異世界から元の世界に派遣された僕は他の勇者たちとは別にのんびり暮らします【DNAの改修者ー外伝】

kujibiki

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第3話 京都御所

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僕が使う魔法の一つ【転移門ゲート】では行ったところにしか転移できませんが、【世界応答ワールド・レスポンス】では地図上にタッチするだけで初めての場所にも転移することが出来ます。

ただ、【転移門】では転移する場所に誤差はありませんが、【世界応答】では指のタッチ加減で若干誤差が発生してしまいます。

「あれが御所ですか…?」

「昔のイメージのままだけれど、周りがすっかり変わったな…」

アイのつぶやきを聞き流し、自分も感じた事を口にします。
転移した先は近くの建物の屋上だったのですが、屋上から周りを見回すと高層な建物は無く、木造の家屋も見られません。

都市の規模にもよるのか、町並みは大きなガラスブロックが規則正しく建ち並んでいるように見え、そのガラスの中に本来の建物があり、人々が生活しているのが見えます。
全ての建物がオフィス兼住居なのかな?

そして、この京都でも屋上は緑化されており、屋上直下階から空を飛ぶ車の様な物が出入りをしているのが分かります。

比較的小さな乗り物等は地表に近く、大型車両などは建物の上空を利用して交通網が成り立っているようです。
その為に車のような物が出入りする建物は高さが揃えられ、ある程度の間隔で大きく纏まっているのかもしれません。

「ヒューマンかリーマンか分かりませんがさっきの街よりも人が多いですね」

「現在も観光都市なのかも…」
「ちょっと【検索】を改良した魔法を創っておくよ…【生体判別】」
「これがあればヒューマンかリーマンかの区別もつくし、今後侵略者に相対しても分かると思うよ」

【検索】では目的の物や人、性別なども分かりますが、【生体判別】は生き物に特化して情報が分かるようにしてみました。
ちなみに赤色がヒューマン、青色がリーマン、異星人及びその他がグレー色になるはずです。

「さすが、マスターです」



XX XY



さて、御所に入ったのは良いけれど意外に人が多いな…。

「マスター、あの団体の半分がリーマンですよ」

「あれって旅行者じゃ…。それをアンドロイドに行かせるなんて…」

早速マオが【生体判別】を使って周りを見ているようです。

「リーマンはどれも似たり寄ったりで怖いですね」

「そうか、リーマンは本体と同じ容姿じゃない場合もあるのか」

性別や体型、髪の色や肌の色、オプションで個性が出せるみたいですが集団でいるとアイの言うように違和感があります。
怖い世界になったな…。

そんな事を考えながら、ここからは【検索】で対策本部を探します。
観光客が近づかない地帯に警備の厳しそうな所があったのでそちらへ向かう事にしました。



「あなた達は観光客ですか!?」

「ここからは政府関連施設の為、立ち入りは出来ません。引き返してください!」

二人の警備員が僕達を見かけるなり駆け寄ってそう言ってきます。

「ここは日本の侵略者対策本部ですよね。責任者に会わせてください。おそらく僕達と同じように訪ねてきたグループがいくつかあるはずです」

「どうしてそれを…」

「僕達も一応侵略者に対抗する者として来ました」

「お前たちが…? その恰好で…?」

「本当に観光客じゃないのか?」

確かに既に4組の勇者と呼ばれる者達が来ていますが、この三人は異質です。
一応本部に連絡しておくか…。

「あ~、僕達は魔術師なのです」

そうこうしている内に応援が来て10人ほどの男性に取り囲まれます。
その内半分はリーマンのようです。

「魔術師だって? それにしても武器や防具も持っていないなんて…」

「杖すら持っていないじゃないか」

「もしかして、そういう恰好の勇者みたいな方が来ているのですか? 僕達には杖なんて必要ないのですよ」

そう答えると何人かが魔法を見せてみろと騒ぎ始めます。

「仕方が無いなぁ~【火檻】」

分かり易いように声に出してあげると全員の頭上に向け火球が発射され、そこから鳥かごのように拘束していきます。

「「「何だと~!」」」
「「うそだろ~!」」
「いきなり全員に…!?」
「「ほ…炎が…」」
「「こんな物…」」

「ジッとしていて下さい!」
「手加減していますが触ると火傷では済みませんよ。リーマンでも触ると溶けてしまいますからね。しばらくすると消えますから…」

警備員が【火檻】に触れようとするので注意し、彼らを横目に目的の建物に進みます。
出入口らしき前まで来ると扉が自動で開き少し先には一人の女性がお辞儀をしているのでした。

