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8話 夕食会
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私の胸中はひどく荒れていた。
なんと、学校で席が隣だった心優しい少年(しかし、変態な予感はあり)とお隣さんだったのだ。
…学校のクラスも席も、この部屋でさえも用意したのは情報王。
絶対に情報王はこの状況へと陥ることを予測していた。分かっていて用意した。
彼はいま腹を抱えて笑っていることだろう。
今はなんとか部屋へ逃げ込んだが、先程は本当にどうなることかと思った。
「ま、牧野さんお隣さんだったんだ……」
「えっえぇ、そのようね…」
大庭怜を見た瞬間に私は目を点にし、口を大きく開けて唖然とした。まさかの光景だったからだ。
対して大庭怜は驚いてはいるようだが、私ほどではないらしく、今は学校の時と同じような雰囲気だ。
「牧野さんはいつからここに住んでるの?」
「わ、私は今日初めてここに来たんだ。今日からここで世話になる。」
「へぇ、あ、そうだ。今日の夜俺の部屋で桜って子と夕飯食べるんだけど一緒にどう?桜にも紹介したいし」
「え、あ、あぁ。わ、わかった。お邪魔してもいいのなら誘いに乗らせてもらうわ。」
「うん。じゃぁこの後6時くらいに来てね。それじゃ俺はこれで」
「え、えぇ」
私はやつが自分の部屋へ入るまで動けず、目で追い続けていた。
ドアを開けてなかに入ってドアを閉めるまで、私は半分意識が飛んでいた。
本当に恥ずかしい出来事であった。
目的のため以外に男性と話す機会なんて全くなかったので物凄く緊張してしまった。
しかし、6時からか……。
いまの時刻は5時40分……。後20分ある。
服はどうしようか、さすがに制服では不味いだろうし。
スーツにしようか?それともワンピースの様な明るめな服装の方がいいのだろうか…。あ、でもこの部屋に私の服があるのか!?タ、タンス、タンスは!!
ドタドタと部屋のなかを探し回り、ようやく見つけたタンス。
しかし、思い出してほしい。この部屋を提供したのは誰だったかを。中から顔を出したのは…
……パーティ衣装…ダンディ坂○…。高そうなドレスに露出度の高い水着……ろくなものがない…。
しかし、ふとタンスの奥にひとつの紙切れを見つける。
~牧野智美さんへ
本当はこの衣装だけにしようと思ったけど、さすがにかわいそうだったので冷蔵庫の上の袋に一般的な女性服を詰めておいたよ。
別にパーティ衣装とかも着ていってもいいよ?笑
ps.怜くんは飾りすぎない女性の方が好みだってさ
あなたの天使情報王より~
無言で紙切れを破り捨てる。そのまま、冷蔵庫のうえの袋から服を適当にとって着る。
どうでもいい内容だった。うん。
飾りすぎない女性ね…うん。気にしない気にしない。
着た服を鏡の前で確かめる。
白いシャツに黒のスキニー。シンプルではあるが大人の雰囲気を醸し出している。
もうそろそろ時間だ、はやめに準備を終わらせて行こう。
申し訳程度のメイクを施して、鼻唄を歌いながら私は準備を進める。
少しばかり、楽しみだった。たまにはこういうのも悪くないのかもしれない。
◇
牧野と部屋の前でばったりと会ってから1時間が経った今、牧野は俺を睨んでいる。桜は、ニコニコと微笑んでいるが目が笑っていない。リリスは、我関せずとテレビを見ている。
…どうしてこうなった?
時は遡り1時間前。
牧野を今夜の夕食に招待をして自分の部屋に戻った俺は、部屋を片付けていた。
特に酷く散らかっている訳ではないが、女の子が自分の部屋に来ると思うと、ソワソワしてしまう思春期なお年頃なのだ。
「あ~楽しみだな~、桜のご飯。牧野さんも来るし、今日は楽しい日になりそうだ」
「大丈夫よ。女が来たとしてもあんたが期待してる事はないわ」
「うわぁぁぁぁ!」
さっきまではいなかったはずのリリスがいつの間にか俺の隣にいた。
「別にそんなに驚く事もないじゃない。いつもの事なんだから」
いつもしている自覚があるのなら止めてくれないかな!?心臓に悪くてしょうがないんだけど!!
