大砲と馬と 戦術と戦略の天才が帝国を翻弄する

高見信州翁

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第1章 ウスリーの戦い

3 皇国軍砲兵隊

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   ライナ(総勢18,000)                                       
         ウエキン         真田                
          騎騎騎         騎 騎
          騎 騎         騎 
          5,000          騎 騎
                      5,000
       ライナ選帝侯
          歩歩          松平(伊井)   恭仁(うやひと)親王
          歩歩          歩歩      歩
          歩歩          歩歩      歩
          歩歩砲         歩歩      歩
      8,000(砲30)         歩歩      3,000
                      歩歩
   ルーデンドルフ            10,000
          騎騎騎           ★松平康元
          騎 騎         松平(本多)
          5,000          歩歩
                      歩歩
   ルシア(総勢27,000)          歩歩
                      歩歩
    ダミアン ルビンスキ        歩歩
    騎騎騎   騎騎騎         10,000
    3,000    3,000
★アーネン・ニコライ皇太弟         松平(酒井)
                      歩歩
   アーネン  アーネン         歩歩
   騎 騎   歩歩歩砲→        歩歩
   騎 騎   歩歩歩砲→        歩歩
   4,000    歩歩歩砲→       ←砲歩歩
         歩 歩           ↖︎【★★★皇国軍砲兵隊★★★】
     11,000(砲100)          10,000(砲36)
                      島津
   フリアネン  ダレン         騎 騎
   騎騎騎    騎騎騎         騎
   3,000     3,000          騎 騎                      
                      5,000

 オレの名前は権蔵。播磨の国、黒田庄の鍛冶屋のせがれだ。大陸で稼ごうとか思ったのが運のつき。大津に着いたとたん、あり金を盗まれた。仕方がないので、たまたま募集していた松平家の足軽募集に応募した。鍛冶屋のせがれだと言ったら砲兵隊なんかに配置されちまった。大砲なんか分かんねーぞ。何でも大友とか言うお大名様が使って、城に攻めて来た島津の軍勢を撃退したそうな。国崩(くにくずし)とか言うそうな。なんにしても、こんなおっきな戦にかり出されるなんて詐欺だぜ。大砲を撃つ訓練なんて3日しかやってねえよ。

 「おい、権蔵よ、敵の大砲を見ろよ。大砲をのっけた2輪台車を馬で引っ張っとる。」

 「ん?何だって?うお、ほんまじゃ。アレじゃと簡単に動かせるのう。」

 皇国の砲は仏郎機(フランキ)砲、青銅製・重さ千斤(600Kg)・砲弾は鉄球で重さ1貫目(約4Kg・直径9cm)・射程1町(100m超)。最大の特徴は後装砲であることだ。現在の後装砲のように砲尾が開閉するのではなく、砲尾上面が長方形に開口しており、砲弾と発射薬を中に収めた装填筒をそこに挿入し、砲尾側面から木製の楔を打ち込むことで砲身へ固定する。装填筒を複数用意しておけば前装砲に比べ発射速度は向上する。大友宗麟がキリシタン宣教師から譲り受け、居城である臼杵城に配備、島津勢を撃退したことから国崩と名付ける。

 「オレらの砲は専用の荷馬車に積んで、陣地に着いたら大工仕事で砲の架台を作らんならん。徹夜じゃったぞ。」

 「権蔵よ、それもあるけんど、もっと怖いことがある。」

 「なんじゃ?」

 「数が・・・多い。3倍はあるんでねえか?」

 権蔵の背筋を何か冷たいものが、通っていった。
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