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第12話 身体検査

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久しぶりに対策本部の自分達の部屋に転移し、さくらのオフィスに向かうと、さくらが待ちわびたように飛び付いてきました。

「シャルル様~! なかなかこちらに来られないので心配しましたよ」

「今の生活拠点は宝条家だからね。緊急時でもないし…」

「ゆっくりお話し出来ないので寂しいですよ」

「さくらも宝条家に出入り出来るようになったじゃない。玲にパートナーになったと言ってね…」

「そ、それは…、申し訳ありません」
「だって玲様があまりに艶やかで若々しくて…。シャルル様、玲ってまさか…」

「そのせいで玲もパートナーにする事になったんだよ…」

「そ、そんな~」

シャルル様のパートナーになる為にはセックスをしていただくことが前提ですが、シャルル様に身体を洗っていただくと身体の疲れや弱っているところが無くなり、更に子宮が覚醒することで艶やかで若々しく変貌するそうです。
私の時はセックスをしてもらった後にパートナーにして欲しいとお願いしたのですよね…。

「そういえば桂司組は北海道に戻ったんだよね?」

「はい、でも近い内に別の勇者達が帰ってきますね」

「侵略者の事は他の勇者たちに任せて、僕達はゆっくり旅行したいから出来るだけ関わり合いたくないかな」

会うまでは興味もあったけれど、結局、あまり話すこともなかったし…。

「そんなぁ、シャルル様は私を置いて行くのですか~」
「温泉旅館の予約をいっぱいしますから~」

「さくら、そんな事をして大丈夫なの? 一応けっこう立場の上な公務員なんでしょ? 僕達ばかりに優遇して一緒に泊まるのは…。あぁ、予約だけなら問題ないか、支払いは自分ですれば…」

「さくらさん、権力の私物化で捕まるんじゃ…」

「仕事してる?」

「アイ様もマオ様もひどいです」
「私も法律上シャルル様のパートナーなのですからね」

「尚更まずいんじゃ…。それに勇者達って基本的に自分達が優遇されていないとすぐ拗ねるから…」

「ご主人様、仕方がないのでさくらさんにもスライム・リーマンを作って差し上げれば…」

「やっぱりそうしておいた方が良いか…。一応大切なパートナーだからね」

「大切だなんて、嬉しい~」



さくらを僕達の部屋へ連れて来ると裸になってもらい、スライムで全身の型を取ります。
それから【知能複製】で【AI】を作って、コントローラーの指輪を用意して…。

「はい、完成!」

「うそっ、私がもう一人…」

「さくらは僕のファースト・スライムを知っているでしょ?」

「はい、もちろんです」

「お尻を押さえて顔を赤くしない!」

「だって~、あんなに…」

「それで、これは同じように僕の魔法で作ったスライム・リーマンなんだよ」

起動用の指輪を見せ、【接続】【転移門】【結界】魔法の説明をしておきます。

「では、このリーマンが私と同じように勝手に行動を? それに転移魔法まで…」

「そういう事。まずは起動して【接続】して試してみれば?」

「そうですね」

さくらはリーマンを起動させると【接続】して司令室に向かわせました。



「凄いです。頭の中に司令室の中の様子がはっきりと…、私が思った事を話しています」

「今は本体のさくらがここでジッとしているから良いけれど、さくらが行動中に【接続】するのは少し慣れないとね」
「【接続】を止めれば、勝手に一宮さくらとして行動するよ。たぶん…」

まだ【知能複製】した【AI】がどこまで本人と同じように行動するのか分かっていませんが、玲や可憐さんにも特に問題は起きていません。

「ではこれで私はいつもシャルル様の側に…、【転移門】で宝条家にも一瞬で行けると言う訳ですね」

「スライム・リーマンは金属じゃないけれど、瞳は金で出来ているからね。虹彩も指紋も無いから施設の出入りなどには注意するように。指紋ぐらいならコピー出来るけれど…」

「そうでした。本部内にリーマンは入れませんからね。でも機械では無いので問題ないでしょう。瞳の大きさの金ぐらいはアクセサリーみたいなものですよ。指紋はあると助かります」

「まぁ、さくらがそう言うのなら良いけれど…、とりあえず服を着ようか…」

「もう~、シャルル様~。は仕事に行っていますからこのままセックスをしてくださいよ~」



XX XY



「くふぅ~っ、スライムが気持ち良いです~」

両乳首と剥き出しになったクリが繋がって…。

「さくらさん、しっかり訓練してくださいね」

「ヤリ過ぎても治してあげますからね~」

「アイ様、マオ様…」

シャルル様のファースト・スライムの様にシャルル様に擬態する訳ではないそうですが、様々な“モード”で胸や女性器などの訓練が出来るようになっていて、使い方によっては自分で尿道や子宮口、お尻の穴も訓練できるそうです。
(ゴクリ…)

