【完結】優しくしないで

にゃーつ

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【第一部】 2章

10 蓮side

「若!!千秋がいなくなった!!」


その連絡を受けてすぐに帰ってきた。


「どういうことだ京平。説明しろ。」

昼過ぎに千秋に夕食のリクエストないか聞きに行こうとしたら廊下で泣きながら走っていく千秋とすれ違ったそうだ。千秋の部屋を覗くと海がいた。と。


「海、俺は千秋の部屋にはいくなと言ったよな。お前、千秋に何言った?千秋の部屋には空も行く。監視カメラつけたこと忘れんな?嘘ついてもわかるからな?」


海が千秋に向かって言ったことはあまりにも酷だった。

「若すまねえ。俺が屋敷にいながら。」

「いや、俺の落ち度だ。千秋を探せ。この季節で体も弱いあいつは凍え死んじまう。」

ここの土地勘もないから遠くまで行きゃ戻ってこれねえ。

---バタバタッ


「ちーがいなくなったってどういうこと。」

「っ、空」

こいつ。なんで目してんだ。
この年でする目じゃねえぞ。


「全部おしえて。なんでいなくなったのか。」

「・・・海。お前の口から言え。」

「ママ?子どもだからってごまかそうとしないでね。」



海が言うことを静かに聞いてるこいつは父親の俺でも少し怖いと感じるほどだ。涼也たちも同じように感じてるようだ。


「ふーん、ねえママ、僕言ったよね?ちーと僕のじゃましないでって。言ったよね?


ちーが戻らなかったら、ほんとに許さない。許すつもりもないけどね。」


こいつほんとに5歳か?


「パパ、僕も探しにいきたい」

「子どもの足で探したってどうにもなんねえ。お前はここにいろ。千秋が戻ってきた時、誰かが見つけてきた時に1番に抱きしめてやれ。」


「、、わかった。」

不満そうな顔してやがる。

舎弟たちも動員して千秋を探し続けた。何も持たずに出たあいつだ。行けるところは限られてる。


なのに、全然見つからねえ。


もう22時だ。いなくなってから8時間は経ってる。
この季節に薄着でそんな長時間外いたら、、

クソッ!!!

どこ行きやがった。


---プルルルッ


高松 明



こんなときになんだよ。

しょうもねえ用事だったらぶっ殺すぞ。


「んだよ今お前と電話してる場合じゃ「お前んとこの千秋が救急車で運ばれてきた!今すぐこい!」


--ツーツーツー


救急車?


すぐに空や涼也たちをつれて病院へ向かった。




千秋は手術中だった。


空は手術室の扉に背中をくっつけて座り込んでしまった。




「っ!!!!明!千秋は!」


「一命はとりとめたが3日間はわからねえ。、、、、看取る覚悟もしててくれ。」

「みとるかくごってなに?」


「っ、、それは、」

こいつに伝えてもいいのか?
まだ5歳だ。

「蓮、父親だろ。きちんと教えろ」

「っっ、、千秋が死ぬかもしれないってことだ。」

その言葉を聞いた途端空が明に向かって行った。

「先生医者だろ!?なんでちーを治せないんだよ!ちーを治してよ!!!ちーを助けろよ!!!おい!」


涼也が止めに入っている。


「やめろ空。千秋はまだ生きてんだ。決めつけんな。病室で、千秋が目覚めるの待つぞ。」


怒られてもほとんど泣かない空が、泣いてる。



明が言うには、海に入って死のうとしてたところを助けられたらしい。だが海に浸かってる時間が長く病院に運ばれてる途中に心肺停止。


「空。助けたやつが言うにはな、千秋は空に見られながらいたいんだって言ってたらしいぞ。」


なんの反応も示さない空。

ベッドの横に座って、千秋の手を握ってる。

ただただ、泣き続けていた。


俺たちは誰も、空に声をかけることが出来なかった。


急にこっちを向いた空。


「ねえパパ、後継は嵐がいるからいいでしょ?」

急に何言い出したんだこいつ。

「嵐がいるからさ、僕はちーが死んだらちーのとこに行くね。」

そう言ってまた千秋の方を向いて千秋の頭を撫でたり頬を撫でたりし始めた。


一切の迷いのない表情だった。

「千秋はそんなの望まないと思いますよ?」

「ちーが望むとか望まないとかどうでもいいよ。ちーはして欲しくても言わないこと多いし。僕がちーのそばにいたいだけ。だから、何言われたって、ちーが死んだらちーのとこにいく。」

この執着のしよう、誰の遺伝子だ。

それから3日間、誰がなんと言っても、トイレ以外で空が千秋のそばを離れることはなかった。
食事も満足にとらなかった。


3日目の夜。

千秋が目を覚ました。


千秋は泣いていた。

「死ねなかった。」

最初の言葉はそれだった。

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