大砲と馬と 戦術と戦略の天才が帝国を翻弄する

高見信州翁

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第6章 反撃

8 咄嗟(とっさ)遭遇戦

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    皇国軍第3軍団は川越周辺にいる。早朝7時、既に真田繁信は身支度を整えていた。第3軍団司令部は500人ほどの所帯だ。第3師団8,000と一緒だ。軍団長に挨拶に向かう。砲兵隊もいる。

    「前田中将、真田繁信これより司令部に戻ります。」

    「そうか、名残惜しいの。又話を聞かせて欲しい。昨夜は大変有意義であった。」

    「大変ご馳走になりました。今度は信州へ来て下さい。岡谷(おかや)のうなぎをご馳走しますよ。諏訪湖や天竜川で美味しいうなぎがとれましてね。」

    おい、今は戦時中じゃないのか?

    急に周辺がザワザワし出す。そう言えば霧も出てきていた。

    「斥候より報告。西方より軍勢らしきものの音が聞こえるそうです。」

    前田中将が問い返す。

    「らしきもの?らしきものとは何だ?」

    繁信の顔が急に引き締まる。

    「前田閣下、よろしいですか。四方に斥候分隊を出せ。西方の斥候は敵味方の別と騎馬か歩兵かだけ確認出来ればよい。すぐ報告に戻れ。」

    前田中将に向き直る。

    「前田閣下、念のためです。戦闘準備を発令してください。」





    「お、おう、了解した。全軍戦闘準備!」

    「今、一緒にいるのは平澤少将の第3師団と軍団砲兵だけですよね。近くの第3軍団の各師団にも集合命令をかけて下さい。方面軍司令部と各軍団にも援軍要請を!」

    「わかった。何でも指示してくれ。鷲巣の英雄の下で働きたいとずっと思っておった。面向きはどうあれ、実質は第3軍団は真田中将の指揮下に入る。」

    「ありがとうございます。」

    まず第3軍団の陣容を確認せねばならない。

    第3軍団    27,000    砲45門    前田中将

    第1師団    10,000    砲10門    中田少将
    
    第2師団      7,800    砲    8門    池田少将

    第3師団      8,000    砲    8門    平澤少将

    騎兵旅団       1,500                         広田大佐

    軍団砲兵                      砲19門     栗林大佐            

    今手元にいるのは第3師団8,000と軍団砲兵のみ。砲は27門。気球はない。霧が出てる。まさに五里霧中。さあ、直観力を研ぎ澄ませろ。

    「報告!西方1キロに騎馬数千、ルシアです!」

    いた。南下中のルシア軍だ。
    

    
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