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21 奏多side

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久しぶりに病院の外に出た。
太陽ってこんなに眩しかったっけ?

いつも快適な温度の部屋で過ごしていたから少し蒸し暑い気温に汗が出る。

「奏多、また来週検診来るんだぞ。」

「うん。荒木先生、これまでありがとうございました。」

「あぁっ、、好きに生きろよ。」

「奏多くん、またね。」

「はい、また。」

恋人となったことはまだお父さんに言っていないから、一言交わすだけだったけど、昨晩は最後の入院の夜だからって部屋に来てくれて話をしたり手を繋いだりと2人の時間を過ごした。

タクシーに乗り込んでお父さんと今日から住むマンションに向かった。

「奏多、何かしたいこととかあるか?まだ、好きになんでも食べていいわけではないから行きたいとことかあれば連れて行くぞ?」

「・・・ねえ、お父さん。僕、もう一度ヴァイオリンがしたい。」

「そうか。」

「いい?」

「もちろんだ。その、奏多が本当はヴァイオリンしたいのを知っていたから昔習っていた先生にお願いしてあるんだ。いつからでもまた通える。昔使ってたヴァイオリンは子供用だったから、新しいものも買うために明日、楽器屋がうちに来る。」

お父さんが僕のしたいことを考えて用意してくれていることに嬉しさが溢れてそれが涙となって流れた。

何か嫌だったか?とお父さんはオロオロしていたけど、嬉しいんだと説明すると優しく抱きしめてくれた。

次の日からはまたヴァイオリン漬けの日々が始まった。高卒認定は受けて高卒資格を持っているからヴァイオリンの先生には音大を受けることも考えてみては?と言われた。

まだ普通の生活に慣れていないし学生生活をまともに過ごしていなかったから決断はまだ出来ないでいた。

---ピロン

あ、柏木先生だ!

メッセージのやり取りは頻繁にしていて、いつも好きだよと言ってくれるから通知音が鳴るたびに少しドキドキしていた。

メッセージを見てみると今日休みだから少し会わないかと言う内容だった。

すぐに会いたいとメッセージを送って出かける準備をした。いつも入院着だったから自分の格好が似合っているのかもダサくないのかもよく分からないままただ会いたいというだけで家を飛び出した。

今日がレッスンの日じゃなくて良かった。

家の近くのカフェに行くと私服の先生がいて胸の鼓動が早くなるのを感じながら近づくと、

「奏多くん!!」

「先生、お久しぶりです。」

「久しぶり、店入ろ。」

先生に手を引かれて店内に入る。どうしよう、ドキドキする。

「先生、先生がカッコ良すぎてドキドキします。」

「俺も、すげードキドキしてる。ってか、奏多くん、そろそろ先生呼びやめない?」



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