大砲と馬と 戦術と戦略の天才が帝国を翻弄する

高見信州翁

文字の大きさ
47 / 96
第5章 混乱

7 外交

しおりを挟む
明宮廷

    「陛下、倭国(皇国のこと)より使者が参っております。」

    明とは秀吉の朝鮮侵攻以来、公式には交戦状態が続いている。万暦帝の治世。明は李氏朝鮮に援軍を出した。この時の財政負担が明に重くのしかかっていた。

    「平和を回復し、国交を結びたいとのこと。国交樹立の暁には相互に大使館を設置して大使を置き、末永く両国の友誼を結びたいと。」

    「またか。我が国は中華の国にして倭国は対等の相手ではない。朝貢国となるならいざ知らず、そのような無礼な申し出、聞くも煩わしいわ。」

    明の中華思想は変わっていなかった。明とはいまだ外交的には成果ゼロ。明の特徴は皇帝の独裁性が非常に強いこと。長年仕えた寵臣でも、皇帝の命令で処刑されることがあった。なので皇帝の能力が国の盛衰に直結した。万暦帝は・・・有能とは言えなかった。のちに明を末期症状にした皇帝と呼ばれる。万暦帝の長い在位は続く。



スウェーデン外務省

    「大臣、皇国大使が面会を求めておられます。」

    「お通ししろ。」

    「おひさしぶりです。今日は情報交換に参りました。」

    「ほう、どのような情報ですかな。」

    「ルシアバルト海艦隊の動向というところですかな。」

    「ほほう、ルシアのバルチック艦隊の3分の1が極東に回航されている件ですかな?」

    「ご存知でしたか。ですが、ちょっと微修正がございます。バルト海にはルシアの戦列艦は現在35隻しかおりません。」

    「なんと!いや、それは事実で?」

    至急調査せねばならなかった。40隻ではなかったのか?スウェーデン艦隊は戦列艦41隻でルシアとほぼ互角。だが、41対35ではどうか?いや至急、王に報告せねばならない。

    しかし、皇国か、油断のならない・・・。わが国が掴んでいなかった情報を売りつけてくるとは。

    グスタフ・アドルフ3世・スウェーデン国王。

    「なに?そうか35隻しかいないのか。う~む、食指は動くが陸軍はドイツで忙しい。動けんな。だが、監視は強化しろ。他国にこのような情報を教えられるようでは話にならん。情報機関を強化しろ。」

   

     ルシア側もスウェーデンの監視の目が強化されたことは敏感に察知する。以後、これ以上の艦の引き抜きは出来なくなって行く。



アーネン・ニコライ

    「艦が足りない・・・港を1つ封鎖するのに最低4隻いる。が、修理・メンテも必要だ。6つ封鎖するのが精一杯だ。」

    クツーゾフが嘆息する。

    「バルト海が遠すぎるのです。」
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

処理中です...