「マスター、こちらの方は生身ですね」

「そうみたいだね」

この世界で初めて生身の女性に会えました…。



XX XY



地下深く連れて来られ案内された部屋には別の女性が待っていました。

「申し訳ありませんでした。まさか本当に5組目が現れるとは思わなかったのです」

「5組目ですか…?」

「最初に来た勇者達がそう言っていたのです」

「そう…ですか…。僕達は何組がこの地球に送られたか知りませんでしたが、僕達が最後だと聞いています」

そう答えながらその女性を【生体判別】で調べるとヒューマンでした。
そして更にこの女性に意識を向けると詳細項目が表示されます。

一宮さくら
性別:女
年齢:26歳
身長:163cm
体重:50kg
B:82cm
W:54cm
H:86cm
【処女】【共生婚】

「ブフォッ」
(な…なんだこれ…)

【生体判別】というより【生体鑑定】だな…。
身体的特徴が分かって良いけれど、『処女』と『共生婚』って…。
結婚しているのに処女だと…。

《ご主人様、便利な魔法でしたね》

《この人処女なんだ~》

「どうかされましたか? あっ、申し遅れました、私は本部の責任者をしている一宮さくらと申します。よろしければ皆さんのお名前を…」

「そうでした…、僕はシャルル。こちらがアイ、もう一人がマオと言います」

アイとマオも挨拶を交わします。

「勇者様も本当に様々なのですね。シャルル様はハーフですか? アイ様やマオ様は異世界のお姫様とか…? とても珍しいパーティーですね」

三人とも容姿や体型はリーマン以上に整っていて、これまでの勇者達とは雰囲気もずいぶん違います。
存在感に圧倒されそうです。

《アイ様だって、久しぶりね》

アイの言うように、僕が前世で20歳になった時にパートナー達にアイとマオを公表したのです。
僕が魂を別けた大切な女性だと紹介したので、その後二人は皆の先生役として暮らしていました。

「他の4組は知りませんが、僕は一度異世界人として生まれ変わりましたから…。髪と瞳は黒色ですけれどね」

「そ…そうでしたか…」

シャルル様と目を合わせているとなんだか引き寄せられそうな感じになります。



「シャルル様達は現在の日本の事はお分かりでしょうか?」

「いいえ、ほとんど。西暦が2042年で終わり、光暦に変わって現在が光暦127年だということ。リーマンがいると言う事ぐらいですね」

「そうですか…。ちなみにシャルル様が日本におられた時はいつでしょう?」

「最後は西暦2019年ですね」

「150年前ですか…、それは変わってしまった光景に驚かれた事でしょう」

「ハハ…、まるで異世界ですね…」

一宮さんの話を聞くと、あの後第三次世界大戦が勃発し世界中が何かしらの被害にあった後、異星人が表舞台に現れ、地球の気候や環境、エネルギー問題を解決することに助力してくれ、更に重力から逃れる技術を教えてくれたそうです。

しかし、現れた異星人は一種族だけではなかった上に、人類に対して悪意を持つ種族もおり、自然と地球上で敵味方に分かれてしまったそうです。

まぁ宇宙人がいる事はずいぶん前から言われていたからね。
それらが隠れる事を止めたのでしょう。

まだそこまでは良かったのですが、共産国家(CN国)が技術の先行と独占を画策し、人類に対して悪意を持つ異星人と手を組んだことが始まりとなり、共産国家は次第に乗っ取られ、(CN国)政府が異星人に支配されると第四次世界大戦の火ぶたが切って落とされたそうです。

敵が侵略者(侵略者に乗っ取られたCN国人含む)だと世界中が理解した後、西暦から光暦に変わり、人類と侵略者との争いが続いているらしい。
現在、ユーラシア大陸の東側(RU国含む)は侵略・掌握された状態になっているそうです。

