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1章:俺は魔王見習いのようです
第5話:勇者転生を選ばなくてホッとする
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『勇者』と呼ばれた少女は倒れたまま、担架で運ばれていった。
うん、もうね。
何もかもがわからないよね。
俺のスキル含めて。
とにかく、この世界の情報を集めないと。
『勇者』がここにいることも……絶対ウソだろうけど。
俺はもう一度ランの手を取って食堂へと戻った。
魔法を使って疲れたと言ったら、とても心配してくれた。
本当にごめんね。疲れてはいないんだ。
だって、こんにゃく出しただけだから。
椅子に座って、ラジャさんに運んできてもらった水を飲みながら尋ねる。
こんにゃく出した後の水はうめーな。
涙が出てきそうだよ。
「ねえ、ラン。とりあえず、さっきのことはおいといて。聞きたいことあるんだよ」
「何ですか? 勇者を倒したリュウジさんの知らないことを、私が知っているとは思えませんが……」
止めてくれ!
過剰評価が心に痛い!!
「俺、ちょっと山にこもってたからよくわからないんだ」
笑顔でごまかす。
「今ってどこもモンスターと人間ってこんな感じだったかな」
「そうですねー。モンスターと人間は昔は戦ってたんです。でも、魔王様が勇者にやられちゃって」
「すとっぷ。すとーっぷ。魔王様、昨日いたよね?」
「ええ。やられたように見えたというのが正確ですね。なので人間がモンスターを怖がらなくなったっていうか……ちょっと人間の方が偉そうにしてますね。あ、ここは違いますよ」
ふむふむ。理屈はわかるな。
大将首を取られたら、負けたようなもんだしな。
「それで魔王様は、ちょっと田舎に引っ越してきて新しい魔王城を建てることにしたんです。ただ……お金がなくて……。ドワーフなどの工事が得意な種族に発注できなかったんですね」
魔王城ってお金払って建ててたのか……。
世知辛い話だ。
ただ……疑問点がけっこう残る。主なものでも3つ。
①何故魔王と人間が一緒に働いているのか
②魔王城を壊した『勇者?』はどうしたのか
③魔王が生きてるってバレたら大変じゃない? というか『勇者?』が来ている時点でバレてるでしょ
俺の矢継ぎ早な質問にランは丁寧に答えてくれた。
要約するとこうだ。
魔王は一応魔王じゃなくて、魔王の役をしているモンスターってことになっている。
まあ、これは、酒の飲み方とか聞いてたら納得できるな。
皆魔王がいないって思ってて、さらに田舎の人たちが思いの外モンスターに友好的だったので一緒に働いている。
もちろんアルバイト代も出てる。これも……いいか。
問題は勇者のとこだな。
勇者は魔王を一回倒しているわけだ。
なのに、なんでまた戦ってるんだ? と聞いたら、全部はランもわからないみたいで。
「勇者って魔王がいなくちゃ必要ないじゃないですか」
「んー、まあそうかな」
「それで、勇者が帰ってきた時に英雄になられたら困るって、色んな国の人たちが勇者を追い出しちゃったんですよ」
「ま、まじで!?」
あ、あぶねー!
おれ勇者がいいと思って選ぶとこだったよ。
たとえば俺が勇者になって魔王を倒したら……。
まず金を要求するよな。だって頑張ったんだもの。
次に女の子をいっぱい連れてきてって言うよな。だって頑張ったし。
そして最後に……お姫様と結婚するかあ。ゲームじゃそうなってたよな。
あー、それじゃあヤバイかもなあ。
国の体制変わるかもしれないしな。
それに勇者が1つの国を治めたら、絶対的な発言権を持つだろうから、他の国もいい顔はしない。
……勇者にならなくってよかった……。
「で、もしかして……なんだけど、その追い出された勇者も偶然田舎に来て出会っちゃった? 再バトルになっちゃった?」
「そういうことですね。本当に偶然……なのか、噂を聞いて馬鹿らしいと思いながらも確かめないと気がすまなかったのか。詳しいことはわからないんですけどね」
「でも…‥実際に戦って、あまりの力に城が耐えきれなかった、と」
「はい。私は勇者、ちょっと嫌いです。けっこう頑張ってお城建てたんですよ」
頬を膨らませている。
さっきも言ってたな。
それは子どもがすねたようでとても可愛いのだけど……一応、1,000歳近いぐらいの年齢なんだよね。
それにしても、ちょっと嫌いで済むのがすごいな。
ラン……というか、もしかしたらここのモンスターは皆、懐が深すぎるやつばっかりなのかもしれない。
だって、魔王があれだしなあ。
「ところで、嫌いってさ。なんか身近に感じたんだけどさ……やっぱり、その‥…」
「あ、今魔王城建てるために働いているんですよ。一応、どっちも王様とかに恨みがあったわけじゃないですか。まだ仲はよくないですけど、妥協したみたいです」
俺は思わず水を吹き出しそうになった。
変な咳が出てラジャがこちらを見ている。
「大丈夫ですよ」と応えておく。震えながら。
うわー、うっわー。
何だよそれ。魔王城建設してる勇者なんて言葉、初めて聞いたよ。
ま、確かに破壊したのは勇者なんだけど、それでもなあ。
「ちなみに、勇者が働いているのは……」
「先ほどリュウジさんも見たと思いますけど……今はメイドとして皆さんのベッドメイキングなんかしてますね。私の仕事と似てます。どうも勇者って力が強すぎるんでコントロールするためみたいですよ」
ラジャさんにもう一杯水を頼む。
飲まなきゃやってられない!
