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【第一部】 5章
10 空side
じいちゃんから呼び出された。
「空です。」
「入りなさい。」
千秋と2人じいちゃんの部屋に入る。
そこにはじいちゃんばあちゃん、それにじいちゃんの側近、父さんとその側近。あの日いたメンバーが揃っていた。
部屋に入った途端千秋は
「この間は大変申し訳ございませんでした。顔合わせの日にあんなふうになってしまって、処分は受けるつもりです。」
「千秋、顔をあげなさい。私らはそんなこと怒ってないよ。もう体調は大丈夫かい?」
「は、はい。」
「なら空とそこに座りなさい。話があるんだ。」
千秋の体に力が入ってるのがわかる。
僕だって、緊張してる。
「DNA鑑定の結果だ。
千秋、お前と梶田湊さん、美織さんとは親子関係であることがわかった。」
千秋があの人たちの息子、なのか。
なら千秋を虐待していたあの母親は偽物。
---バタッ
「ちー!!??ちー!」
ちーが倒れた。
「空、落ち着きなさい。ショックで倒れたんだろう。蓮、明を呼んでやりなさい。空、客室に千秋を寝かせて、戻ってきなさい。話がある。」
そう言われた通りに客間の布団にちーを運んでじいちゃん達のところへ戻った。
「千秋が息子だと分かった以上、あちらは千秋を引き取りたいとそう言っている。といっても千秋ももう成人済みの大人だ。あちらの組で暮らさせたいとそう言っている。」
「今のちーにそんなことしたら、もっと苦しくなる。それに、僕たちは離れない。」
ちーと離れるなんて2度とごめんだ。
「はぁ、そう言うと思った。あちらさんの電話番号だ。一旦お前が話しなさい。千秋のことならお前が1番わかっているだろ。」
「はい。どうにか納得してもらいます。」
あのあとちーは本宅で明先生に見てもらい、離れに運んだ。目はまだ覚めない。
その間に、
---プルルルッ
「はい、こちら梶田。どちら様で」
「急なお電話失礼します。武田組若頭の息子、武田空といいます。千秋のことでお電話させていただきました。」
「武田さんのとこの!千秋には伝えていただけましたか??我々としては今すぐにでも一緒に暮らしたいと考えてまして」
「あなたは、千秋が武田組に引き取られるまでをご存知で?」
「いえ、調べが付かず、知りません。」
「僕は千秋をそちらで暮らさせる気はありません。
千秋は11のときに僕の父に拾われました。拾われる日までずっとひどい虐待を受けて育ちました。食事も満足に与えられず、身体中傷だらけ、命に関わってもおかしくない傷もあったそうです。千秋が言うには、2~3歳ごろからだったと言っていますが、もっと早かった可能性もあります。それに、ずっと母親から生まれてこなければよかったんだと言われて育ったようで、今でもその考えは千秋に根付いています。今でも女の人は苦手だし、昔は周りの人は全員自分を殴ると思っていて、初めて出会った時5歳の僕に対して殴るのか?と聞いてきました。自傷行為も辞められない時期が長かったんです。そのぐらい、千秋の傷は深い。今は月に2回、心療内科に通っています。千秋は周りが思ってる以上に不安定です。千秋のメンタルを考えても、あなたたちと一緒に暮らすことは反対です。まずは僕が同席しながら食事等から始めていただきたいんです。知らない人ばかりだと、きっと不安だから。」
「わかりました。妻にもそう話します。千秋にそんな過去があったとは。すいません。私たちが見つけていれば。っっ、」
「いえ、こちらこそすいません。今週末にそちらの土地にお伺いします。千秋を連れて。」
「はい。お待ちしてます。千秋は、何が好きですか?」
「千秋は、パンや麺よりもお米が好きです。煮込み料理が好きです。ハンバーグも好きです。あとは、甘いものが好きです。」
「っっ、わかりました。用意して待ってます。」
「せっかく息子さんが見つかったあなた方に酷なことを言ってるのは分かってます。本当にすいません。」
「いえ、千秋に会えるだけでも嬉しいですから。」
そう言って電話は切れた。
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