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7話 嵐の予感 再び
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情報王から情報を買った私はある場所へ来ていた。
『成城学院高校』
S県にある学校だ。情報によればここに巨根王なる未覚醒の王が通っているらしい。そしてそいつが私の復讐対象だ。巨根王の顔も名前もわからない。それは教えてはくれなかった。情報王的には……
「いずれ、知りたくなくても知ってしまう日が来る。君はその真実を受け入れない。受け入れたくない、と思うだろうね」
とのことだ。
その意味はよくわからなかった。復讐以外にはこの身しか残らなかった私にそのような感情が生まれてくるとは思えない。
「あ、いたいた。あんたが牧野だな?俺が君の担任になった吉村だ、よろしくぅ~」
「はい。よろしくお願いします」
突然呼ばれ内心驚きながらも定型文を返す。
私は今日からここに通うことになった。3年のクラスに編入することとなった。編入手続きは情報王がしてくれたらしい。至れり尽くせりで、感謝してもしきれない。
「んじゃ、教室まで案内すっからついてきな~」
「はい。よろしくお願いします」
三階にある教室まで案内される。きさくに話を振ってくれるいい先生だと思う。……しっかりとしてるようには見えないが。口調的にも服装的にも…。
「ここがこれからお前がくる教室だ。二回目からは案内ねぇから迷うなよ~。んじゃすこ~し教室の前で待っててくれ。あいつらに説明してくるから」
「はい」
中から明るい声が聞こえてくる。賑やかなクラスのようだな。
「おい~牧野入ってこい~」
先生に促されて教室にはいる。
「自己紹介から適当に頼むわ」
「はい。…私の名前は牧野 智美。今日からここに通うことになりました。よろしく。仲良くして欲しいとは思わないけど、学校のことを詳しく教えてくれると助かります。」
「よし、お前は怜の隣の空いてる席に座れ」
先生が空いてる席を指す。
あの人のとなりか…。なんか嫌だな。なぜだろう汚物に見える。それもなんだか凄くダルそうにしてるし…。
「ん?先生そこは根岸がすわっているはずじゃ…」
「なに言ってるんだ?俺は前から二番目の席だぞ?」
怜という青年が隣の席が空いていることに不信感を抱くが、笑い話として処理された。
彼は頭が弱いのだろうか……。
「怜がアホなのはいつものことだ。牧野、はよ座れ」
「あんた本当に教師か!?自慢の生徒をアホとか!」
アホ呼ばわりされた大庭怜が叫ぶように異論を唱える。
隣で叫ぶな。うるさい。
「はぁ…ほんとにあの人は…。あ、そうだ、よろしくな牧野さん」
「……えぇ。よろしく。」
そう言って爽やかな笑顔を向ける怜?という男子。その笑顔には不思議と憎みきれないような明るさを感じた。
しかし、そんなものに浸っている暇はない…。はやめに見つけないとな…巨根王とやらを……。
◇
その日の昼休み。
怜は、困っていた。
昨日の魔界の疲れが未だに取れず授業のほとんどを寝て過ごしていた怜だが…
『おぉ、怜。すまんが牧野に学校を案内してくれないか~?』
とクラス担任に頼まれたため、寝て過ごす予定だった昼休みを転校生の学校案内に変更し、隣の席の転校生 牧野 智美の方を見たのだが、明らかに話しかけてくるなオーラ全開なのである。
俺、あの子に何かしたかな?
そう思い考えてみるが何も覚えがない。
まぁ、声だけでもかけてみよう。
「あ、あの…」
「何?」
ギロリ。
そんな擬音が似合いそうなほど鋭い目線が帰ってきた。
何この子?こわ~い…。
「いやね、学校を案内してあげようかと思って…」
恐る恐る聞いてみるとより一層目を細めて睨んできた。
もうやだ!怖くてちびっちゃいそうなんだけど!