「ほどほどにね…」

セックスした後に本来の目的であったスライムを作り、さくらに装着させてみました。

今のスライムの【AI】は前世のパートナー達の使い方や経験も蓄積されていて、ありとあらゆる性技で女性を悦ばせる究極の魔道具なのです。

※スライム
前世で作ったスライム形状の魔道具。
見た目や質感はド〇クエ等ゲームに出てくるようなイメージで、平常時は手のひらサイズ。
マオが産み出していた属性石を瞳状に加工し、知能などを完全にコピーした【AI】の下、【接続】や【振動】、【変形】など様々な魔法が付与されています。
前世ではパートナー一人に付き一つが与えられており、パートナーの好みに応じて成長していました。



「あっ、忘れる所でした。シャルル様、今日の午後、皆さんに身体検査を受けていただくことになっています」

「どこも悪くないけれど…」

「これは政府の研究機関が異世界から戻って来られた勇者様達の調査という事になっているのです」
「皆さん身体能力が高く、魔力もお持ちですからね」
「それに勇者様達の中には異種族の方もおられますから…」

「なるほど…」

いずれ地球人が魔法を使えるように研究でもしているのかもしれないな…。



XX XY



「やぁさくら、久しぶり…って、さくらなの!?」

「もちろん私よ。かえでも元気にしていた? 前の勇者様達の検査以来ね」

「そ、そうだけど…、なんでそんなに若返ったみたいになっているのよ」

「フフ…、内緒」

「同期の私にも言えない事なの?」

「プライベートのことだから…ね」
「それよりほら、今日は5組目の勇者様達に来ていただいたんだから仕事してよね」

「もう、はぐらかして…」
「そ…それにしても今回の勇者様達は人間とは思えないほど美男美女の三人ね」

異性として、同性としても見蕩れてしまいます。

「私は吉岡かえでと言います。勇者様達の身体能力の研究をしている一人です」

「僕はシャルル。こちらはアイとマオです」

「シャルル様はハーフで、アイ様は外国の方みたいですね。マオ様はまさに東洋の美と言う感じです」

「一宮さんにも話していますが、私は異世界に生まれ変わったのでこんな容姿なのです。僕達は似ていませんが魂で結ばれている存在ですね」

「魂で結ばれているとは興味深いですね」

「ハハ…、一心同体みたいな感じです」

「はぁ~? では早速研究…、いえ、検査をさせていただきたいと思います。どうぞこちらへ」
「ちょっとさくら、あなたの検査もするからね!(ボソッ)」

「どうしてよ~(ボソッ)」

「どうもこうもおかしいでしょ。そんなに若返って…。私も勇者様の研究より若返りの研究をしようかしら。もう見えない所がボロボロなんだからね!(ボソッ)」



XX XY



僕達は検査用の衣服に着替えさせられると、かつてSF映画で観たようなコールドスリープ用のカプセルみたいな物に入り身体を調べられました。

現代ではこれに寝ているだけでほとんどの事が分かるそうです。

もちろん血液も採取されたのですが、最初は身体に注射針が刺さらなくて驚かれました。
特に危害だと感じてはいなかったのですが、改めて自動で防御されているのに気付きました。

僕達のDNAが調べられるのかな?
少し興味があります。



「シャルル様、アイ様、マオ様、お疲れ様でした」

「さくらの検査も長かったね」

「もう、かえでがしつこくて…。私の方が研究材料にされた気分です」

「そういえば、ギャラリーが多かったね。いつもああなの?」

「今回は特にですね。アイ様とマオ様は他の女性達とは美しさのレベルが違いますからね」

それにシャルル様の身体も食い入るように観ていました。
シャルル様ほど格好良くてたくましい男性を観る機会もそうありませんからね。

「フフ…、それにはさくらさんも含まれていますよ」

「マスターのパートナーですからね」

「お二人からそんな風に言っていただけると嬉しいですよ」
「では、着替えて検査結果を聞きに行きましょうか?」

「もう、検査結果が分かるの?」

「はい。ここは病院じゃなく研究機関ですから特に早いですが、一般の病院でも一時間ほどで分かりますね」

やはりこの世界の医療は進んでいるようです。



吉岡さんは僕達に検査報告をする為に部屋に入って来てから難しい顔をしています。

悪い所は無いはずなのですが、検査資料を見返しながらウ~ンと唸っているのです。

「かえで、検査結果はどうなの? 早く教えてよ。私達もさっさと帰りたいんだからね」

私まで検査を受ける事になって時間が掛かったわ…。

コホン…。

「そ、そうね、勇者様達もさくらも異常は無かったわ…」
「でも、全く異常がないことが異常なのよ」

他の勇者様達も健康だけれど何かしら注意点はあったのに…。

「どういうこと?」

「シャルル様達は文句の言いようもないほど完璧な身体をされているわ。DNAも性別や身体的特徴の違いしかないみたいで、検査機器が壊れているのかと思うほど三人の遺伝子はほぼ同じだったわ。シャルル様がおっしゃっていたまさに一心同体ね」