「まぁ、いい…。今日は変な事すんなよ?学校に来てなかったからわかんないと思うけど牧野さんっていう転校生の子が来るから、勘違いされるような事は本当にな。」
リリスのせいであらぬ誤解をされまくっている俺は、本当に心配でしょうがない。
「安心しなさい。今日の私はあんたを虐める気はないから」
こんなにも安心しない言葉は他にあるだろうか?散々人を陥れといてよく言えたものだ…。
俺は非難がましい目をリリスに向けたが彼女は完全に無視しているため、諦めて部屋の掃除に戻ろうとしたら部屋の呼び鈴が鳴った。
「お、桜が来たのかな?」
俺は一旦、掃除を中断して扉開けるとそこには予想通り桜がいた。
「こ、こんばんは怜君。」
少し恥ずかしそうにしながら桜が挨拶をしてきた。薄いピンク色のワンピースを着た桜は、その仕草も合わせて物凄く似合っていた。てか、めっちゃ可愛い。。。
「こんばんわ、桜。散らかってるけど、どうぞ中に入ってよ」
「は、はい!」
桜は毎回、部屋に入るとき緊張した感じだ。そんな仕草も小動物を見ている時のように微笑ましく思えてしまう。
あぁ、桜は本当に天使みたいだよなぁ。
「そんな性犯罪者みたいなニヤけ顔してたら警察に捕まるわよ」
リリスがジト目を向けながら俺にそう言った。
俺ってそんなニヤけてたかな?仮にニヤけてたとしても警察に捕まる程やばい顔してんの?気をつけよ…。
「あ、やっぱりリリスちゃんもいたんだね…」
微妙に残念そうにする桜。
桜、リリスの事苦手なのかな?
そんな桜の様子を見てリリスは口の端を釣り上げるように笑った。
「あら、私がお邪魔なら今すぐに出掛けるけれど?」
「い、いや、そういう事じゃなくてね!えぇと、いつも2人分の食材だったから足りるかなって!あははは」
早口気味にそう答える桜。
やっぱり苦手なんだな。わかるぜその気持ち。いやらしい性格してるもんなあいつ。
「いったぁ!!!」
リリスが思いっきりおれの足を桜からは見えない絶妙な角度から蹴ってきた。
てか、俺、口にしてないじゃん!!
俺が痛みに震えている間にリリスは桜の元に行き小声で話しかけ始めた。何を話しているかは聞き取れないが桜は赤面して、リリスはニヤニヤしながら話している。
ど、どんな話をしてるんだ…?
物凄く興味を引かれ耳をすましていると再び呼び鈴が鳴った。
「あれ?他にも友達を誘ったの?」
「あぁ、今日転校してきた牧野さんが隣の部屋に引っ越してきてたらしくてな。偶々家の前で会ったから誘ったんだよ」
「そ、そうなんだ…」
誘った経緯を簡単に説明すると桜は先ほど以上に表情を暗くし、トボトボとした足取りで台所に向かって行った。
桜ってそんなに人見知りする性格だったっけ?
そう疑問に思いつつ扉を開けると案の定、牧野がいた。飾りすぎずシンプルな服装であったが、逆に牧野の落ち着いた雰囲気が出ていて物凄く似合っていた。
「こんばんは牧野さん。」
「こ、こんばんは…」
まだ少し緊張しているのだろうか。牧野は俯きながら小声でそう返した。
「ほら上がって上がって」
「お、お邪魔します…」
部屋に招き入れると牧野はある一点に視線を向けたまま固まってしまった。その視線の先にはお察しの通りリリス。そして、桜は今、台所にいて見えない。
…てか、なんでリリスはそんなに服が着崩れてるの!?やめろ!!顔を赤くするな!!
「えっとぉぉ、そのあの子はねぇぇ?」
必死に言い訳をしようとした所で牧野は恐る恐るといった感じて口を開いた。
「やっぱり性犯罪者だった…!」
「待て待て待て!それ誤解だから!弁解させて!待って!帰らないで!?」
そのまま周り右して帰ろうとした牧野の腕を掴み立ち止めた。
「は、離しなさい!性癖が移る!」
「何その嫌がる理由!?めちゃくちゃ傷つく!!」
なんとかなだめて部屋に入ってもらうのに5分ぐらいはかかった。その間、リリスはずっと笑い転げていた。殺意しか湧かなかった。。。
説得が終わり席に着いてもらうと丁度桜が前菜となる野菜のドレッシング和えを運んできた。見ただけで分かるほどの瑞々しさと桜お手製のドレッシングが食欲をそそる。
「ありがとうさく、ら…?」
振り返りお礼を言おうとすると目が完全に笑っていない桜が俺の方を向きニコニコしていた。心なしか背後に般若のような顔すら見える気がする。
さ、桜が怒ってる!?なんで怒ってんだろう!?てか、そのスタ◯ドはどう出してるの!?