しかし、怜も男である。ここまで話しかけてしまったら引き返すわけにもいかない。折れそうになっていた心に覚悟を決めて返事を待っていると。
「…よろしく頼むわ。」
渋々といった感じの返事が帰ってきた。気を遣われる側が逆なのではと感じながらも怜は牧野を連れて教室を出た。
「ここが実験室。使う機会が多いから覚えておいた方がいいよ。」
「…」
色々な教室を案内していったが、どこでもこんな感じで怜の1人語りのようにすら感じる。それでもめげずに使う機会の多い移動教室の場所と食堂、購買部と、色々な場所を案内した。
「普段使う機会の多い場所とかは案内したけど他に知りたい場所とかある?」
「…」
また無視をされるが流石に慣れた怜は、んじゃと教室に戻ろうとして
「ごめんなさいね」
「…え?」
牧野に急に謝られて戸惑う俺。
「あなたの事、一目見てからずっと汚物人間だと思ってた。でも、ずっと無視してる私に嫌な顔せず親切に案内してくれて、その嬉しかった。ありがとう。」
牧野は優しく微笑みながら俺にぺこりと頭を下げて教室に戻っていった。俺はその場から動けずに目をパチパチするだけだった。
汚物人間って初見で思われる俺ってなんだろう…。でも、素直に謝ってくれたし悪い人ではないのかな。…釈然とはしないけど…(涙)
その時、ちょうど授業五分前を知らせる予鈴がなったので怜も急いで教室に戻った。
◇
結局あの後から目が合ったら会釈を返してくれるようにはなってくれたが、それ以上、話す事も無く放課後になってしまった。ホームルームの後、すぐに牧野は帰ってしまった。桜は、委員会が長引くと言っていたので今日は1人で帰っていた。なお、リリスは今日一度も顔を合わせることがなかった。
何やってるんだあいつは…。
そう愚痴ってから怜は牧野のことを思い出していた。
『あなたの事、一目見てからずっと汚物人間だと思ってた。でも、ずっと無視してる私に嫌な顔せず親切に案内してくれて、その嬉しかった。ありがとう。』
その言葉には嘘偽りは感じなかったし、あの時の微笑みは、凄く可愛かった…。
俺の中での牧野の印象は変わった子といった感じではあったが、あの感謝の言葉と笑顔から悪い人とは思えなかった。
出来れば仲良くなれるといいな。いやらしい意味は無しで。いや、マジで。
…俺、誰に向かって誤解を解こうとしてるんだろう。自分自身変態だと思われてることを認めてる自分を否定したい。悲しいかな俺…。
そんな、事を思いながら歩いていると我が家のアパートに着いていた。2階に上がっていくと俺の左隣の部屋の前に見覚えのある女子がいた。
「鍵は、どこにしまったかしら…」
カチャン。
俺が鍵を落とした瞬間、振り向いた牧野と目が合った。
「こ、こんにちは。」
「…こんにちは。」
何故かはわからないが嵐の予感がする2人であった。
『成城学院高校』
S県にある学校だ。情報によればここに巨根王なる未覚醒の王が通っているらしい。そしてそいつが私の復讐対象だ。巨根王の顔も名前もわからない。それは教えてはくれなかった。情報王的には……
「いずれ、知りたくなくても知ってしまう日が来る。君はその真実を受け入れない。受け入れたくない、と思うだろうね」
とのことだ。
その意味はよくわからなかった。復讐以外にはこの身しか残らなかった私にそのような感情が生まれてくるとは思えない。
「あ、いたいた。あんたが牧野だな?俺が君の担任になった吉村だ、よろしくぅ~」
「はい。よろしくお願いします」
突然呼ばれ内心驚きながらも定型文を返す。
私は今日からここに通うことになった。3年のクラスに編入することとなった。編入手続きは情報王がしてくれたらしい。至れり尽くせりで、感謝してもしきれない。
「んじゃ、教室まで案内すっからついてきな~」
「はい。よろしくお願いします」
三階にある教室まで案内される。きさくに話を振ってくれるいい先生だと思う。……しっかりとしてるようには見えないが。口調的にも服装的にも…。
「ここがこれからお前がくる教室だ。二回目からは案内ねぇから迷うなよ~。んじゃすこ~し教室の前で待っててくれ。あいつらに説明してくるから」
「はい」
中から明るい声が聞こえてくる。賑やかなクラスのようだな。
「おい~牧野入ってこい~」
先生に促されて教室にはいる。
「自己紹介から適当に頼むわ」
「はい。…私の名前は牧野 智美。今日からここに通うことになりました。よろしく。仲良くして欲しいとは思わないけど、学校のことを詳しく教えてくれると助かります。」
「よし、お前は怜の隣の空いてる席に座れ」
先生が空いてる席を指す。
あの人のとなりか…。なんか嫌だな。なぜだろう汚物に見える。それもなんだか凄くダルそうにしてるし…。
「ん?先生そこは根岸がすわっているはずじゃ…」
「なに言ってるんだ?俺は前から二番目の席だぞ?」
怜という青年が隣の席が空いていることに不信感を抱くが、笑い話として処理された。
彼は頭が弱いのだろうか……。
「怜がアホなのはいつものことだ。牧野、はよ座れ」
「あんた本当に教師か!?自慢の生徒をアホとか!」
アホ呼ばわりされた大庭怜が叫ぶように異論を唱える。
隣で叫ぶな。うるさい。
「はぁ…ほんとにあの人は…。あ、そうだ、よろしくな牧野さん」
「……えぇ。よろしく。」
そう言って爽やかな笑顔を向ける怜?という男子。その笑顔には不思議と憎みきれないような明るさを感じた。
しかし、そんなものに浸っている暇はない…。はやめに見つけないとな…巨根王とやらを……。
◇
その日の昼休み。
怜は、困っていた。
昨日の魔界の疲れが未だに取れず授業のほとんどを寝て過ごしていた怜だが…
『おぉ、怜。すまんが牧野に学校を案内してくれないか~?』
とクラス担任に頼まれたため、寝て過ごす予定だった昼休みを転校生の学校案内に変更し、隣の席の転校生 牧野 智美の方を見たのだが、明らかに話しかけてくるなオーラ全開なのである。
俺、あの子に何かしたかな?
