蛇の様な形の乗り物しんかんせん馬の要らない馬車じどうしゃなど面白い話をワシは聞かせてもらった。 あの時の勇者の顔...、忘れられんよ。 テイル君よ、君の世界にも似たような物はあったのかの」

「僕の世界は勇者様と同じ地球でした。 そして国も同じ日本です。 なので、文化も、文明も、ほとんどが一緒です。 そして、質問の答えですが、それらはありました」

マーリン様はそれはそれは驚いた顔をされる。 そして、目には涙を浮かべている。

「っ…! そうか…。 地球の…。 日本の…。 お主は…」

転生している…という事は俺が地球で死んでいる事に気付いてしまったのだろう。
マーリン様はそれ以上声を出す事は無かった。

「テイル様、前世の事…お話になってよかったのですか?」

メイカが俺の身を案じてくれる。

「あぁ、マーリン様なら大丈夫だよ。 とりあえず、俺はこのままにしておくわけにもいかないし、火葬の準備をするよ」

「私もお手伝い致します」

「ありがとう!」

そして、俺は前世でやっていたゲームの中の知識・・・・・・・・から遺体の一部から人工のダイヤモンドを生成出来る事を思い出す。

これは調べたら実際にあり得ることだったらしい。
遺骨から不純物を取り除き、高純度の炭素成分を抽出しする。 そして、その炭素を機械へと入れて高温、圧縮処理することで結晶化し、合成ダイヤモンドを生成する…というものだ。
錬金術で再現する事は可能だろう。

なぜだかずっと、ドーラ様は難しく何かを考え、こちらを眺めていることが気になってしょうがない。
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