1人戦慄を覚える俺。その後も色々とテーブルに料理を運び終えるとさっきの表情のまま2人は目線を俺に向けてきた。
…えっと、どうしてこうなったのだろう?
率直にそう感じる俺であった。
◇
悪魔で超絶可愛いサキュバスのリリスちゃんこと私は先日学校に編入した。他の恩恵保持者から契約者の大庭怜を守るために。その為にちょちょいと魔法で認識力を弄って私を見ても何とも思わせなくしたし、席も怜が常に視野に入る後ろにした。
認識力の改善って意外と面倒で疲れるんだよね…。まぁ、それは置いといて。
肝心の怜は一応恩恵を得たみたいだけど、まだ意図して発動し、思い通りに操作することはできてないみたいね。魔界で修行しても分かったのは発動条件だけ。条件の要は『興奮』。怒り、喜びなど興奮に結び付きそうなものが多く当てはまったけど、使い勝手が難しい力ね。
恩恵を手にいれるにはいくつか条件があるのだけど、契約者の大庭怜は至って普通の青年のはずなのよね。正直、そんな彼が条件をクリアできるとは思えないし、そもそも糧(性欲)を得るためだけに近づいただけなのに…。なにか外部の者からの干渉があったとしか……。
まぁ、それはおいおい調べるとしましょう。
今一番問題視するべきものは私のすぐ後ろにいる。
私がテレビを見てる後ろで静かに夕飯を食べている牧野智美という少女だ。
彼女は恩恵保持者だと私は思っている。しかも、かなり上位の。
彼女と契約している悪魔の数がおかしい。その数13体。それに加えて最上位種が一体混ざってるときた。最上種とは悪魔王の幹部クラス。お父様のひとつしたのクラスね…。
幹部クラスは契約をほとんどしない。幹部の仕事が忙しい彼らは戦場であるこの世界には足を踏み入れることはまずないはず。
それなのに、彼女は幹部の一体と契約をしている。相当な遺産を残しているのか、それとも王達が関わっているのか……。
彼女が味方なのか、それとも敵なのか。味方になってくれるのだとしたらかなりありがたいのだけれど…。
どこかで、彼女と話がしたいところね。最上悪魔は私の存在に気がついてるみたいだし。
敵にならなければ良し、味方に誘い込めればなお良し。
「……ごちそうさま」
カチャ
牧野智美が箸をお椀にのせ台所へ食器を運ぶ。
食べ終わったみたいね。
はぁ、本当に怜といると面倒ごとが舞い込んでくるわね……。
「牧野さん。少しいいかしら?」
牧野智美を私の方に呼び、魔法でかいた手紙を彼女の前に出す。
「?これはなに?紙…手紙?私に?」
手紙を見ると、一瞬牧野智美の眼が鋭くなる。
気付かれたか……?
「えぇ、あなたに。私からよ、家に帰ってから読んでちょうだい」
「……わかった。家で読むわ。」
不思議がってはいたが、受け取ってくれた。ここで、読まれて怜の耳にはいれば話がややこしくなる。下手したら敵になるかもしれない。慎重になるにこしたことはない。
「……それでは、私は帰るとするわ。桜さん、夕御飯ありがとうございました。とっても美味しかったです。…それでは」
それだけ言って玄関から牧野智美が、出ていく。
なにごともなければいいのだけどねぇ……。
牧野が帰ってからすぐに桜も帰り、今回の夕食会はお開きとなった。
◇
真夜中の2時半……。私は敵というか、味方というかという感じだが、同種の悪魔の気配を感じて起床し、近くの公園へ探りに向かっていた。
この気配……間違いなく高位のもの。強い…今の私で抑えきれるか?本気を出せば同格にまで近付けるかもしれないが、私の能力ではこの街を消し飛ばしかねない。…クッ。この時間この場所で接触してくるってことは私の特性と能力を知っているのか?