未成年だから酒は飲めないけど、水で喉を潤してないと、喋り過ぎて乾いてしまいそうだ。
「ゆ、勇者ってさ。女の人なの?」
メイド服着ていて、美少年だったら……俺は嫌だ!
好きな人もいるだろうから全ては否定しないけど。
「ええ。一応! ですけどね」
本当に彼女のこと嫌いみたいだ。
ただ、勇者だからじゃなくて、単純に女性として嫌い。
のような感じを受ける。
それにしても、メイドねえ。
女勇者には驚かない。
だって、ゲームにもいたからな。
でも、メイドでベッドメイキングってなあ。
もちろん立派な仕事だけど、勇者と離れすぎてる。
間違いなく!
まだ剣を振るって残った城の破片を吹き飛ばしている方がいい。
……いや、バールは振るっていたか。
「本当はむいてないんですよ。さっきみたいに部屋の人と喧嘩しちゃうし」
喧嘩、ねえ。そんなレベルじゃなかったけどな。
「全部、魔王様の命令ですからね。仕方ないです」
残念そうに、髪をくるくるといじりながら言う。
やっぱりあいつかー!!
規格外すぎるにも程があるだろ!
それに部下たちも少しは疑問を持てよ!
俺は部外者だけど疑問だらけだぞ!
うん、もうね。
何もかもがわからないよね。
俺のスキル含めて。
とにかく、この世界の情報を集めないと。
『勇者』がここにいることも……絶対ウソだろうけど。
俺はもう一度ランの手を取って食堂へと戻った。
魔法を使って疲れたと言ったら、とても心配してくれた。
本当にごめんね。疲れてはいないんだ。
だって、こんにゃく出しただけだから。
椅子に座って、ラジャさんに運んできてもらった水を飲みながら尋ねる。
こんにゃく出した後の水はうめーな。
涙が出てきそうだよ。
「ねえ、ラン。とりあえず、さっきのことはおいといて。聞きたいことあるんだよ」
「何ですか? 勇者を倒したリュウジさんの知らないことを、私が知っているとは思えませんが……」
止めてくれ!
過剰評価が心に痛い!!
「俺、ちょっと山にこもってたからよくわからないんだ」
笑顔でごまかす。
「今ってどこもモンスターと人間ってこんな感じだったかな」
「そうですねー。モンスターと人間は昔は戦ってたんです。でも、魔王様が勇者にやられちゃって」
「すとっぷ。すとーっぷ。魔王様、昨日いたよね?」
「ええ。やられたように見えたというのが正確ですね。なので人間がモンスターを怖がらなくなったっていうか……ちょっと人間の方が偉そうにしてますね。あ、ここは違いますよ」
ふむふむ。理屈はわかるな。
大将首を取られたら、負けたようなもんだしな。
「それで魔王様は、ちょっと田舎に引っ越してきて新しい魔王城を建てることにしたんです。ただ……お金がなくて……。ドワーフなどの工事が得意な種族に発注できなかったんですね」
魔王城ってお金払って建ててたのか……。
世知辛い話だ。
ただ……疑問点がけっこう残る。主なものでも3つ。
①何故魔王と人間が一緒に働いているのか
②魔王城を壊した『勇者?』はどうしたのか
③魔王が生きてるってバレたら大変じゃない? というか『勇者?』が来ている時点でバレてるでしょ
俺の矢継ぎ早な質問にランは丁寧に答えてくれた。
要約するとこうだ。
魔王は一応魔王じゃなくて、魔王の役をしているモンスターってことになっている。
まあ、これは、酒の飲み方とか聞いてたら納得できるな。
皆魔王がいないって思ってて、さらに田舎の人たちが思いの外モンスターに友好的だったので一緒に働いている。
もちろんアルバイト代も出てる。これも……いいか。
問題は勇者のとこだな。
勇者は魔王を一回倒しているわけだ。
なのに、なんでまた戦ってるんだ? と聞いたら、全部はランもわからないみたいで。
「勇者って魔王がいなくちゃ必要ないじゃないですか」
「んー、まあそうかな」
「それで、勇者が帰ってきた時に英雄になられたら困るって、色んな国の人たちが勇者を追い出しちゃったんですよ」
「ま、まじで!?」
あ、あぶねー!
