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28話 傍観者
しおりを挟む空が光を取り戻し始める。段々と闇が晴れ、低い位置だがしっかりと輝く太陽は見たものを虜にする程美しい。
しかし、美しい光には見向きもせず世界を見下ろす何かがふたつあった。
それらは悪魔のようにも、神のようにも見えるが、確かに人の形をとっている。それらは不敵な笑みを浮かべて地上から遥か離れた地点で世界を見下ろす。
手に持つコーヒーをチビチビと飲む青年は情報王と呼ばれる本物の全知を持つ化物。
紅茶を一気に飲み干したもうひとりの少年は経済王。世界に流れる金属、宝石、紙幣も株も大本を辿れば経済王に結びつくと言われ、世界の経済における支配権をほぼ全て握っているとされる。
「くくく。いや、なんというか面白くなってきたじゃないか」
「なんにも面白かねーよ。むしろ悪い方向に向かっている気がする。今回は初っ端を変えたせいで、物語がお前らの知らないものへとかわっていやがる。苦労するのはお前らだぞ?」
経済王は見た目に反さず楽しそうに笑う。対する情報王は呆れてヤレヤレと頭を抑えている。経済王は金と娯楽以外には興味がなく、それらのためなら苦労を厭わないらしい。
「いやぁ、しかし、まさかここで彼らが出会うとわねぇ。結末を知ってる君からするとそれほどでも無いかもしれないけど、僕らからするとこの未知な展開は本当に面白いのさ」
「あぁそうかよ。楽しむのはいいが仕事はしろよ?やつを死なせるわけには行かない。なにより幹也がキレる。オリジンが来る前に世界崩壊が始まるぞ」
「そのへんは分かってるさ。オリジン自体は僕らからすれば大した問題じゃない。けど、僕らでは絶対に倒せない」
「冬馬だけでは足りない。やつを育てるしかない」
「ん?待ってよ。ならなんで今回は悪魔側につけたのさ。育てるだけなら僕らがやればいいだろう?」
「言ったろ。違う展開を見せなければ何も変わらん。それに、いざとなったら幹也をやつにつける。問題はねぇよ」
いろいろ考えてるんだ~と経済王は軽く流し、空になったコップを海に捨てる。
聞いていないことに対して情報王は、怒ることもなく、経済王がこのことに関してあまり興味がないことを知っている為、感情的にもならずにコーヒーを飲み始める。
「俺はもう行くぞ。暇じゃないんでね」
「そう?じゃ、僕も仕事に戻ろうかな。幹也のサポートもしなきゃだし」
情報王はコーヒーを一気に飲み同じく海にコップを捨てる。環境保護団体が見てたら叫びそうな状況だが、ここは魔界。そんなものは存在しないのである。
二人は別れの挨拶をし、一人は空気に溶け、もう一人はバラバラになって消えた。その場には静寂だけが残り続けた。
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