83 / 96
第7章 また混乱
17 博多攻囲戦 16 志摩の戦い 塹壕突破
しおりを挟む
砲撃戦が続いている。が、派手な割には双方、損害は少ない。塹壕にこもっている兵は、砲弾が頭上を素通りして行くし、後方の本隊は射程外にいるからだ。
届くのは姫島の30センチ砲だが、射撃管制が出来ないため、効果はイマイチだ。
皇国軍右翼司令部 真田繁信
「さて、こちらが攻める側だ。ならば攻めなければな。」
真田繁信、保有する300門の曲射砲(榴弾砲)の全てを右翼に集めている。
この300門で間断なく炸裂弾を降らせる。塹壕の前の鉄条網に。前進の邪魔になる鉄条網をまず排除するつもりだ。なあに馬が一頭通れるすきまがあれば良い。だが、1箇所ではそこを通ることがバレてしまう。10箇所ぐらいが開いたところで、300門のターゲットが塹壕の左翼部分に集中される。
「塹壕から頭を出せないぐらい弾幕を張れ。」
炸裂弾の集中砲火がルシア軍塹壕左翼部分に集中する。
「よし、騎馬隊、ぜ~んし~ん!我に続け!」
右翼皇国軍騎馬隊の馬、1万。全て座光寺家の赤兎馬の血統だ。乗っているのは馬術に長けた真田家の精鋭。先頭の30騎ほどは幅50センチほどの板を抱えている。長さは4メートルほど。
ルシア軍塹壕は幅3メートルほど。塹壕の上にこれをかけて橋にするつもりだ。
「第1大隊、手投げ弾用意!」
騎馬隊が塹壕に近づいたため、砲撃は中止される。
繁信は手投げ弾の出し惜しみはしなかった。わずか数百メートルの塹壕に300以上の手投げ弾が放り込まれる。
ルシアも手投げ弾対策はしていた。が、このような飽和攻撃は想定していない。
グワン!というくぐもった音がして、ルシア軍左翼の塹壕数百メートルが沈黙する。
塹壕に板を差しかけて馬が通れる橋とする。その橋を1万の騎馬が駆け抜けて行く。騎馬のうちの千騎ほどが下馬して塹壕の中に飛び込んで行く。橋の維持部隊だ。塹壕から来るルシアを防ぐ。せまい塹壕の中だ。防ぐのに大兵力は必要ない。
真田騎馬隊はルシア軍左翼・鳥居騎馬隊に襲いかかる。
鳥居元忠も歴戦の将軍、カウンターチャージをかけて来る。だが、鳥居騎馬隊は5千、対して真田騎馬隊は1万。倍である。数の圧力で皇国軍が松平を圧倒して、押して行く。
だいぶ皇国騎馬隊が塹壕ラインを越えてルシア側に押し込んで行く。
「もう一息だ。おせえ~!」
ルシア軍左翼騎馬隊は今にも崩れそうであった。
ルシア軍司令部 アーネン・ニコライ
「まずい、スヴォーロフに命令。左翼の援軍に入れ。・・・待て、あれはダミアンか?」
届くのは姫島の30センチ砲だが、射撃管制が出来ないため、効果はイマイチだ。
皇国軍右翼司令部 真田繁信
「さて、こちらが攻める側だ。ならば攻めなければな。」
真田繁信、保有する300門の曲射砲(榴弾砲)の全てを右翼に集めている。
この300門で間断なく炸裂弾を降らせる。塹壕の前の鉄条網に。前進の邪魔になる鉄条網をまず排除するつもりだ。なあに馬が一頭通れるすきまがあれば良い。だが、1箇所ではそこを通ることがバレてしまう。10箇所ぐらいが開いたところで、300門のターゲットが塹壕の左翼部分に集中される。
「塹壕から頭を出せないぐらい弾幕を張れ。」
炸裂弾の集中砲火がルシア軍塹壕左翼部分に集中する。
「よし、騎馬隊、ぜ~んし~ん!我に続け!」
右翼皇国軍騎馬隊の馬、1万。全て座光寺家の赤兎馬の血統だ。乗っているのは馬術に長けた真田家の精鋭。先頭の30騎ほどは幅50センチほどの板を抱えている。長さは4メートルほど。
ルシア軍塹壕は幅3メートルほど。塹壕の上にこれをかけて橋にするつもりだ。
「第1大隊、手投げ弾用意!」
騎馬隊が塹壕に近づいたため、砲撃は中止される。
繁信は手投げ弾の出し惜しみはしなかった。わずか数百メートルの塹壕に300以上の手投げ弾が放り込まれる。
ルシアも手投げ弾対策はしていた。が、このような飽和攻撃は想定していない。
グワン!というくぐもった音がして、ルシア軍左翼の塹壕数百メートルが沈黙する。
塹壕に板を差しかけて馬が通れる橋とする。その橋を1万の騎馬が駆け抜けて行く。騎馬のうちの千騎ほどが下馬して塹壕の中に飛び込んで行く。橋の維持部隊だ。塹壕から来るルシアを防ぐ。せまい塹壕の中だ。防ぐのに大兵力は必要ない。
真田騎馬隊はルシア軍左翼・鳥居騎馬隊に襲いかかる。
鳥居元忠も歴戦の将軍、カウンターチャージをかけて来る。だが、鳥居騎馬隊は5千、対して真田騎馬隊は1万。倍である。数の圧力で皇国軍が松平を圧倒して、押して行く。
だいぶ皇国騎馬隊が塹壕ラインを越えてルシア側に押し込んで行く。
「もう一息だ。おせえ~!」
ルシア軍左翼騎馬隊は今にも崩れそうであった。
ルシア軍司令部 アーネン・ニコライ
「まずい、スヴォーロフに命令。左翼の援軍に入れ。・・・待て、あれはダミアンか?」
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