おれ勇者がいいと思って選ぶとこだったよ。
たとえば俺が勇者になって魔王を倒したら……。
まず金を要求するよな。だって頑張ったんだもの。
次に女の子をいっぱい連れてきてって言うよな。だって頑張ったし。
そして最後に……お姫様と結婚するかあ。ゲームじゃそうなってたよな。
あー、それじゃあヤバイかもなあ。
国の体制変わるかもしれないしな。
それに勇者が1つの国を治めたら、絶対的な発言権を持つだろうから、他の国もいい顔はしない。
……勇者にならなくってよかった……。
「で、もしかして……なんだけど、その追い出された勇者も偶然田舎に来て出会っちゃった? 再バトルになっちゃった?」
「そういうことですね。本当に偶然……なのか、噂を聞いて馬鹿らしいと思いながらも確かめないと気がすまなかったのか。詳しいことはわからないんですけどね」
「でも…‥実際に戦って、あまりの力に城が耐えきれなかった、と」
「はい。私は勇者、ちょっと嫌いです。けっこう頑張ってお城建てたんですよ」
頬を膨らませている。
さっきも言ってたな。
それは子どもがすねたようでとても可愛いのだけど……一応、1,000歳近いぐらいの年齢なんだよね。
それにしても、ちょっと嫌いで済むのがすごいな。
ラン……というか、もしかしたらここのモンスターは皆、懐が深すぎるやつばっかりなのかもしれない。
だって、魔王があれだしなあ。
「ところで、嫌いってさ。なんか身近に感じたんだけどさ……やっぱり、その‥…」
「あ、今魔王城建てるために働いているんですよ。一応、どっちも王様とかに恨みがあったわけじゃないですか。まだ仲はよくないですけど、妥協したみたいです」
俺は思わず水を吹き出しそうになった。
変な咳が出てラジャがこちらを見ている。
「大丈夫ですよ」と応えておく。震えながら。
うわー、うっわー。
何だよそれ。魔王城建設してる勇者なんて言葉、初めて聞いたよ。
ま、確かに破壊したのは勇者なんだけど、それでもなあ。
「ちなみに、勇者が働いているのは……」
「先ほどリュウジさんも見たと思いますけど……今はメイドとして皆さんのベッドメイキングなんかしてますね。私の仕事と似てます。どうも勇者って力が強すぎるんでコントロールするためみたいですよ」
ラジャさんにもう一杯水を頼む。
飲まなきゃやってられない!
未成年だから酒は飲めないけど、水で喉を潤してないと、喋り過ぎて乾いてしまいそうだ。
「ゆ、勇者ってさ。女の人なの?」
メイド服着ていて、美少年だったら……俺は嫌だ!
好きな人もいるだろうから全ては否定しないけど。
「ええ。一応! ですけどね」
本当に彼女のこと嫌いみたいだ。
ただ、勇者だからじゃなくて、単純に女性として嫌い。
のような感じを受ける。
それにしても、メイドねえ。
女勇者には驚かない。
だって、ゲームにもいたからな。
でも、メイドでベッドメイキングってなあ。
もちろん立派な仕事だけど、勇者と離れすぎてる。
間違いなく!
まだ剣を振るって残った城の破片を吹き飛ばしている方がいい。
……いや、バールは振るっていたか。
「本当はむいてないんですよ。さっきみたいに部屋の人と喧嘩しちゃうし」
喧嘩、ねえ。そんなレベルじゃなかったけどな。
「全部、魔王様の命令ですからね。仕方ないです」
残念そうに、髪をくるくるといじりながら言う。
やっぱりあいつかー!!
規格外すぎるにも程があるだろ!
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