ダイヴのある風景

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第二章

第二章 ⑤

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   第二章 ⑤

 コンパスで方向をチェックしながら歩くこと三十分。地図を見ながら歩いている信良が首をひねる。「もうそろそろだと思うんだけどなあ」
 信良の言葉を待っていたかのように、木々が左右に割れた。森が開ける。だだっ広い空間が現れ、古い建物がそこを独り占めしていた。あった。廃屋だ。
「噂は本当だったんだな」信良が感心したように言う。「噂って、案外、ガセだったりすることが多いじゃんか。まさか、本当だとは思わなかったよ。じゃあ、あれか? 猫ばあさんの化け物伝説も、本当のことなのかな」
「さあ、それはどうかな。実際に目撃するまではわかんないや」
 そのとき、信良が身体を小刻みに揺らしているのに僕は気がついた。みるみるうちに青ざめていく。額から油汗を流し、信良は低くうなり始めた。
「どうした、信良。どこか悪いのか?」
「祥一、もうだめだ」信良はあからさまに震え始めた。「ウンチがしたい。廃屋を前にすると、妙に緊張してしまって。ああ、間に合わない。この拘束帯のような軍用ベストと軍用パンツを脱ぐのを手伝ってくれ!」
 僕はやれやれと思いながら、信良の脱衣を手伝った。
 鬼のような形相の信良は、ポケットティッシュだけつかんで、きいいい、と叫びながら木々の間に走り込んでいった。
 数分後、すっきり顔の信良の登場、とはいかなかった。なぜか表情が暗い。
「急ぐあまり、手にちびっと付いてしまった。言っとくが、付いたのは小便のほうだからな。そこんとこ、間違えないようにしてくれよ」
 僕と信良は、とりあえず、廃屋の中へ入ってみることにした。建物に表札や看板などはなかったが、なにか公の施設のような見てくれだ。
 入る直前、信良が足を止めてちら、と横を見た。目を見張る。ごくん、と唾を飲み込む音が、僕の耳にまで届いた。
「どうした、信良?」僕は信良の視線を追った。彼の見ているのは、大きなガラスの窓らしかった。それは、僕たちの背丈よりはるかに大きかった。
「でかいな」信良が独り言のようにつぶやいた。
「うん。でかいね。それがどうかしたかい?」
「いや、なんでもない。入ろうぜ」
 入ってすぐ、受付らしきカウンターがあった。その形状からして、元は病院らしかった。ただ、すべてが朽ち果て、本来の色を失っている。患者を治療する場所である病院自体が不治の病に冒されて、絶望しているように見えた。
「ま、いろいろトラブルはあったけど」信良が物言わぬ部屋の中を見回しながら言う。「やっぱ、この格好で正解だぜ。見ろ、この部屋を。ここを探索するためには、お前のリゾートファッションは適さないぜ」
 別にリゾートファッションっていうわけじゃないけど、と僕は苦笑する。でも、信良の特殊な服装と比べると、普通の格好でもリゾートファッションに見えるかもしれない。
 そして、信良が言うように、彼の服装がこの場所にはもっともふさわしいのかもしれない。
 僕は、かつて受付ロビーだったところを見回した。備品や什器など、たいていの物は持ち去られていたけれど、細々したものは残されていた。もちろん、まともなものはほとんどなかった。
 腐ってところどころに穴が開いている床。その床に散乱した陶器やガラスの破片。壊れた棚から弾き出された木片。向こうに見える錆びた階段。その何段目からか垂れ下がっているのは首のない人形。階段のそばには、子供の患者が描いたのだろうか、親子連れの絵が落ちていた。
「気をつけろよ祥一。お前のスニーカーじゃ、ここは危なすぎるぜ」信良が僕の足下を指さした。「ほら、その割れたガラス。向こうを見てみろ。あそこに落ちている木からは、錆びた釘が出ているだろう。あんなのまともに踏んづけちゃ、たまんないぜ。破傷風になる確率は非常に高い」
 それにだ、と信良。「こういうところには、危険な虫や蛇が出入りしていることも多いらしいぜ。お前の身軽な格好は、絶好の獲物となるに違いない」
「それに」と僕は続ける。「ここは病院だったみたいだから、残留物があれば怖いね」
