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【第一部】 8章
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しおりを挟む「いい?何かあったら絶対時差なんて気にせず電話すること。実家や父さんたちをちゃんと頼ること。無理しすぎないこと。ご飯もちゃんと食べて。仕事忙しいかもしれないけど、睡眠もしっかり「空、俺大丈夫だから!もう飛行機の時間でしょ?空こそ、気をつけてね?」
空港で搭乗手続きが始まってもう数分が経つ。空はずっと俺を抱きしめるのをやめずにここから動かない。
俺が寂しい。不安だって感じてるのと同じくらい空も寂しくて不安だと感じているんだ。
この3ヶ月はあっという間で俺の誕生日にクリスマス、年越し。たくさんイベントもあったせいか空との濃い思い出が作れて余計にこの日を寂しくさせるんだ。
「絶対浮気すんなよ。僕はアメリカでもずっとずっとちーのこと考えてるから。電話もできる限りしたい。お土産もいっぱい買ってくる。」
そうして搭乗手続きギリギリの時間まで人目も気にせずにキスしてハグして別れを惜しんだ空の出発日。
それから1ヶ月経った今日この頃。
俺はかなり限界を迎えていた。
時差約14時間電話するのにも無理がある時差だ。俺の昼休みにちょっとできるか、お互いの休日が被ればって感じでほとんどできていない。
俺はこの1ヶ月で眠れなくなってしまった。明先生に空には内緒で睡眠薬を出してもらっている。
だって知られたら空は日本に帰るって言い出すと思うから。
家に1人でいるのが辛くて苦しくなる時もある。また切ったら少し楽になるんじゃないかって思ってしまう時もあって。そのときは空のこと思い出すと少し落ち着くからまだ切らずにいられるけど、いつ切ってしまうんだろうと不安でいっぱいだ。
電話した時には空に仕事の話をして誤魔化している。たぶん会えば一瞬でバレるだろうけど声だけだと流石の空も気づかないみたいだ。
空の誕生日付近からまた心療内科に通っているんだが、つい最近の診察は初めて1人で行って病院という場所に空が撃たれたことを思い出して病院に入ることもできなくて、明先生に連絡して空が帰ってきてから行くことになった。
その時に眠れていないこともバレてしまったんだ。
「千秋、空いなくて不安定なんだろ。後1ヶ月持つとは俺は思えねえぞ?」
そう言われても、早く帰ってきてなんて仕事頑張ってる空に言えないし。
どうしたらいいか分からないけど、自分の体が限界に近づいていっていることはわかる。
空がいないとこんなにもダメなんだな。
空は平気なのかな。俺が近くにいなくても平気なのかな。
空に会えない。なかなか電話もできないこの状況が俺の心も体も追い詰めていっている。
「そ、ら、、、、」
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