私を知っているものの中でここまでの者は少ない。私と顔見知りかもね。友好的ならいいのだけど。……来る。
「……あんたお嬢か!?」
……キイタコトアルワ~コノコエ
「アルク……あなただったのね。こんな時間に殺気をばらまかないでくれる?」
「あ、いや。お嬢だったとは思わなくてな。…すまんかったな」
後ろになびく二つの黒い角と前に延びる力強い赤い角。長い耳に、真っ赤な髪、長身から他者を見下ろす厄災の大悪魔。
アルク・タルエシエル
悪魔王の10人の幹部。武力では第二位。知力は第九位。
いわゆる脳筋なのだが、その強さは馬鹿げてる。
私のお父様は武力第一位、知力第二位。お父様は悪魔王に次いで強い戦力だ。そして、アルクはそのお父様の一番弟子。
今の私の力では天と地の差がある。それほどなのだ。
「……それで?なぜアルクは私に向けて殺気を送ってきていたのかしら?」
「……相変わらずお嬢は人が悪いなぁ。もうわかってんだろ?俺の契約者に渡した手紙の差出人に向けて送っていただけだ」
やっぱりね…。牧野智美の所有する悪魔は13人。その中で桁違いの力を持った、化け物がいたけどアルクなら納得がいくわね。
「アルク、単刀直入に聞くわ。あなたは私の敵?」
「…お嬢。俺は智美ちゃんの持つ怒りに驚愕した。彼女の持つ怒りは人間が持てる感情の域を越えている。彼女は死んだら確実に魔界にくるだろう。それも化け物クラスとなって」
アルクが真面目な顔をして話をする。
「そんな彼女に俺は見惚れた。彼女が魔界に来たら俺は彼女と旅に出ようと思っている。彼女からの了承も得たし悪魔王さまからも許可を戴いている」
……悪魔王が幹部を実質的に手放す行為をするということは、その旅事態に重要な意味があるということなのかしら?
彼女はそこまでなのか……。
「だから、俺は彼女がこの世界で成し遂げたいと思っていることを手助けしてやりたい。それを邪魔するのなら例えお嬢でも容赦はしない。ここで排除する。」
ここで、アルクを敵にしたら間違いなく怜は殺される。それどころか私だって殺されかねない。
「わかってるわ。あなたと敵対していいことはないしね。怜的には彼女とは仲良くしたいみたいだし。それに、私的にも良好な関係を望んでいるわ」
「……助かる。ここでお嬢とやりあえばこの街は消える。それに、師匠の娘さんに怪我させたら俺が消されるからな」
先程とはうってかわって笑顔で話す彼に私の心は穏やかになる。
久々に死ぬかと思ったわ……。
「んじゃぁ俺は行くわぁ。またなお嬢。次は誕生祭で会おうぜ」
「え、えぇ。誕生祭で会いましょう」
アルクは笑いながら消えていく。
怒りにもっとも厳しいと言われるアルクを手懐ける人間の契約者牧野智美……。
彼女は一体なんなの……?
◇
蝋燭の炎が揺れる音のない部屋に人影が二つ。
一人は大柄な男性でもう一人を鋭い眼光で見つめる。
その視線の先には白髪金眼の少し小柄な男が静かに目を閉じている。
「おい、オリジナル。お前は復讐者に何をさせる気だ?」
大柄な男、崩壊王 深田幹也は白髪金眼の青年にドスの効いた声で訴えかける。
「別になにも?僕は彼の学校と能力、それから彼女について教えただけだけど?」
オリジナルと呼ばれた青年、情報王はそんな威圧的な声をものともせず、質問に答える。
お互いに微動だにせず、口元だけを動かして話をする。
「その話し方を辞めろ。姿ももとに戻せ。俺が聞いているのは、なぜ復讐者を怜に近づかせたかということだ!」
更に怒気を含ませ、崩壊王は声を荒げる。
「はぁ、わかった。これでいいか?それで、復讐者についてだが、お前が望む運命の形に変えるための布石なんだよ」
渋々、といった感じで情報王は姿を金髪隻眼にかえて、体はみるみると白くなりアルビノを思わせる肌へ変わる。身長は少し高くなり、一般的な男性程となった。それに合わせて口調も本来の少し荒目なものに変わる。
「俺自身まだ、はやいとも思ったがこれから先の戦争は荒れる。怜だけでは生き残れない」
情報王はまだ起こっていない未来のことを平然と語る。その口調からは確固たる自信を感じさせられる。
「どういうことだ?今までの道筋からして、本選はまだ先のはずだろ?」
「あぁ、そうだな。実際本選もまだ先だ。だが、今までの物語とは全く違う結末となるのは確実だ。お前も気を付けろよ?怜は勿論のこと復讐者が死ぬのもアウトだ」
今までの雰囲気よりも一層重い空気で二人は話を続ける。