「残留物? なんだよそれは」
「たとえば、レントゲンなどの放射性物質。最悪、被曝しないとも限らない」
「おい、脅かすなよ。ああくそ、もう各部屋の探索はやめだ。とにかく、いったん出ようぜ。誰もいないみたいだしよ」
 信良に引っ張られるようにして、僕たちは入り口に向かった。
「あ」二人とも、上を見上げて立ち止まる。
 入ってきた時には気がつかなかった。入り口の上の壁に、スプレーで落書きがしてあった。色とりどりのスプレーを使って、絵や文字が描かれている。
 僕たちはしばらくその複雑怪奇な絵や文字に見入っていた。
 やがて、信良が口を開いた。「これ、スプレーアートって言うんだろ。テレビでみたことあるぜ」
「ああ。そうらしいね。でも、なにを描いてあるのか、まったくわかんないや。僕にはこういう才能はないのかもしれないなあ」
「俺もだ」でもよ、と信良。「それよりもさ、なんかヤバいやつのアジトなんじゃないのか、ここ。ほら、あそこを見てみろ」
 僕は、信良の指し示すほうを見た。そこには、食べ物を食い散らかした後のゴミが散乱していた。その量からして、三、四人はいるみたいだ。
「な。そう思うだろ。ここには猫ばあさんはいないんだよ。誰も住んでいないんだ。時たま、ヤンキーどもが暇をつぶしにやってくるのが関の山だ。もう出ようぜ、こんなとこ」
 僕としては他の部屋も探索してみたかったけれど、とりあえずさっさと出て行く信良を追って建物を出た。
 信良がまた立ち止まった。言うまでもなく、大きなガラス窓の前だ。じっと埃のかぶったガラスの面を見ている。
「なあ。気持ちのいいこと、やらないか?」意を決したように信良が言う。「実は俺、小さい頃からガラスが好きなんだよ」
「ガラスが? どうして? きれいだからかい?」
「いや、そういう意味じゃなくってだな。こういう大きなガラスを見ると、やりたくなっちまうんだ」
「やりたくなっちまうって、だから、いったいなにを?」
「ええい、説明するのが面倒くさいや。祥一、服を脱げ」
「服を? どうして?」
「なんでもいからさ、よし、じゃあ俺が先に手本を見せてやるから、お前は真似をしろ」そう言うと、信良はベストのポケットからタオルを取り出し、汚れたガラス面をきれいに拭いた。そして、服を脱いでいった。全裸になる。
「いいか。まず、ガラスの正面に立つんだ。そして、ガラスの面に張り付くんだ。カエルのように、こうベタッとな」そう言いながら、信良は両手両足を奇妙に広げた格好で、大きなガラス面に張り付いた。それはカエルというよりも、ジグソーパズルの1ピースのような形だった。
 張り付いた格好のまま、信良が言う。「俺の家な、裏口のそばに大きなガラス窓があるんだよ。小さい頃、風呂上がりに冗談半分でその窓に張り付いてみたんだよ。もしかして涼しいんじゃないかと思ってな。それが大正解。全身がひんやりして、それはもう最高だった。それ以来、夏の風呂上がりにはこうして張り付くことにしてるのさ」
「ちょっと聞いていいかい? 今も張り付いているのかい?」
「もちろんだ。それがどうした?」ガラス面から剥がれた信良が、腕組みしながら僕の前に立つ。
「親はなにも言わないのかい?」
「別に言わないよ。その点については、俺もどうしてかなって疑問に思うことがあるけど、まあ、深く考えないことにしている。質問は終わりか?」
「もうひとつだけ。親は見て見ぬふり、なんて可能性は?」
「だから、深く考えないことにしている。質問を締め切るぞ」
「ああ。もう聞きたいことはない」
「それで、やるのかやらないのか?」
 僕は服を脱ぎ始めた。
「ようし、それでこそ俺の親友だ」信良が拳を握りしめた。「一緒にこの快楽を味わおうではないか!」
 僕は服を脱ぎ終わり、信良の前に立った。「で、どういうふうにすればいいんだっけ?」
「ばっ」信良が目を見張った。僕から目を背ける。心持ち背中を丸めてガラスの前に立ち、ガラス面に額を当てた。「い、いいんだいいんだ。男はハートで勝負なんだ。大きさなんて──ええい、そんなことはどうでもいい。いいか祥一、こうやるんだ」
 僕は信良を見ながら真似た。たしかに気持ちがいいかもしれないと思った。
