181 / 199
【第二部】 2章
16
「春夜、あんまやんちゃしちゃダメだよ?元気なのはいいけど、怪我はすんなよ。冬夜、大人っぽいのが冬夜のいいところだけど、まだまだいっぱい甘えなさい。2人とも、本当に優しくて、パパの自慢の子供だよ。8年間幸せをくれてありがとう。体に気をつけてね。」
「春夜も冬夜も僕たちにたくさん幸せをくれてありがとう。父さん、千秋の次にお前たちのことが好きだからね。いつまでも。」
2人は俺たちの胸に飛び込んできた。
朝ごはんの時からずっと、泣き顔しか見てないや。2人の笑った顔、好きなんだけどな。
「「っ、、、やだ、、パパと父さんといる。」」
「俺たちだって、、、幸せだったんだっ、、、」
「絶望の中にいたのに、、パパと父さんが救ってくれたんだ、よ、、」
「「っ、、ありがとう、」」
2人からその言葉を聞けただけで、何より嬉しいな。
2人は俺たちの胸の中に埋まったまま泣き続けている。だんだんと冷たくなってくるTシャツが2人の悲しみを表しているようで、辛い。
「行きましょう。」
職員の人が無理矢理に2人を引き剥がす。嫌だ嫌だと暴れる2人を車へ連れて行く。
泣いて暴れる春夜と冬夜を初めて見た。
泣くことはあっても暴れることなんてなかったから。
そんな2人見たいなんて思わないけれど、それでも目に焼き付けなければいけない。この2人がこうなっているのは俺が無力だったからだ。
こんな2人でも、もうこれは最後だから、だから、笑顔で見送りたいのに。
視界が歪むのが治らない。涙がどんどん溢れてくるんだ。
2人の顔をはっきり見たいのに、全然はっきり見えない。それでも、それでも、目を開ける。
車の扉が、閉ざされた。
扉が閉まっても聞こえてくる2人の叫び声、泣き声。
パパ、父さん、嫌だとと叫んでいる。
叫び声がだんだんと聞こえなくなると同時に車もどんどん遠ざかって行く。
思わず追いかけると、後部座席から乗り出しバックドアガラスを叩いている。
もう声は聞こえない。向こうは車、俺は足だ。追いつくはずもない。どんどん距離が空く。
2人の顔も見えなくなっていく。
もうほとんど見えなくなった。
その場に崩れ落ちる。
「春夜ーー!!!!冬夜ーーー!!!」
叫んだって聞こえない。どれだけ願ったって、もう車は戻ってこない。
春夜と冬夜の喧嘩を止めることもない。
2人のご飯を食べることもない。
2人の好きな食べ物をリクエストされることもない。
夜更かししている2人を怒ることもない。
2人には、、もう会えない。
あなたにおすすめの小説
俺は夜、社長の猫になる
衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。
ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。
言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。
タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。
けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。
ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。
【短編集】こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科
空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する
高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体
それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった
至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する
意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク”
消える教師
山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中