「つまりなんだ?今までの物語とは違う道筋を進むから王でも予想がつかんと。そういうことか?」
「まぁ、そういうことだ。俺は知ることができてもヒントしかだせない。悪いが本選についてはスポンサー枠として参加することになる」
どうしたもんかと腕を組み顔を見合わせる二人に一つの影が近づいてくる。
「それなら、僕が手伝ってやろうか?」
その声に二人の男は意外そうに笑う。
視線の先には、金色の髪に金色の眼、小学生くらいの身長の少年が蝋燭の炎に照らされていた。
なんと、学校で席が隣だった心優しい少年(しかし、変態な予感はあり)とお隣さんだったのだ。
…学校のクラスも席も、この部屋でさえも用意したのは情報王。
絶対に情報王はこの状況へと陥ることを予測していた。分かっていて用意した。
彼はいま腹を抱えて笑っていることだろう。
今はなんとか部屋へ逃げ込んだが、先程は本当にどうなることかと思った。
「ま、牧野さんお隣さんだったんだ……」
「えっえぇ、そのようね…」
大庭怜を見た瞬間に私は目を点にし、口を大きく開けて唖然とした。まさかの光景だったからだ。
対して大庭怜は驚いてはいるようだが、私ほどではないらしく、今は学校の時と同じような雰囲気だ。
「牧野さんはいつからここに住んでるの?」
「わ、私は今日初めてここに来たんだ。今日からここで世話になる。」
「へぇ、あ、そうだ。今日の夜俺の部屋で桜って子と夕飯食べるんだけど一緒にどう?桜にも紹介したいし」
「え、あ、あぁ。わ、わかった。お邪魔してもいいのなら誘いに乗らせてもらうわ。」
「うん。じゃぁこの後6時くらいに来てね。それじゃ俺はこれで」
「え、えぇ」
私はやつが自分の部屋へ入るまで動けず、目で追い続けていた。
ドアを開けてなかに入ってドアを閉めるまで、私は半分意識が飛んでいた。
本当に恥ずかしい出来事であった。
目的のため以外に男性と話す機会なんて全くなかったので物凄く緊張してしまった。
しかし、6時からか……。
いまの時刻は5時40分……。後20分ある。
服はどうしようか、さすがに制服では不味いだろうし。
スーツにしようか?それともワンピースの様な明るめな服装の方がいいのだろうか…。あ、でもこの部屋に私の服があるのか!?タ、タンス、タンスは!!
ドタドタと部屋のなかを探し回り、ようやく見つけたタンス。
しかし、思い出してほしい。この部屋を提供したのは誰だったかを。中から顔を出したのは…
……パーティ衣装…ダンディ坂○…。高そうなドレスに露出度の高い水着……ろくなものがない…。
しかし、ふとタンスの奥にひとつの紙切れを見つける。
~牧野智美さんへ
本当はこの衣装だけにしようと思ったけど、さすがにかわいそうだったので冷蔵庫の上の袋に一般的な女性服を詰めておいたよ。
別にパーティ衣装とかも着ていってもいいよ?笑
ps.怜くんは飾りすぎない女性の方が好みだってさ
あなたの天使情報王より~
無言で紙切れを破り捨てる。そのまま、冷蔵庫のうえの袋から服を適当にとって着る。
どうでもいい内容だった。うん。
飾りすぎない女性ね…うん。気にしない気にしない。
着た服を鏡の前で確かめる。
白いシャツに黒のスキニー。シンプルではあるが大人の雰囲気を醸し出している。
もうそろそろ時間だ、はやめに準備を終わらせて行こう。
申し訳程度のメイクを施して、鼻唄を歌いながら私は準備を進める。
少しばかり、楽しみだった。たまにはこういうのも悪くないのかもしれない。
◇
牧野と部屋の前でばったりと会ってから1時間が経った今、牧野は俺を睨んでいる。桜は、ニコニコと微笑んでいるが目が笑っていない。リリスは、我関せずとテレビを見ている。
…どうしてこうなった?
時は遡り1時間前。
牧野を今夜の夕食に招待をして自分の部屋に戻った俺は、部屋を片付けていた。
特に酷く散らかっている訳ではないが、女の子が自分の部屋に来ると思うと、ソワソワしてしまう思春期なお年頃なのだ。
「あ~楽しみだな~、桜のご飯。牧野さんも来るし、今日は楽しい日になりそうだ」
「大丈夫よ。女が来たとしてもあんたが期待してる事はないわ」
「うわぁぁぁぁ!」
さっきまではいなかったはずのリリスがいつの間にか俺の隣にいた。
「別にそんなに驚く事もないじゃない。いつもの事なんだから」
いつもしている自覚があるのなら止めてくれないかな!?心臓に悪くてしょうがないんだけど!!