「いいか祥一。もしこれが病みつきになったからといって、町のデパートなんかのショーウインドウではやらないほうがいいぞ。危険な罠がいっぱいだ」
「デパート? 信良はやったことがあるのかい?」
「ああ。実は一回だけやったことがある。あの巨大なウインドウを見ていると、どうしてもやらなければならない使命を感じてな。夜中に決行したのさ」
「で、罠とは?」
「それが、不運なことに、夜間の警備員の見回りに遭遇したのさ。俺がガラスに張り付いて恍惚となっているとき、その気配を感じた警備員が、中から懐中電灯で照らしやがったのさ。俺の全裸を。それがまた不運続きなことに、その警備員が女でさ。ほとんど錯乱状態。俺は必死で逃げたよ。だが、急いでいたので、海老のイラストが描かれたボクサーパンツを忘れてきちまった。今それは警察に保管されているらしい。警察では、『ガラスの海老男』という呼び名で捜査していたらしい。いいか、お前だから告白したんだ。他人にバラすんじゃねえぞ」
 好きこのんでバラすやつなんているのか。僕がそう思っていると、信良が、そうそう、大事なことを忘れていた、と言った。
「ガラスに張り付いているときに、最も注意しなければならないことがある。それは、雑念を捨てることだ」
「雑念を捨てる? どういうことだい?」
「つまりだ。こうして張り付いている最中に、たとえば、一組の巨乳の仁美のことや、三組のモデル脚の俊子のことなどを考えてはいけないということだ。大変なことになるぞ」
「大変なことに?」
「そうだ。だはっ!」突然、信良がガラスから剥がれ、前屈みになった。「しまった。俺としたことが、四組の眼鏡美少女である桃代のことを考えてしまった。彼女でこうなるとは思ってもみなかった。俺には眼鏡に属性があるのか。新たな発見だ」
「あなたたち、なにをやっているのよ」背後から聞き慣れた声がした。もちろん冴子だ。「廃屋で変な病原菌にでもやられたの?」
「な、なんで冴子がここに」信良が目を剥いた。慌てて股間を押さえる。「お前、どうやって」
「そんなことより、服を着たら? 下半身、風邪を引くわよ」悪戯っぽく笑いながら、後ろを向く。「ねえ、花江」
「風邪を引くって、誰が?」遅れてきた花江が信良の格好を見て、悲鳴を上げた。
 信良が、これは違うんだ、これにはわけがあるんだ、と言いながら、茂みの中へ飛び込んだ。そして、「服を投げてくれ! 祥一、はやく服を!」と悲鳴に近い声で繰り返した。
「祥一も服を着たら? 二人で裸でいるなんて、花江に誤解されても仕方がないわよ」後ろを向いたまま、冴子は左右に首を振る。「ま、祥一をよく知っているあたしなら、そんな誤解をするはずはないけどね」
「どうしてきたんだい?」僕は服を着ながら尋ねた。「危ないから行かないって言ったのは、冴子だったよね」
「そんな恥ずかしい状況でもクールだなんて、ほんと憎らしいわね、あなたって。もういい?」
 茂みに目をやる。信良も服を着たようだ。僕がいいよと言うと、冴子はこっちを向いた。花江はまだ両手で顔を覆っている。冴子がもうだいじょうぶよと言うと、花江はおそるおそる手を下ろした。
「花江がやっぱり行きたいっていうから、決心したのよ。一人で行かせるわけにもいかないしね」
「花江、信ちゃんが心配だったんだよお」
 わかった、わかったから、落ちつけと言う信良。
「とかなんとか言って」僕は眉を上げて冴子を見た。「本当は自分も行きたかった、なんてことはないだろうね」
「それって、祥一がいるからってこと? 花江と同じように? はあ、もの凄い自信ねえ」
「そうじゃないよ。本音を言ったらどうだい? ほんとは自分も廃屋を探索したかったって」
「ふふ。気づいていたのね。建前と本音は使い分けるべきじゃない?」
「それだけじゃないだろう。冴子が探索には行かないって言った本当の理由は、花江を危険な目に遭わせるわけにはいかないと思ったからなんじゃないのかい?」
「冴ちゃん、優しいんだよお。花江、ずっと前から知ってるよお」花江が冴子の腕にしがみつく。
「そうなのか?」と信良が冴子を見た。
 さあ、どうかしら、と冴子がそっぽを向く。
「そうか。ありがとな、冴子」信良が微笑んだ。
「そんなことより、どうだったのよあれは」冴子が信良の下腹部辺りを指さした。「比べてみた?」
「ああ。俺の完敗さ」信良がため息をつく。「だが、男は大きさじゃないんだ。比較の結果がいくら悲しいものであっても、鼻で笑ってやるさ」
 冴子は意味がわからないといった顔で、瞬きしながら信良を見ていたが、声を殺して笑い始めた。
「あんた、なにバカなことを言ってるのよ。あんたのしているベルト、巻き尺になってるじゃない。それで、あたしたちが見た走る猫ばあさんの足跡と、廃屋の中にある足跡を測って、比べてもらおうと思ってたのに。まあしかし、あんたって呆れるほどバカねえ」冴子は笑い続けた。
「う、うるせえよ」信良が赤くなる。「走る猫ばあさんの足跡、それに、廃屋の足跡ともに、ぜんぜん見あたらなかったよ。だから、比べるのは不可能なんだよ」
「へえ。やるじゃない。信良も、見るとこはちゃんと見てるのねえ。見直したわ」
「信ちゃんは、けっこう鋭いんだからあ」花江が自分のことのように喜ぶ。
「まあ、この森は土が硬いから、足跡は残っていないと思ってたけどな」
「へえ。じゃあ、廃屋の中も、まったく足跡らしきものがなかったのね?」
「ところが、そうじゃないんだ。あったんだよ足跡は」信良が真面目な顔になる。「ただし、たくさんありすぎて困るのさ」
「たくさんありすぎて困る? なによそれ」冴子がじれったそうにする。
「足跡は一人じゃなかったのさ。複数の者の足跡が、廃屋内のあちこちに残っていたよ」
 冴子が僕を見る。僕はうなずいて、後を続ける。
「その足跡ってのが、ちょっと変わっててね。いろんな種類の足跡が残っている中、特に変なのがあった。真っ直ぐに歩いているのに、途中で足の前後の形が逆になっているんだ」
「逆に? 途中から後ろ向きになって歩いたってこと?」
「いや、そうじゃない。それだとわかりやすいんだけどさ、片方の足跡だけが逆になっているんだ」
「ええー? 片方の足だけ、前後ろが反対になっているってことお? そんなの無理だよお」そう言いながら、花江がその場でやってみようとする。
 転びそうになった花江を、信良がささえた。「おいおい。そんなもん、やってみなくてもわかるだろ」
「それと、やたら小さい足跡もあったよ」僕は続ける。
「それって、子供の足跡ってこと?」
「たぶんね」
「まだあるよ」と信良が続ける。「鉄道模型のレールの跡のような二本の線があちこちに引かれているんだ。それに、直径一㎝ほどの丸い跡が無数に残されていた。やっぱりここはヤバいかもしれない。なにか犯罪に使われていたのかもな」
「へえ。そうなの」冴子は、ちょっとうつむき加減で微笑んだ。なにか考えているような様子だ。いや、単に好奇心が膨れあがって、面白がっているだけなのか。
「それより冴子、君たち、どうやって川を渡ったんだい?」僕は不思議に思って尋ねた。
「どうやって、と言われても、特別なことをしたわけじゃないんだけど」冴子が花江に、ねえ、と相槌を求める。うん、と花江が微笑む。
「川上にある舟の発着所に行って、舟を借りたのよ。もちろん、無断でね。それで対岸に渡っただけ。舟は、草が生い茂っていて、簡単には見つからないところへ隠してるの。帰りはまた舟に乗り、そのまま川下に流れていけばいいだけ。終点にはもう係のおじさんたちはいないから、舟を下りて堂々と歩いて帰ればいいわ」
「……祥一、俺たちはとんでもない過ちを犯してきたらしいな」呆然とする信良。
「ああ。そうらしいね。どうやら、女の大胆さは無敵らしい。セコい手段を考える男に勝ち目はない。そういうことだね」
 まあ、それは当然でしょうね、と冴子が微笑む。ところで、と続ける。
「さっき、ここへ来る途中に森の中で拾ったんだけど、なにこれ。まさか、猫ばあさんの愛用品ってことはないわよね」
 冴子がバッグから取り出したものを見て、僕と信良は、顔を見合わせた。
「まさか。あり得ないよ。でも、昔の人って、所持品にきちんと名前を書く習慣があるんだね。その几帳面さには感心するね。なあ信良」
「ああ。ほら、それの底の部分を見てみろよ、冴子」信良が、冴子の持っている入れ歯洗浄液を指さす。「『助六』って書いてあるだろ」
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