そう思い考えてみるが何も覚えがない。
まぁ、声だけでもかけてみよう。
「あ、あの…」
「何?」
ギロリ。
そんな擬音が似合いそうなほど鋭い目線が帰ってきた。
何この子?こわ~い…。
「いやね、学校を案内してあげようかと思って…」
恐る恐る聞いてみるとより一層目を細めて睨んできた。
もうやだ!怖くてちびっちゃいそうなんだけど!
しかし、怜も男である。ここまで話しかけてしまったら引き返すわけにもいかない。折れそうになっていた心に覚悟を決めて返事を待っていると。
「…よろしく頼むわ。」
渋々といった感じの返事が帰ってきた。気を遣われる側が逆なのではと感じながらも怜は牧野を連れて教室を出た。
「ここが実験室。使う機会が多いから覚えておいた方がいいよ。」
「…」
色々な教室を案内していったが、どこでもこんな感じで怜の1人語りのようにすら感じる。それでもめげずに使う機会の多い移動教室の場所と食堂、購買部と、色々な場所を案内した。
「普段使う機会の多い場所とかは案内したけど他に知りたい場所とかある?」
「…」
また無視をされるが流石に慣れた怜は、んじゃと教室に戻ろうとして
「ごめんなさいね」
「…え?」
牧野に急に謝られて戸惑う俺。
「あなたの事、一目見てからずっと汚物人間だと思ってた。でも、ずっと無視してる私に嫌な顔せず親切に案内してくれて、その嬉しかった。ありがとう。」
牧野は優しく微笑みながら俺にぺこりと頭を下げて教室に戻っていった。俺はその場から動けずに目をパチパチするだけだった。
汚物人間って初見で思われる俺ってなんだろう…。でも、素直に謝ってくれたし悪い人ではないのかな。…釈然とはしないけど…(涙)
その時、ちょうど授業五分前を知らせる予鈴がなったので怜も急いで教室に戻った。
◇
結局あの後から目が合ったら会釈を返してくれるようにはなってくれたが、それ以上、話す事も無く放課後になってしまった。ホームルームの後、すぐに牧野は帰ってしまった。桜は、委員会が長引くと言っていたので今日は1人で帰っていた。なお、リリスは今日一度も顔を合わせることがなかった。
何やってるんだあいつは…。
そう愚痴ってから怜は牧野のことを思い出していた。
『あなたの事、一目見てからずっと汚物人間だと思ってた。でも、ずっと無視してる私に嫌な顔せず親切に案内してくれて、その嬉しかった。ありがとう。』
その言葉には嘘偽りは感じなかったし、あの時の微笑みは、凄く可愛かった…。
俺の中での牧野の印象は変わった子といった感じではあったが、あの感謝の言葉と笑顔から悪い人とは思えなかった。
出来れば仲良くなれるといいな。いやらしい意味は無しで。いや、マジで。
…俺、誰に向かって誤解を解こうとしてるんだろう。自分自身変態だと思われてることを認めてる自分を否定したい。悲しいかな俺…。
そんな、事を思いながら歩いていると我が家のアパートに着いていた。2階に上がっていくと俺の左隣の部屋の前に見覚えのある女子がいた。
「鍵は、どこにしまったかしら…」
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