(あれから二回も世界大戦があったのか…)

衝撃の事実だな…。
しかし、現在のテクノロジーが異星人からもたらされたと聞けば頷けます。

「それで、異星人の種族については? 人類の味方もいたんでしょ?」

「はい。敵対している異星人は西暦時代に予想されていたままの種族で、触手のおばけみたいなタコ型や、眼だけが大きいグレイと呼ばれていた者ですね。その他にも色々…」
「でも、友好的な異星人は私達と変わらないほぼ人型だと言われています」

「そうなんだ…」

「本当かどうか分かりませんが、いわゆるエルフや獣人のような異星人がいるそうですよ」
「まぁ、勇者様のパーティーの中には実際にエルフや獣人、サキュバスだとおっしゃる方達もいらっしゃいますからね。友好的で良かったですよ」

「エルフや獣人だって~っ!? どうして地球の方がファンタジーなんだよ…」

そうか、やっぱりエルフがいる様な異世界で暮らしていた者もいるのか…。
サキュバスって魔族じゃないのか…?
前世には満足しているけれど、なんだか納得できません。

「ご主人様、友好的な異星人の方たちと仲良くなって宇宙へ連れて行ってもらいましょうよ」

「宇宙旅行した~い」

「そ…そうだな、宇宙には行ってみたいよな…」
「一宮さん。宇宙開発はどうなっているの?」

「え~っと、月にも火星にも実験的に人類は住んでいますよ。宇宙ステーションもあって、そこはお金持ちなら旅行感覚で宿泊できるみたいです。宇宙船も開発されていますからコロニーの建設が次の目標ですね。そうそう、他の勇者様も驚いておられましたが、モ○ルスーツもあるんですよ」

「なんだって…」

ガ○ダムがとうとう…。
僕のいる時代だと外観だけでちょっと手足が動くだけだったんだよな…。

「あっ、まだ陸戦タイプのみでイメージも違うと思います…」

「そう…なんだ…。でも、そのモ○ルスーツで侵略者をやっつければ良いじゃない」

「もちろん各国が協力し試みました。しかし…、侵略者を追い出すには至らなかったのです」

「……」
一宮さんの話を聞くと、異星人にはロボット攻撃という概念はなく、最初は上手くいったそうです。
ですが侵略者はロボット攻撃に対して乗っ取ったCN国やRU国の大量破壊兵器を躊躇なく使用するようになり、大規模攻撃は仕掛けられなくなったのだそうです。

その時に朝鮮半島が消滅したとか…。

反対に侵略者は人類を食したり実験したり、又生物を改造したりリーマンなどを操って攻撃してくるそうなのです。

好意的な異星人に手助けしてもらえばと思いましたが、地球に来ているのは比較的少数で、尚且つ地球のせいで自分達の星が戦争に巻き込まれたくないのだそうです。
まぁ、そんな事になれば星間戦争スター・ウォーズだからな…。

「マスター、お腹減った~」

「そうだった、僕もお腹が減ったよ~」

「では、皆さんを部屋と食堂へご案内しますね」



XX XY



「ふぅ~」

久しぶりに疲れました…。

今日現れたシャルル様一行。
パーティーとしては最少人数です。

警備員から連絡が入り建物の外部映像を見ていたのですが、どうやって魔法を使ったのか分からないほど早く、警備員が一瞬で火の檻に捕らわれていました。

それを見て一瞬で彼らが5組目だと判断したのです。

これまでの勇者一行は昔の小説やアニメで登場するような典型的な恰好でしたが、シャルル様達は本当に観光されているかのような軽装だったのです。

食事をされている時も揉めたり騒ぐことなく、まるでパートナー同士で過ごすかのように穏やかで、エルフの方達に会いたいなどと楽しそうでした。
それにしても三人ともよく食べられます。

又、この本部での部屋は三人共ご一緒で良いそうです。
アイさんとマオさんはシャルル様の事をご主人様やマスターと呼んでおられますが一体どういったご関係なのでしょうか。
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