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第4章 ルシアの攻勢
2 皇国の混乱
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皇国博多
朝鮮からの避難民を満載した船が溢れかえっている。九州北部の港はどこも同じだ。逃げることが出来た連中はまだ幸せだ。取り残された者は悲惨だろう。ルシアの連中は皇国民を蛮族としか思っていない。自国の民でさえ半分農奴なのだ。ましてや20万を越える大軍、兵站部門は地獄だろう。馬車が足りているはずもない。イギリスあたりでは鉄軌が動いていると聞いている。だがルシアでそんな話は聞かない。物が足りなくなれば兵どもは必ず略奪を始める。アーネン・ニコライは知将だが、略奪まで止められるとは思えない。略奪を許してしまうと領地経営にマイナスだとわかっていても十分な兵站を確保出来ないのだから仕方がない。
京都護国省参謀本部
軍総司令官豊臣秀安元帥、参謀総長蜂須賀大将、作戦参謀豊臣秀綱少将、その他お歴々が居並ぶ。作戦会議室には重苦しい空気がただよう。情報参謀豊臣秀光(ひであき)准将が状況報告をしている。参謀本部は全て豊臣系で固められている。
「・・・船が圧倒的に足りません。朝鮮在住の皇国民が多数、取り残されています。軍事的損害は大津駐屯軍4万が壊滅、鷲巣砦にこもった本多少将以下の2万はルシアに降伏。朝鮮の軍は8万おりましたが、各個撃破され、これも壊滅。計14万をむざむざ失ったことになります。」
参謀総長蜂須賀大将が吠える。
「本多めえ、もう少し粘らんかあ。意気地のない。」
秀綱がとりなすように言う。
「援軍の来ない籠城は意味がない・・・。我々は援軍を送ってやれん。」
参謀長が問う。
「本土の兵力はどうなっておるか?」
「それは人務参謀から。護国省常備兵力12万、近衛1万5千、大名の抱える藩兵は現在集計中ですが、10万から15万の間かと。最大で28万強。藩兵は今、大動員中です。」
「むう、まず近衛は動かせん。陸軍兵力も2万は残して都の守りに3万5千程度は残しておかねばならん。今すぐ博多に動かせるのは10万か。藩兵動員急がせろ。それと水軍の状況は?」
「千石船30隻、5百石船60隻、3百石船100隻です。ですが全国の港に分散しております。」
「全部博多に集めい。」
「はっ。」
「武器は?」
「はっ、兵站参謀から報告します。1.5キロ野戦軽砲30門が今月中に引き渡し可能とのこと。平出屋辰野兵器廠の現在の生産能力は・・・日産10門です。」
「ほう、一月で300門揃うのか?待て、弾は?弾はどうだ?」
「装薬・鉄球弾を一体化した装填筒を日産三千発。」
「なに?それは本当か?」
そのとき参謀本部の下士官が入室し、豊臣秀安元帥に耳打ちする。
「なに、来たか。すぐ通せ。諸君、真田繁信少将を呼んでおいた。今到着したそうだ。対ルシアの実戦経験者だ。意見を聞こうじゃないか。」
扉が開き、赤い筒袖、7つボタンには大砲と馬、これまた赤い軍帽を抱えた真田繁信が実に色気のある敬礼をする。ピシッと音が聞こえたような気がするほどだ。右えりには真田家を表す六文銭のマーク。軍帽を抱えた左手の薬指にはさりげなく銀の指輪がはまっている。
「真田少将、お呼びにより参上いたしました。」
朝鮮からの避難民を満載した船が溢れかえっている。九州北部の港はどこも同じだ。逃げることが出来た連中はまだ幸せだ。取り残された者は悲惨だろう。ルシアの連中は皇国民を蛮族としか思っていない。自国の民でさえ半分農奴なのだ。ましてや20万を越える大軍、兵站部門は地獄だろう。馬車が足りているはずもない。イギリスあたりでは鉄軌が動いていると聞いている。だがルシアでそんな話は聞かない。物が足りなくなれば兵どもは必ず略奪を始める。アーネン・ニコライは知将だが、略奪まで止められるとは思えない。略奪を許してしまうと領地経営にマイナスだとわかっていても十分な兵站を確保出来ないのだから仕方がない。
京都護国省参謀本部
軍総司令官豊臣秀安元帥、参謀総長蜂須賀大将、作戦参謀豊臣秀綱少将、その他お歴々が居並ぶ。作戦会議室には重苦しい空気がただよう。情報参謀豊臣秀光(ひであき)准将が状況報告をしている。参謀本部は全て豊臣系で固められている。
「・・・船が圧倒的に足りません。朝鮮在住の皇国民が多数、取り残されています。軍事的損害は大津駐屯軍4万が壊滅、鷲巣砦にこもった本多少将以下の2万はルシアに降伏。朝鮮の軍は8万おりましたが、各個撃破され、これも壊滅。計14万をむざむざ失ったことになります。」
参謀総長蜂須賀大将が吠える。
「本多めえ、もう少し粘らんかあ。意気地のない。」
秀綱がとりなすように言う。
「援軍の来ない籠城は意味がない・・・。我々は援軍を送ってやれん。」
参謀長が問う。
「本土の兵力はどうなっておるか?」
「それは人務参謀から。護国省常備兵力12万、近衛1万5千、大名の抱える藩兵は現在集計中ですが、10万から15万の間かと。最大で28万強。藩兵は今、大動員中です。」
「むう、まず近衛は動かせん。陸軍兵力も2万は残して都の守りに3万5千程度は残しておかねばならん。今すぐ博多に動かせるのは10万か。藩兵動員急がせろ。それと水軍の状況は?」
「千石船30隻、5百石船60隻、3百石船100隻です。ですが全国の港に分散しております。」
「全部博多に集めい。」
「はっ。」
「武器は?」
「はっ、兵站参謀から報告します。1.5キロ野戦軽砲30門が今月中に引き渡し可能とのこと。平出屋辰野兵器廠の現在の生産能力は・・・日産10門です。」
「ほう、一月で300門揃うのか?待て、弾は?弾はどうだ?」
「装薬・鉄球弾を一体化した装填筒を日産三千発。」
「なに?それは本当か?」
そのとき参謀本部の下士官が入室し、豊臣秀安元帥に耳打ちする。
「なに、来たか。すぐ通せ。諸君、真田繁信少将を呼んでおいた。今到着したそうだ。対ルシアの実戦経験者だ。意見を聞こうじゃないか。」
扉が開き、赤い筒袖、7つボタンには大砲と馬、これまた赤い軍帽を抱えた真田繁信が実に色気のある敬礼をする。ピシッと音が聞こえたような気がするほどだ。右えりには真田家を表す六文銭のマーク。軍帽を抱えた左手の薬指にはさりげなく銀の指輪がはまっている。
「真田少将、お呼びにより参上いたしました。」
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