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兄
しおりを挟む体の震えが止まらない。
目の前で蹴られ高い塀を放り投げられる僕の家族、僕を殴る拳、僕を蹴る足。
全てがフラッシュバックする。
どうしてここに、、、。
だって、遠い田舎に行ったって、
助けて、助けてれおん。
嫌だ。怖い。
怖い。
怖い。
目の前に背中が見えた。
「神谷君、、?」
「ハルヒ、増田、下がってろ。ハルヒ!れおんさんに連絡しろ!!!」
剛さんとの間に壁になってくれているが、聞こえてくる剛さんの声が僕を恐怖のどん底に落とす。
僕の過去を知っているハルヒも僕を守るようにして抱きしめてくれている。
怖い。
トトやココが痛めつけられたみたいにお腹の子にも何かされるかもしれない。
僕とれおんの赤ちゃん
「おら!!!!淫売野郎!!てめえを殴らねえと気が済まねえんだよ!!くそっ!!どけ!!」
「どかねえ、誰だか知らねえがここは妊婦のいる病院だ。この部屋から出ていけ。」
---バキッ
神谷君が、殴られた。
強く殴られたのかばたりと倒れた。
まただ。あの時みたいに、僕を守ろうとしてくれたトトとココが傷つけられたように僕を守ろうとしてくれた神谷君が傷つけられた。
また僕は、、、、
もう嫌だ。
足音が近づいてくる。
ハルヒまで傷つけられる。
ハルヒを押し除けて震えながら剛さんの前に立つ。
「周!!!駄目だよ!僕の後ろに隠れて!!」
「ハルヒまで傷つけられるの嫌だ!!」
視界の端でハルヒが焦っているのが見えた。
神谷君も立ち上がった。
もう大切な人を傷つけられたくない。
目の前に立つ剛さんに恐怖しかない。
大切な友達まで傷つけられたくないから。だから、立ち向かうんだ。
あの頃は1人だったけど、今はれおんがいる、この子もいる。
僕がこの子を守れるくらい強くならないとお母さんになんてなれない。
それでも、この子だけは守る。
お腹をギュッと抱えた。
「お前のせいで!!!俺の人生めちゃくちゃだ!!!お前のせいだ!!!」
胸ぐらを掴まれ、お前のせいだお前のせいだとそればかりを繰り返される。
僕が何したっていうんだ。
僕はずっとずっとあなたに殴られて、犯されて、泣いて許しを懇願して、そんな日々を過ごしていたじゃないか。
僕にこれ以上なにを求めるんだ。
僕は幸せになれたのに。
あんたたちから離れて、自分のことを大切にしてくれる人たちに出会えて、笑顔でいられるようになったのに。
「僕はお前たちに何もしてない!!お前が罪に問われたのは、お前がこれまでしてきた行いのせいだ!!!」
心臓がどくどくと波打つ。
言えた。
ぎろりと睨みつけられる。
殴られる!!
怖い!!!
もう、限界だ。恐怖でどうにかなりそうだ。
れおん、、お願い。
助けて。
このこと僕を、助けて。
れおん、、、、
「俺の大事な人に何してくれてんの。」
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