上手な異世界での逃げ方~勇者の私は普通に生活するんで皆さん頑張ってください~

亜久里遊馬

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第18話:攻撃魔法は最大の逃げる手段です(1)

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 白く広い部屋。こちらの世界で言うホワイトボードが見え、試験ではないはずなのに神官が周囲を歩き回っている。嫌な思い出だけど、高校の入学試験が頭をよぎった。

 一応、神官が確認しているのには意味があるようだった転職したとしても安全な基本魔法しか使えないけど、それ以上の魔法となると危険が伴う。だから、適切ではない魔法を選ぼうとすると、それとなく注意してくれる、というわけだ。

 もちろん、魔法の習い方はアンケートだよ! 思っていたとおりだね! 少し夢が壊されたように感じてため息をつく。近くにいた神官が尋ねてきた。


「どうしたのだね? 自分に合った魔法が見つからないのかい?」

「い、いえ……あ、そうですね。やっぱりそうです」

 確かに私の賢さの値では、覚えられる魔法は限られているはずだった。ただ、それを堂々と言うのも恥ずかしい。0点のテストを皆に見せるようなものだし。

「よくわからないが、当然、自分の性格に合わせて魔法を選ぶとより強く、暴発のない魔法となる。よく考えておくれ」

 ふーむ。自分の性格、ね。もう一度アンケートに目を通してみる。

①あなたの賢さをかいてください:234
②それはいまいちな値ですね。では次から好きな属性を選んでください

 このアンケート、リアルタイムで反応してくる。人間的な温かみがないぶん、かなりムカつく。ビリッっと真ん中から破いてやろうか。

②補足:この紙は破れません。あしからず。

 ぐっ。しょうがない。おとなしく選んでいこう。属性は……。

②属性
・木
・火(炎)
・土
・金(金属全般)
・水(氷)
・聖
・邪(暗黒騎士のみ選択可能)

 この中で、火と聖は2人に任せていいかな。いや、勇者って普通『聖』だよね。他のあまり選ばないよね。

 とは言え……最初から被ってしまうのも不便な気がする。どうせ勇者なら何でも覚えられるんだから、後から他のは覚えよう。

 じゃあ、今回選ぶのは……金、かな? 木や土、水は自分で言うのもなんだけど、合っていない気がする。剣を使うことになったら便利そうだし。もしかしたら地中の金を掘ったりできるかもしれないし。

 あと……この鎧の呪い、解けるかもしれない。

 用紙に『金』と書き込む。欲深いひとですね、と反応がある。ぬぬ。当たっているだけに反論できない。

③金の魔法の魔法の中から、あなたが使えるのは次のものです
・金属強化(MP:10)
・金属生成(MP:生成するものによる)
・鋼落とし(MP:20)

 少なっ!! ただ、膨大なMPを使うという意味では金属生成が合っていると思う。ただ……それぞれ、具体的に何をするものなのかわからない。

 と、親切なことに説明がでてきた。このアンケート用紙、人の心を読むのかな?


・金属強化
剣や斧、槍といった武器の強化に役立ちます
ただし強化は賢さによって前後します

・金属生成
とりあえず大きな金属を作り出します
何に使うかは考えましょう

・鋼落とし
大量の鋼を頭上から落とします
STRによって落ちてくる鋼の量や強度が変わります


 金属強化は問題外。賢さ依存だもんね。
 金属生成は1番使えそうだったけど、説明が適当すぎる!
 鋼落とし! これはいいね!! まったく勇者っぽくないけど、逃げるのに絶対使える


 とりあえず全部覚えておこう。それぞれの欄にチェックをつけると、用紙下に金額が表示された。……こっちは金とるんだ。


 アンケート用紙は回収されて代わりに小さな光る玉が配られた。触ってみると、ふわっと空気が自分を包み込むこむ。そして……気がつくと、頭の中に魔法の使い方がしっかりと刻まれていた。

 おおー! 金とるだけあってこっちはすごいなー。光る玉もそれっぽいし。

 少し実験しようかと思ったけど、結界がはられているみたいで魔法が使えない。


「この結界って魔王と似たようなやつなのかなー。それだったら魔王から逃げるのに、魔法全然使えないんじゃ……」


 ま、まあ。ちょっと足止めできればぐらいに思っておこう。

 皆が魔法を覚え終わると、起立した受験者たちが神官に礼をして帰っていく。懐かしい光景だなあー。


 こうして、私は逃げるための攻撃魔法を習得した!
 正直使えるかわからないけど、魔法はミラが本職だ。任せて安心!
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