「まぁ、いい…。今日は変な事すんなよ?学校に来てなかったからわかんないと思うけど牧野さんっていう転校生の子が来るから、勘違いされるような事は本当にな。」
リリスのせいであらぬ誤解をされまくっている俺は、本当に心配でしょうがない。
「安心しなさい。今日の私はあんたを虐める気はないから」
こんなにも安心しない言葉は他にあるだろうか?散々人を陥れといてよく言えたものだ…。
俺は非難がましい目をリリスに向けたが彼女は完全に無視しているため、諦めて部屋の掃除に戻ろうとしたら部屋の呼び鈴が鳴った。
「お、桜が来たのかな?」
俺は一旦、掃除を中断して扉開けるとそこには予想通り桜がいた。
「こ、こんばんは怜君。」
少し恥ずかしそうにしながら桜が挨拶をしてきた。薄いピンク色のワンピースを着た桜は、その仕草も合わせて物凄く似合っていた。てか、めっちゃ可愛い。。。
「こんばんわ、桜。散らかってるけど、どうぞ中に入ってよ」
「は、はい!」
桜は毎回、部屋に入るとき緊張した感じだ。そんな仕草も小動物を見ている時のように微笑ましく思えてしまう。
あぁ、桜は本当に天使みたいだよなぁ。
「そんな性犯罪者みたいなニヤけ顔してたら警察に捕まるわよ」
リリスがジト目を向けながら俺にそう言った。
俺ってそんなニヤけてたかな?仮にニヤけてたとしても警察に捕まる程やばい顔してんの?気をつけよ…。
「あ、やっぱりリリスちゃんもいたんだね…」
微妙に残念そうにする桜。
桜、リリスの事苦手なのかな?
そんな桜の様子を見てリリスは口の端を釣り上げるように笑った。
「あら、私がお邪魔なら今すぐに出掛けるけれど?」
「い、いや、そういう事じゃなくてね!えぇと、いつも2人分の食材だったから足りるかなって!あははは」
早口気味にそう答える桜。
やっぱり苦手なんだな。わかるぜその気持ち。いやらしい性格してるもんなあいつ。
「いったぁ!!!」
リリスが思いっきりおれの足を桜からは見えない絶妙な角度から蹴ってきた。
てか、俺、口にしてないじゃん!!
俺が痛みに震えている間にリリスは桜の元に行き小声で話しかけ始めた。何を話しているかは聞き取れないが桜は赤面して、リリスはニヤニヤしながら話している。
ど、どんな話をしてるんだ…?
物凄く興味を引かれ耳をすましていると再び呼び鈴が鳴った。
「あれ?他にも友達を誘ったの?」
「あぁ、今日転校してきた牧野さんが隣の部屋に引っ越してきてたらしくてな。偶々家の前で会ったから誘ったんだよ」
「そ、そうなんだ…」
誘った経緯を簡単に説明すると桜は先ほど以上に表情を暗くし、トボトボとした足取りで台所に向かって行った。
桜ってそんなに人見知りする性格だったっけ?
そう疑問に思いつつ扉を開けると案の定、牧野がいた。飾りすぎずシンプルな服装であったが、逆に牧野の落ち着いた雰囲気が出ていて物凄く似合っていた。
「こんばんは牧野さん。」
「こ、こんばんは…」
まだ少し緊張しているのだろうか。牧野は俯きながら小声でそう返した。
「ほら上がって上がって」
「お、お邪魔します…」
部屋に招き入れると牧野はある一点に視線を向けたまま固まってしまった。その視線の先にはお察しの通りリリス。そして、桜は今、台所にいて見えない。
…てか、なんでリリスはそんなに服が着崩れてるの!?やめろ!!顔を赤くするな!!
「えっとぉぉ、そのあの子はねぇぇ?」
必死に言い訳をしようとした所で牧野は恐る恐るといった感じて口を開いた。
「やっぱり性犯罪者だった…!」
「待て待て待て!それ誤解だから!弁解させて!待って!帰らないで!?」
そのまま周り右して帰ろうとした牧野の腕を掴み立ち止めた。
「は、離しなさい!性癖が移る!」
「何その嫌がる理由!?めちゃくちゃ傷つく!!」
なんとかなだめて部屋に入ってもらうのに5分ぐらいはかかった。その間、リリスはずっと笑い転げていた。殺意しか湧かなかった。。。
説得が終わり席に着いてもらうと丁度桜が前菜となる野菜のドレッシング和えを運んできた。見ただけで分かるほどの瑞々しさと桜お手製のドレッシングが食欲をそそる。
「ありがとうさく、ら…?」
振り返りお礼を言おうとすると目が完全に笑っていない桜が俺の方を向きニコニコしていた。心なしか背後に般若のような顔すら見える気がする。
さ、桜が怒ってる!?なんで怒ってんだろう!?てか、そのスタ◯ドはどう出してるの!?
