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第7章 また混乱
30 博多攻囲戦 28 最期の死闘 1
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博多は皇国の大陸への窓口である。その博多を占領されて、皇国は全力をあげて取り返しにかかっている。九州の大名の危機感は狂騒と言ってもよいぐらいに高まっている。それはそうだろう。元寇の時でも上陸はされたが博多が占領されたことなどないからだ。
陽はまだ落ちていない。午後6時を回ったというのに。だが、暗闇はそう遠くない時間に訪れるだろう。両軍は死闘を繰り広げている。可也山と火山の間は延々と続く田園地帯だ。形勢は互角に見えるが、よく見ると皇国側がジリジリと押している。もちろん多大な損害を出しながら。
中央
島津と松平が対峙している。互いに陣を組み、島津が突撃を繰り返し、松平が押し返す。久豊と家光、互いの意地のぶつかり合いだ。家光の後ろにはアーネンがいる。簡単に崩れないよう、助言と励ましを繰り返している。一方で久豊は臥薪嘗胆(がしんしょうたん 薪の上で寝、動物の胆を舐めて耐え忍ぶ)の刻は終わったとばかり、恨み重なる松平を攻め立てる。
島津久豊が叫ぶ。
「ウスリーからこのかた、散々いじめてくれたな。重なる借りは、今返そうぞ。」
島津の将校が叫ぶ。
「ねらえ~!撃て!」
連続する発砲音。松平の兵がバタバタ倒れる。
松平家光が叫ぶ。
「日の本南端の辺地大名ずれが!我は東海一の弓取り(松平家康のこと)の孫ぞ。源氏長者の強さを見せてやろうず!」
松平の将校が叫ぶ。
「下がるなあ!ねらえ~!撃て!」
連続する発砲音。今度は島津の兵がバタバタ倒れる。
撃ち終わった後も島津の兵は下がらない。
「ダンジン(皇国の銃剣のこと)着剣!とつげきぃ~!」
松平も同じダンジンをもって迎えうつ。
島津も松平もダンジンの扱いにはまだ慣れていない。が、気力は十分である。血みどろの銃剣突撃がそこここで起こる。
左翼
皇国側は千門を越える砲を配置しつつあった。だが、ここで予想外の事態に遭遇する。皇国もルシアも移動に便利な1.5キロ砲と3ポンド砲だが、ルシア側は苦労して火山の上に上げてルンキン砲台を作った。山の上にある分、ルシアの方が射程距離が長くなったのだ。
このことによって皇国側がルンキン砲台を射程におさめる位置に持って行くまでに、一方的に叩かれ、数の優位が揺らぐことになる。なお悪いことに、苦労して射程内にもっていっても山の上のルンキン砲台が見えず、めくら撃ちになってしまった。だが、この頃になると皇国砲兵隊の練度は多分に上がっており、姿の見えないルンキン砲台からの砲撃からおおよその諸元を推測し、反撃して見せる技量は有していた。権蔵が砲兵隊に居たことも大きい。この頃の権蔵は自他共に許す砲兵隊のエースだった。ウスリー帰りの生え抜きである。なおかつ、あの真田繁信から名をもらっている。もはや伝説上の人物の一歩手前だった。その権蔵が反撃のための諸元算定を一手に引き受けていた。
ルンキン砲台からの着弾。皇国側の大砲が叩き潰される。
「・・・風は南東。仰角X度、方広角Y度で撃ち返せ!」
効果はあるのだが、圧倒するまでには至らない。砲撃戦はまだまだ続く。まあ、不利な状況でよくやってると言っていいだろう。頑張れゴンゾウ!
