錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。

いいたか

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第百二十六話 聖気

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「本当か!」

慌てて兄上に駆け寄る。

「テイル…ごめんね。 僕がしっかりしていなかったから…」

「喋らないで! まだ身体が不完全な状態なんですから! 早く戻って美味しい物を一緒に食べましょう? そうだ! 俺も貴族になったんです! しかも子爵ですよ!」

兄上は微笑むとゆっくりと目を閉じた。

「兄上!!!」

「大丈夫です。 サイド様は眠っただけです。 帝国の住民は多分じきに皆目を覚ますでしょうし、どこかで一度休んで馬車を借りて王都へと戻りませんか?」

「うむ、それが良いじゃろう。 そして、この浮いてるクロキの魂じゃがな。 テイルに浄化されてからか分からんが僅かに神気を放っておる気がするんじゃ。 神気に触れた事など殆ど無いが多分間違いは無いと思うぞ」

神気とは神の持つ魔力の様な力の事である。
だがこれは神気とは違う様な気がして…。

「違いますよ、マーリン様。 これは聖気だと思います。 上位の精霊や天使などが持つ力です」

合点がいった。 神気に近い質を持っており、かなり強い力を放つので間違いはないのだろう。
だがしかし浄化しただけなのにどうしてだろうか。

「なるほどな。 本来の魂の質と、テイルの神から授かった力の物じゃろうな」

「な! ではテイル様は故人の魂を精霊や天使に変えてしまう程の力があると!」

「それしか考えられんじゃろうな。 侍女の魂をも聖剣の一部に出来たのであるぞ? 可能性が無いわけではあるまい」

そうこうしていると、光の球体が人の形になっていく。

(勇者テイル…救ってくれてありがとう。 これからは人の為、この世界の為にこの魂を使う事を誓うよ。 心の隙を突かれたとは言え勇者だった者が魔王に利用された事は非常に不服だが、これからの行いで償わせて貰う)

「眠りに付いたり転生なさる事はしないのですね?」

(あぁ、これが自分にとっての最善だから。 いつかまたこの咎が消えた時には生を受けるかもしれないが)

「そうですか…。 その時は友になれる事を祈って居ます」

(ありがとう、世界を跨ぐ勇者よ)

そういうと、人の形をしていた光は光の雪となって謁見の間に…いや、帝都に降り注いだ。
世界を跨ぐとはどういう事だろうか?
地球の神の加護の事だろうか?

「テイル、皆よ、帝都の様子を見に行くぞ」

「はい! サリィ、兄上は俺が担いでいくよ」

「心配は要らん、このガイル様が背負ってやろう。 勇者にそんな雑用はさせられんさ」

「いいや、俺がしたいんです。 兄上を感じて居たいんです。 長らく感じれなかったですから」

「そうか」

ラファイアル嬢とメイカがほろほろと泣いていた。
この二人は涙脆いのだろうか? 触れてしまうのはデリカシーが無いと思うのでマジックバッグからタオルを二枚出し、二人に渡しておく。

「テイル様? そういうところですよ?」

サリィに言われた言葉の意味が全く理解出来なかった。

「では、帝都の状況を見つつ避難させた人々を街へと戻そう」

「了解です!」

まだ少しだけ帝国でやる事が残っていた。
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