あまりに美しく完璧なDNAだったので精子と卵子を補完させていただきたいと思ったぐらいです。
さすがにここではそんな事は出来ませんが…。

でも、シャルル様の精子欲しい~。
他の検査員たちもそう思ったに違いありません。

特にシャルル様は異世界人の体質なのか男性器が異様に大きいみたいです。
集まって来ていた研究員たちも形を想像してワーワー、キャーキャーと騒いでいましたからね。

そして、三人には不明な塩基対も…。

とはいえ、転移した元日本人の勇者様達もDNAが地球人とは若干違っていたので不思議ではありません。
おそらくそこに力強さや魔力の有無が関係するのかもしれませんね。
種族の違う方達は未ださっぱりですが…。

「良かったですね皆様…」

「それで、問題はさくらの方よ」
「あなたにも全くと言っていいほど問題がないのよ。免疫機能やホルモンバランスも正常だったわ」
「見た目だけじゃなく中身まで本当に若返っていたのには疑問だわ。まるで10代よ」

でもなぜか大腸内に排泄物がほとんど無かったのよね…。
腸内洗浄でもしているのかしら。

「フフ…、良かったわ…」

身体が覚醒して生まれ変わったんですもの、シャルル様のおかげですね。

「吉岡さん、免疫疾患やホルモンバランスが異常な方って多いのですか?」

「そうですね。数十年前から病気になる原因はほぼそれですね。もちろん最終的な死因は脳や心臓の病気、癌などになりますが…」
「単体の癌なら簡単に治療も出来ますが、様々な病気に派生する免疫疾患やホルモンバランスの異常は気付いた時には手遅れになることもあるそうです」

「そうなのですか…」

玲の病気もありえた訳か…。

「フフ…、シャルル様達にはそんな心配は無さそうですけれどね」



XX XY



「おかえりなさい、シャルル様~」

「ただいま玲…様…」

僕が宝条家に帰ってくると急いで出迎えてくれました。
早速リーマンを使っているようです。

「フフ…、もう玲と呼び捨てて下さってかまわないのですよ」

「まぁ、本体にはそうさせてもらおうかな(ボソッ)」

「玲様、お邪魔します…」

「あら、一宮さんもご一緒ですか…?」

「ひどいですよ玲様…。私の方が先にシャルル様のパートナーになったんですからね」

「後も先もありませんわ。私が全身全霊を持ってシャルル様にお仕えしますから」

「それは私もです!」

くっ、若返られて本当に綺麗です。

「まぁまぁ、二人の気持ちは分かっているから…」



ムチュウ~。

夕食までリビングで寛いでいると不意ではありませんが、玲が僕の頬に手を添えてキスをしてきました。

「シャルル様、お待たせいたしました」

「うん、ただいま」

やっぱり玲本体はキスをしてくるようです。

「えっ、そこにいる玲様はリーマンだったのですか~!?」

「さくらにも作ってあげたじゃない…」

僕達は一度本部に寄ってから宝条家に帰ってきています。
さくらも一緒に来るためにリーマンを起動させてきたようです。

「本来ならリーマンはリモートですからね。同時に行動出来て本当に助かりますよ。それにゼロ・エネルギーですし」

そう言いながら玲はリーマンと入れ替わるように座ります。

「シャルル様、今日は何をなさっていたのですか?」

「身体検査に行ってきたんだよ」

研究機関で受けてきた事を話します。

「そうだったのですか。私も先日受け直したのですが、お医者様もありえないと驚いておられましたよ」

誤魔化すことが難しくて、国家機密だと強引に押し切りました。

「まぁ癌はともかく、免疫疾患やホルモン異常まで一晩で治ったのだから驚くよね」

「それもありますが若返っていたので…」
「シャルル様、今晩もお願いしますね」

「なっ、玲様、ずるいですよ」

「さくらは朝にしてあげたじゃない…。それにスライムもあげたでしょ」
「まずは“二つの球モード”で一日耐えられるくらいにならないとね」

「そ、それなら玲様だって…」

「じゃあ、今晩は玲とさくらと三人でお風呂からね。明日からはさっき言ったようにするから」

「そんなぁ~」

「シャルル様、“二つの球モード”とは何の事です…?」

「それは明日のお楽しみ」

二人に訓練として渡しておけばゆっくり旅行に出られそうです。
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