1人戦慄を覚える俺。その後も色々とテーブルに料理を運び終えるとさっきの表情のまま2人は目線を俺に向けてきた。
…えっと、どうしてこうなったのだろう?
率直にそう感じる俺であった。
◇
悪魔で超絶可愛いサキュバスのリリスちゃんこと私は先日学校に編入した。他の恩恵保持者から契約者の大庭怜を守るために。その為にちょちょいと魔法で認識力を弄って私を見ても何とも思わせなくしたし、席も怜が常に視野に入る後ろにした。
認識力の改善って意外と面倒で疲れるんだよね…。まぁ、それは置いといて。
肝心の怜は一応恩恵を得たみたいだけど、まだ意図して発動し、思い通りに操作することはできてないみたいね。魔界で修行しても分かったのは発動条件だけ。条件の要は『興奮』。怒り、喜びなど興奮に結び付きそうなものが多く当てはまったけど、使い勝手が難しい力ね。
恩恵を手にいれるにはいくつか条件があるのだけど、契約者の大庭怜は至って普通の青年のはずなのよね。正直、そんな彼が条件をクリアできるとは思えないし、そもそも糧(性欲)を得るためだけに近づいただけなのに…。なにか外部の者からの干渉があったとしか……。
まぁ、それはおいおい調べるとしましょう。
今一番問題視するべきものは私のすぐ後ろにいる。
私がテレビを見てる後ろで静かに夕飯を食べている牧野智美という少女だ。
彼女は恩恵保持者だと私は思っている。しかも、かなり上位の。
彼女と契約している悪魔の数がおかしい。その数13体。それに加えて最上位種が一体混ざってるときた。最上種とは悪魔王の幹部クラス。お父様のひとつしたのクラスね…。
幹部クラスは契約をほとんどしない。幹部の仕事が忙しい彼らは戦場であるこの世界には足を踏み入れることはまずないはず。
それなのに、彼女は幹部の一体と契約をしている。相当な遺産を残しているのか、それとも王達が関わっているのか……。
彼女が味方なのか、それとも敵なのか。味方になってくれるのだとしたらかなりありがたいのだけれど…。
どこかで、彼女と話がしたいところね。最上悪魔は私の存在に気がついてるみたいだし。
敵にならなければ良し、味方に誘い込めればなお良し。
「……ごちそうさま」
カチャ
牧野智美が箸をお椀にのせ台所へ食器を運ぶ。
食べ終わったみたいね。
はぁ、本当に怜といると面倒ごとが舞い込んでくるわね……。
「牧野さん。少しいいかしら?」
牧野智美を私の方に呼び、魔法でかいた手紙を彼女の前に出す。
「?これはなに?紙…手紙?私に?」
手紙を見ると、一瞬牧野智美の眼が鋭くなる。
気付かれたか……?
「えぇ、あなたに。私からよ、家に帰ってから読んでちょうだい」
「……わかった。家で読むわ。」
不思議がってはいたが、受け取ってくれた。ここで、読まれて怜の耳にはいれば話がややこしくなる。下手したら敵になるかもしれない。慎重になるにこしたことはない。
「……それでは、私は帰るとするわ。桜さん、夕御飯ありがとうございました。とっても美味しかったです。…それでは」
それだけ言って玄関から牧野智美が、出ていく。
なにごともなければいいのだけどねぇ……。
牧野が帰ってからすぐに桜も帰り、今回の夕食会はお開きとなった。
◇
真夜中の2時半……。私は敵というか、味方というかという感じだが、同種の悪魔の気配を感じて起床し、近くの公園へ探りに向かっていた。
この気配……間違いなく高位のもの。強い…今の私で抑えきれるか?本気を出せば同格にまで近付けるかもしれないが、私の能力ではこの街を消し飛ばしかねない。…クッ。この時間この場所で接触してくるってことは私の特性と能力を知っているのか?