右翼
「司令官閣下のご帰還です!」
歓声が皇国陣を包む。
「みな、心配をかけた。帰って来たぞ。さあ、ルシアに反撃だ。ダミアンに目にもの見せてやろう。先代公のかたきだ!」
ーーーーーーーーーーー
終わらない。なんで?もう終わってる予定だったのに。
え~、次回は市街戦に突入しちゃいます。
陽はまだ落ちていない。午後6時を回ったというのに。だが、暗闇はそう遠くない時間に訪れるだろう。両軍は死闘を繰り広げている。可也山と火山の間は延々と続く田園地帯だ。形勢は互角に見えるが、よく見ると皇国側がジリジリと押している。もちろん多大な損害を出しながら。
中央
島津と松平が対峙している。互いに陣を組み、島津が突撃を繰り返し、松平が押し返す。久豊と家光、互いの意地のぶつかり合いだ。家光の後ろにはアーネンがいる。簡単に崩れないよう、助言と励ましを繰り返している。一方で久豊は臥薪嘗胆(がしんしょうたん 薪の上で寝、動物の胆を舐めて耐え忍ぶ)の刻は終わったとばかり、恨み重なる松平を攻め立てる。
島津久豊が叫ぶ。
「ウスリーからこのかた、散々いじめてくれたな。重なる借りは、今返そうぞ。」
島津の将校が叫ぶ。
「ねらえ~!撃て!」
連続する発砲音。松平の兵がバタバタ倒れる。
松平家光が叫ぶ。
「日の本南端の辺地大名ずれが!我は東海一の弓取り(松平家康のこと)の孫ぞ。源氏長者の強さを見せてやろうず!」
松平の将校が叫ぶ。
「下がるなあ!ねらえ~!撃て!」
連続する発砲音。今度は島津の兵がバタバタ倒れる。
撃ち終わった後も島津の兵は下がらない。
「ダンジン(皇国の銃剣のこと)着剣!とつげきぃ~!」
松平も同じダンジンをもって迎えうつ。
島津も松平もダンジンの扱いにはまだ慣れていない。が、気力は十分である。血みどろの銃剣突撃がそこここで起こる。
左翼
皇国側は千門を越える砲を配置しつつあった。だが、ここで予想外の事態に遭遇する。皇国もルシアも移動に便利な1.5キロ砲と3ポンド砲だが、ルシア側は苦労して火山の上に上げてルンキン砲台を作った。山の上にある分、ルシアの方が射程距離が長くなったのだ。
このことによって皇国側がルンキン砲台を射程におさめる位置に持って行くまでに、一方的に叩かれ、数の優位が揺らぐことになる。なお悪いことに、苦労して射程内にもっていっても山の上のルンキン砲台が見えず、めくら撃ちになってしまった。だが、この頃になると皇国砲兵隊の練度は多分に上がっており、姿の見えないルンキン砲台からの砲撃からおおよその諸元を推測し、反撃して見せる技量は有していた。権蔵が砲兵隊に居たことも大きい。この頃の権蔵は自他共に許す砲兵隊のエースだった。ウスリー帰りの生え抜きである。なおかつ、あの真田繁信から名をもらっている。もはや伝説上の人物の一歩手前だった。その権蔵が反撃のための諸元算定を一手に引き受けていた。
ルンキン砲台からの着弾。皇国側の大砲が叩き潰される。
「・・・風は南東。仰角X度、方広角Y度で撃ち返せ!」
効果はあるのだが、圧倒するまでには至らない。砲撃戦はまだまだ続く。まあ、不利な状況でよくやってると言っていいだろう。頑張れゴンゾウ!
右翼
「司令官閣下のご帰還です!」
歓声が皇国陣を包む。
「みな、心配をかけた。帰って来たぞ。さあ、ルシアに反撃だ。ダミアンに目にもの見せてやろう。先代公のかたきだ!」
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終わらない。なんで?もう終わってる予定だったのに。
え~、次回は市街戦に突入しちゃいます。
応援ありがとうございます!
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感想ありがとうございます。
こちらの作品も読ませて頂きます。
やはり松平は敵に通じたか。
行方不明でしたからね。
なにか企んでたんですよ。
東北の大名が悲惨だな。
伊達家の嫡男は捕虜になっちゃいましたねえ