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【第一部】 6章
19
お父さんは俺におかあさんに関わる全てを話してくれた。
「僕が怖いかい?殺さずに苦しめるだなんて正気の沙汰じゃないって。」
首を横に振る。
「俺の大事な人が俺みたいな目にあってたら俺も許せないと思うから、そんなこと思わないよ。ありがとう。」
「・・・千秋、私ねずっとあの女よりも自分の方が許せなかったの。私があなたのこと守ることができていたら、あの女が病室に入ってきた時に気づけていたら、って考えて、何度考えても自分が許せなかった。でも、千秋と再会できてあの女ももう外に出ることは無くなって、ようやく安心して千秋と過ごせるの。
千秋、あの時守ってあげられなくてごめんね。」
「お母さん、お母さんは悪くないよ。俺、確かに辛かったし今でも女の人とかたくさん人がいるところ苦手だし、小さい頃は優しいお母さんに憧れたこともあった。家族にも憧れた。でも、今は俺にはかっこいいお父さんも優しいお母さんもいるから、幸せだよ。謝らないで?」
「・・・うん。ありがとう、私も千秋に会えて幸せよ。」
「あともう一つ、千秋に言わなければならないことがあるんだが」
お父さんが次に話してくれたのは、俺の戸籍についてだった。
俺、法的にもお父さんとお母さんの子どもに戻れるんだ。
「・・・嬉しいよ。よかった、俺、梶田千秋ですって言っていいってこと?」
涙が溢れてくる。
「当たり前だ。お前は私と美織の大事な大事な息子だから。お前の名前は梶田千秋であって、牧野千秋じゃないんだ。」
これが俺の本当の名前なんだ。
牧野千秋はもういない。
おかあさんからの暴力と暴言に怯えて、何もかもが怖くなっている牧野千秋はもういない。
梶田君組長の息子の梶田千秋が俺なんだ。
「・・・ん。ありがとう、、ぅぅ、、」
「親子3人、これからまたやっていきましょう?ね?」
お父さん、お母さん、ありがとう。
「そういえば、俺って後継にならなきゃいけない?若に表の仕事するって言っちゃったんだけど。」
「千秋がやりたければ後継って形にしても構わないけど、必ずしなければいけないということはないよ。今若頭をしてくれているのは僕の甥でね。千秋より10近く年上の子だ。また今度組のみんなに千秋を紹介しなきゃね。」
「そっか。俺、新しくする仕事やってみたいから後は継げない、かな。ごめんね。」
「そんなこと気にしなくていい。前組長と私は親子関係だが、その前の組長と父は親子ではなかったしね。梶田組はそこまで厳しくないんだ。だから、武田組に千秋がいることも何も問題にはならないからね。」
「ならよかった。」
少し気になっていたからよかった。
さて、そろそろ話さないとな。
「・・・あのさ、俺寄って欲しいところあるって言ったでしょ?そこに行く前に話しておきたいことがあって、空のこと。」
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