私を知っているものの中でここまでの者は少ない。私と顔見知りかもね。友好的ならいいのだけど。……来る。
「……あんたお嬢か!?」
……キイタコトアルワ~コノコエ
「アルク……あなただったのね。こんな時間に殺気をばらまかないでくれる?」
「あ、いや。お嬢だったとは思わなくてな。…すまんかったな」
後ろになびく二つの黒い角と前に延びる力強い赤い角。長い耳に、真っ赤な髪、長身から他者を見下ろす厄災の大悪魔。
アルク・タルエシエル
悪魔王の10人の幹部。武力では第二位。知力は第九位。
いわゆる脳筋なのだが、その強さは馬鹿げてる。
私のお父様は武力第一位、知力第二位。お父様は悪魔王に次いで強い戦力だ。そして、アルクはそのお父様の一番弟子。
今の私の力では天と地の差がある。それほどなのだ。
「……それで?なぜアルクは私に向けて殺気を送ってきていたのかしら?」
「……相変わらずお嬢は人が悪いなぁ。もうわかってんだろ?俺の契約者に渡した手紙の差出人に向けて送っていただけだ」
やっぱりね…。牧野智美の所有する悪魔は13人。その中で桁違いの力を持った、化け物がいたけどアルクなら納得がいくわね。
「アルク、単刀直入に聞くわ。あなたは私の敵?」
「…お嬢。俺は智美ちゃんの持つ怒りに驚愕した。彼女の持つ怒りは人間が持てる感情の域を越えている。彼女は死んだら確実に魔界にくるだろう。それも化け物クラスとなって」
アルクが真面目な顔をして話をする。
「そんな彼女に俺は見惚れた。彼女が魔界に来たら俺は彼女と旅に出ようと思っている。彼女からの了承も得たし悪魔王さまからも許可を戴いている」
……悪魔王が幹部を実質的に手放す行為をするということは、その旅事態に重要な意味があるということなのかしら?
彼女はそこまでなのか……。
「だから、俺は彼女がこの世界で成し遂げたいと思っていることを手助けしてやりたい。それを邪魔するのなら例えお嬢でも容赦はしない。ここで排除する。」
ここで、アルクを敵にしたら間違いなく怜は殺される。それどころか私だって殺されかねない。
「わかってるわ。あなたと敵対していいことはないしね。怜的には彼女とは仲良くしたいみたいだし。それに、私的にも良好な関係を望んでいるわ」
「……助かる。ここでお嬢とやりあえばこの街は消える。それに、師匠の娘さんに怪我させたら俺が消されるからな」
先程とはうってかわって笑顔で話す彼に私の心は穏やかになる。
久々に死ぬかと思ったわ……。
「んじゃぁ俺は行くわぁ。またなお嬢。次は誕生祭で会おうぜ」
「え、えぇ。誕生祭で会いましょう」
アルクは笑いながら消えていく。
怒りにもっとも厳しいと言われるアルクを手懐ける人間の契約者牧野智美……。
彼女は一体なんなの……?
◇
蝋燭の炎が揺れる音のない部屋に人影が二つ。
一人は大柄な男性でもう一人を鋭い眼光で見つめる。
その視線の先には白髪金眼の少し小柄な男が静かに目を閉じている。
「おい、オリジナル。お前は復讐者に何をさせる気だ?」
大柄な男、崩壊王 深田幹也は白髪金眼の青年にドスの効いた声で訴えかける。
「別になにも?僕は彼の学校と能力、それから彼女について教えただけだけど?」
オリジナルと呼ばれた青年、情報王はそんな威圧的な声をものともせず、質問に答える。
お互いに微動だにせず、口元だけを動かして話をする。
「その話し方を辞めろ。姿ももとに戻せ。俺が聞いているのは、なぜ復讐者を怜に近づかせたかということだ!」
更に怒気を含ませ、崩壊王は声を荒げる。
「はぁ、わかった。これでいいか?それで、復讐者についてだが、お前が望む運命の形に変えるための布石なんだよ」
渋々、といった感じで情報王は姿を金髪隻眼にかえて、体はみるみると白くなりアルビノを思わせる肌へ変わる。身長は少し高くなり、一般的な男性程となった。それに合わせて口調も本来の少し荒目なものに変わる。
「俺自身まだ、はやいとも思ったがこれから先の戦争は荒れる。怜だけでは生き残れない」
情報王はまだ起こっていない未来のことを平然と語る。その口調からは確固たる自信を感じさせられる。
「どういうことだ?今までの道筋からして、本選はまだ先のはずだろ?」
「あぁ、そうだな。実際本選もまだ先だ。だが、今までの物語とは全く違う結末となるのは確実だ。お前も気を付けろよ?怜は勿論のこと復讐者が死ぬのもアウトだ」
今までの雰囲気よりも一層重い空気で二人は話を続ける。
「つまりなんだ?今までの物語とは違う道筋を進むから王でも予想がつかんと。そういうことか?」
「まぁ、そういうことだ。俺は知ることができてもヒントしかだせない。悪いが本選についてはスポンサー枠として参加することになる」
どうしたもんかと腕を組み顔を見合わせる二人に一つの影が近づいてくる。
「それなら、僕が手伝ってやろうか?」
その声に二人の男は意外そうに笑う。
視線の先には、金色の髪に金色の眼、小学生くらいの身長の少年が蝋燭の炎に照らされていた。
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