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【第一部】 3章
5 蓮side
「若、近いうちに大事な話があります。お時間とっていただけますか。」
普段そんなこと言わねえ千秋が妙に真剣な顔でこちらを見てる。
「今夜でどうだ。」
「手を煩わせて申し訳ないのですが、できれば空が屋敷にいない時間帯にお願いしたいのです。」
空のことか?
こいつが頼みなんて珍しいな。
「わかった。今日の仕事は急ぎじゃねえ。今からお前の部屋でしよう。2人の方がいいか?」
「涼也さんたちならかまいません。」
涼也、蒼真、京平を連れて千秋の部屋にやってきた。
この部屋、空のもので溢れてるな。
「早速なんですが、俺をここから離れた土地に移していただけませんか。」
「理由を言え。そもそも、まだ人の多いとこ苦手だろ。」
「昔よりは平気です。俺は、空から離れなければならない。」
「空の気持ちがお前に向いてるからか?」
ドキッとした顔しやがって。
バレてないとでも思ったのか。
空の気持ちはバレバレだ。
千秋に対しての執着。千秋が好きだと隠しもしない態度。誕生日の次の日は相当浮かれてたからな、気持ち伝えたか、もしくはキスでもしたか。そんなとこだろ。
「はい。自分で言うのもですが、空は俺に好意を抱いてくれてます。でも、俺は男で空も男。しかも空は若の御子息です。小さい頃から一緒にいるから空の気持ちが俺に向いてしまった。だから今のうちに離れないと、取り返しのつかないことになってしまう。そう考えました。」
「空のあの執着で離れたぐらいで気持ちなくなるか?俺はそうは思わねえぞ。」
「空はこれから中学、高校と進みます。その中でたくさんの人に出会う。そのときに俺がいなければ、きっとまた別の人を好きになる。俺が望むのは空が俺と生きることじゃない。空が幸せな人生を送ることだから。」
「お前はどうすんだ。お前の安定剤だろ。空は」
「空の幸せを願うなら、俺はどのみち空から離れても平気にならなきゃいけない。これまでずっと空に助けてもらって、さらに依存してきてしまいました。でも、空がいなくても生きれないと、空の幸せを願うことすらできない。」
何言ってもダメだな。
「九州の方の傘下で情報に強いやつが不足してると聞いた。どうだ?やってみるか?」
涼也たちは反対したそうな顔で俺を見る。
「はい!やらせてください!!」
さて、組の話はここまで。
「んで、千秋、お前の本音は?」
「え?」
「俺やこいつらしか今いねえ。空ほどではないが、俺たちだってお前のこと想ってる。もう11年以上お前を見てきたんだ。お前のこと弟のように思ってんだ。本音言え。」
「っっ、、、ほんとは、、空から離れるって言われるのが怖くて、空の気持ちに気づいてから、怖くて仕方ない。仲良くなったと思ったらほんとは俺のこと疎ましく思ってた人もいた。だから、空から離れていくぐらいなら、俺から離れようって。まだ空は11歳だから、これからいっぱいたのしいことあるだろうし、恋愛とかもする。そしたら俺のことなんていらなくなる。それが何より怖い。それに、離れなかったとしても、それは空の人生を俺が縛ってしまうんじゃないかなって、そんなのダメだって思って。」
「お前のおかげで空は明るくなった。お前のおかげで空は毎日楽しそうだ。ありがとうな。これは父親としての礼だ。」
「あと、このことは空に言わないでください。別れを言うつもりもありません。どこにいるか聞かれても言わないでください。お願いします。」
「分かった。俺からも一つ聞きたい。期間はどうする?ずっと向こうにいるか?それかいずれは俺の元に帰ってくるか?俺の本音はお前が必要だから帰ってきて欲しいがな。」
こいつの多種多様な知識は本当にありがてえんだ。
「若は、俺が必要ですか?」
「当たり前だろ。お前の努力がここまでお前を持ってきたんだ。自信持て。」
「空が、高校を卒業したら、戻ってきてもいいですか。」
「あぁ、もちろんだ。あっちで辛いことがあったらいつでも戻ってこい。それに、いつでも連絡してこい。俺たちはお前の味方だ。」
空がいない状況でこいつが泣くのを見るのははじめてだ。
千秋は3日後、この屋敷を離れる。
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