【完結】優しくしないで

にゃーつ

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【第一部】 2章

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今日も朝から勉強をしていた。
若に拾われてからもう5年以上経った。
俺ももう16歳になった。普通なら高校に通っている年齢だが、もちろん高校に行けるわけもなく、相変わらずこの部屋だけが俺の世界だ。
中学も行かなかった。
言葉を発するのはまだ体が拒否することもあるけど、前よりは少しみんなと話ができるようになった。

若の子どもが生まれて5年経つが、俺はまだ捨てられてない。



もう高校の内容は勉強を終えていて、より専門的な勉強と資格の勉強をしている。
さらに蒼真さんからハッキングや情報管理を教わっていて、涼也さんや京平さんからは18歳になったら組の仕事につけるよう少しずつこの世界のことを教えてもらっている。
若は18になったときに別のことがしたけりゃそれでもいい援助するって言ってくれたけど、恩人の若の役に立ちたいから他のことをするつもりは無い。



でも、18になるまでに人が怖いのを治さなければいけない。
でもどうしても怖い。今でも1ヶ月に一度は明先生が診に来てくれる。その度に自傷行為の痕を見て悲しそうな顔をするんだ。

そんな先生の顔を見るとごめんなさいしか言えなくて、その度に謝んなって頭撫でてくれる。

こないだの診察の時は人が怖いのを無くしたいって言ったら、焦るなって言われた。でも、早く治したい。
じゃないと俺必要なくなっちゃう。


でもどうしたら治るのかもわからなくて、ただひたすら毎日机に向かって勉強をする。



---ガララッ



え?みんなはいつもノックする。


扉の方に振り向くと、小さい男の子がいた。


「お兄ちゃんだあれ??きれいなお兄ちゃんだ!」


タタタッ


知らない男の子がこっちに近づいてくる。
思わず俺はベッドへ逃げた。

布団をかぶって外部から逃げる。


知らない子だ。誰だ。怖い。怖い。怖い。

「ごめんなさい。ごめんなさい。殴らないでください。ごめんなさい。」


震えが止まらない。


---ギュッ


布団の上から頭を抱きしめられた。


「どうしたの?どっか痛いの?いたいのいたいのとんでけー!したらなおるよ!!

いたいのいたいのとんでけー!!!」


布団を持つ手が少し緩んだ。

そうすると布団が少し捲られ小さな丸い目がこっちを見て、


「なおった???」


と聞いてきた。

「うん。」

「よかった!!!」


そう言って俺の頭や頬を撫でてくれる男の子。



「君は誰?」

なんだろう。このことは普通に会話ができる。


「ぼくはね、たけだ そら!!!」



たけだ、そら、、、、、、、、、若の息子だ。

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