79 / 96
第7章 また混乱
13 博多攻囲戦 12 引津湾上陸作戦2
しおりを挟む
唐津港早朝
まだ日は登っていない。日が出る前に唐津を出港し、日の出とともに上陸作戦開始の予定だ。
副司令官におさまった島津公が命令する。
「全軍、出港せよ!」
大型蒸気艦もいれば、波が来たらひっくり返りそうな艀(はしけ)までいる。晴天で良かった。大小8千隻に及ぶ船だ。朝が来ればイヤでも見えてしまう。
抵抗組織の者たちが引津湾の漁港を押さえてくれる手はずになっている。もちろん、8千隻だ。それだけでは足りない。小さな船は砂浜に乗り上げて上陸する予定だ。
姫島砲台
30センチ、45口径、射程18キロ、通称【尾張砲】。尾張で製造されたので、こう呼ばれる。砲重量はなんと60トン。完全に艦載か海岸砲である。信州で作っても運べないので、尾張の港の近くに兵器工廠が作られ、そこで製造された。吊り下げ重機がなければ、動かすことは出来ない。その化け物を18門、揃えている。司令官は椿准将、副官は黒田中尉である。(つまり権蔵 又昇進してるな)
「権蔵君、信号弾はまだ上がりませんか?」
一ノ岳には既に信号弾部隊が潜り込んで待機しているはずである。
「まだ夜が明けとりませんからなあ。夜が明けんと弾着観測が出来ません。」
「弾薬の備蓄状況は?」
「5万発です。」
「とうてい足りませんね。1日撃ったら軽く2万発はいっちゃいます。」
「皇国郵船の船を8隻、強制徴募して尾張と唐津の間を往復運航させております。本日唐津に到着するはずです。ただ、1発400キロのシロモノです。1隻あたり5000発しか積めません。8隻で4万発、合わせて9万発です。次は当分入って来ません。」
「私はね、この姫島の30センチ砲18門が戦いの重要な要素だと確信しています。弾数9万発は重要な情報です。総司令官に知らせておいた方が良いですね。権蔵君、キミ、連絡士官として一ノ岳(総司令官の指揮予定所)まで行ってくれませんか。」
「承知しました。」
その頃、繁信は一ノ岳にいた。福の浦(立石山と一ノ岳の南のふもとの海岸)から山を登り、やっと着いたところだ。まだ暗い。現地の猟師が案内してくれなければ、絶対道に迷った自信がある。付き従うは参謀団と信号弾部隊。
夜が明けた。
アーネンと繁信、どちらが驚いただろうか?
可也山アーネン・ニコライ
「なんだと・・・。」
船が引津湾をおおっていた。一部は既に砂浜に乗り上げて、兵を吐き出していた。
「敵前上陸・・・。やってくれたな。」
連れてきた4万と唐津方面軍1万。5千を唐津方面への押さえに残して、4万5千を可也山の防衛に投入する。
「火山(ひやま)を押えろ。可也山(かやさん)と火山の間に陣を構えろ。一ノ岳と立石山はもう仕方ない。だが、これ以上、山を渡すな!」
一ノ岳真田繁信
「なんだと・・・。」
糸島にルシアの大部隊がいるではないか。
「灘山目標がバレた?」
実は繁信、可也山から博多湾が見えることをまだ知らない。だが、アーネンは知っている。可也山を取られたら終わりだ。いきなり、可也山が博多攻囲戦の天王山となった。
・・・・・・・・・・・・・・・・
申し訳ありませんが、今月いっぱいお休みです。8月1日から再開します。
まだ日は登っていない。日が出る前に唐津を出港し、日の出とともに上陸作戦開始の予定だ。
副司令官におさまった島津公が命令する。
「全軍、出港せよ!」
大型蒸気艦もいれば、波が来たらひっくり返りそうな艀(はしけ)までいる。晴天で良かった。大小8千隻に及ぶ船だ。朝が来ればイヤでも見えてしまう。
抵抗組織の者たちが引津湾の漁港を押さえてくれる手はずになっている。もちろん、8千隻だ。それだけでは足りない。小さな船は砂浜に乗り上げて上陸する予定だ。
姫島砲台
30センチ、45口径、射程18キロ、通称【尾張砲】。尾張で製造されたので、こう呼ばれる。砲重量はなんと60トン。完全に艦載か海岸砲である。信州で作っても運べないので、尾張の港の近くに兵器工廠が作られ、そこで製造された。吊り下げ重機がなければ、動かすことは出来ない。その化け物を18門、揃えている。司令官は椿准将、副官は黒田中尉である。(つまり権蔵 又昇進してるな)
「権蔵君、信号弾はまだ上がりませんか?」
一ノ岳には既に信号弾部隊が潜り込んで待機しているはずである。
「まだ夜が明けとりませんからなあ。夜が明けんと弾着観測が出来ません。」
「弾薬の備蓄状況は?」
「5万発です。」
「とうてい足りませんね。1日撃ったら軽く2万発はいっちゃいます。」
「皇国郵船の船を8隻、強制徴募して尾張と唐津の間を往復運航させております。本日唐津に到着するはずです。ただ、1発400キロのシロモノです。1隻あたり5000発しか積めません。8隻で4万発、合わせて9万発です。次は当分入って来ません。」
「私はね、この姫島の30センチ砲18門が戦いの重要な要素だと確信しています。弾数9万発は重要な情報です。総司令官に知らせておいた方が良いですね。権蔵君、キミ、連絡士官として一ノ岳(総司令官の指揮予定所)まで行ってくれませんか。」
「承知しました。」
その頃、繁信は一ノ岳にいた。福の浦(立石山と一ノ岳の南のふもとの海岸)から山を登り、やっと着いたところだ。まだ暗い。現地の猟師が案内してくれなければ、絶対道に迷った自信がある。付き従うは参謀団と信号弾部隊。
夜が明けた。
アーネンと繁信、どちらが驚いただろうか?
可也山アーネン・ニコライ
「なんだと・・・。」
船が引津湾をおおっていた。一部は既に砂浜に乗り上げて、兵を吐き出していた。
「敵前上陸・・・。やってくれたな。」
連れてきた4万と唐津方面軍1万。5千を唐津方面への押さえに残して、4万5千を可也山の防衛に投入する。
「火山(ひやま)を押えろ。可也山(かやさん)と火山の間に陣を構えろ。一ノ岳と立石山はもう仕方ない。だが、これ以上、山を渡すな!」
一ノ岳真田繁信
「なんだと・・・。」
糸島にルシアの大部隊がいるではないか。
「灘山目標がバレた?」
実は繁信、可也山から博多湾が見えることをまだ知らない。だが、アーネンは知っている。可也山を取られたら終わりだ。いきなり、可也山が博多攻囲戦の天王山となった。
・・・・・・・・・・・・・・・・
申し訳ありませんが、今月いっぱいお休みです。8月1日から再開します。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる