115 / 189
6
整理
しおりを挟むれおんが帰ってきた。
僕に話をしようとしてくれたけど、そんな心の余裕はなくてつい声を荒げてしまった。無事に帰ってきてくれたことは嬉しいけど、れおんが一言目に言ったごめんという言葉が何に対してなのかを聞くことが怖くて話したくなくて突っぱねてしまった。
そんな自分の行動に後悔しながら昨夜一晩流し続けた涙をまた流す。
---コンコンッ
「周くん?入るわね。」
「、、お、義母さん、、、、?」
---ギュッ
「ごめんね。辛かったね。1人で怖かったね。」
「っぅ、、、、ぅぁ、、、ぁぁぁぁ、、」
学校で辛い目にあうより何倍も何十倍も辛かった。怖かった。
声を出して泣き始めてしまえば止めることなんてできなくて、頭を撫でてくれるお義母さんの手が暖かくて余計に涙が溢れた。
「っ、、どうして、こ、こに?っ、、」
「れおんに呼ばれたの。周を助けてって。」
「・・・・・・。」
「昨日何があったか私もさっき聞いたところなの。周くんも知らないんでしょ?話してもいい?」
考えるよりも先に頷いていた。
お母さんが話してくれたのは昨晩翔くんがれおんの前に発情状態であらわれ、薬を使ってれおんをラット状態にしたこと。
れおんは自分の腕を噛んで理性を保ち未遂で終わったこと。通行人が救急車を呼んでくれて手術をしたこと。
「あとね、使われた薬の後遺症で当分熱が続くみたい。」
「・・・僕、、、れおんを信じなかった。」
「仕方ないわ。番が自分以外にラットになっているなんてこと知ったら正気を保ってなんていられない。あなたは被害者よ。れおんもね。」
「れおん、腕は、その。」
「肉がえぐれるほど噛んだみたいでね。当分生活にも支障が出るほどには痛むそうよ。」
「・・・僕、、、」
「許さなくていいわよ。結婚の約束だって破棄していい。お金を請求してもいい。それくらいのことをあの子はしてしまったから。」
「お、義母さん、、、」
「私ね、周くんのお母さんでもあるけどれおんのお母さんでもあるの。だから一つだけ。許さないって選択肢を取るにしても、話は聞いてあげてほしいの。αだし、仕事もしてる、しっかりしてるように見えるけど私にとったらまだまだ子供なの。」
そうだよ。れおんは僕と同い年だ。まだ高校に通ってる年齢なのに、仕事して僕を養ってくれている。だから大人かのように見えていたけど、れおんだって分からないことだらけだしトラブルが起きたら困るのは僕と一緒だ。
「・・・僕、れおんと話します。」
「ありがとう。でも、すぐには無理なの。れおんがちょっと、周くんと話せる状況じゃなくてね。」
「え、、?な、にかあったんですか、、」
「泣きすぎて過呼吸になってしまったのと、ちょっとパニック状態でね。お父さんが見てくれてる。」
それを聞いて自然と立ち上がってお義母さんが止めるのも聞かずにリビングへと走る。
66
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
「オレの番は、いちばん近くて、いちばん遠いアルファだった」
星井 悠里
BL
大好きだった幼なじみのアルファは、皆の憧れだった。
ベータのオレは、王都に誘ってくれたその手を取れなかった。
番にはなれない未来が、ただ怖かった。隣に立ち続ける自信がなかった。
あれから二年。幼馴染の婚約の噂を聞いて胸が痛むことはあるけれど、
平凡だけどちゃんと働いて、それなりに楽しく生きていた。
そんなオレの体に、ふとした異変が起きはじめた。
――何でいまさら。オメガだった、なんて。
オメガだったら、これからますます頑張ろうとしていた仕事も出来なくなる。
2年前のあの時だったら。あの手を取れたかもしれないのに。
どうして、いまさら。
すれ違った運命に、急展開で振り回される、Ωのお話。
ハピエン確定です。(全10話)
2025年 07月12日 ~2025年 07月21日 なろうさんで完結してます。
両片思いの幼馴染
kouta
BL
密かに恋をしていた幼馴染から自分が嫌われていることを知って距離を取ろうとする受けと受けの突然の変化に気づいて苛々が止まらない攻めの両片思いから始まる物語。
くっついた後も色々とすれ違いながら最終的にはいつもイチャイチャしています。
めちゃくちゃハッピーエンドです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる