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10月
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しおりを挟むこの恋愛への興味のなさがゲーム補正のせいかもしれない。さっき初めて考えて怖くなった。
会長や吉良が邪魔しても、自分から積極的に行動して女の子に会いに行けば俺はその子を当然のように好きになるかもしれない。
直接会って遠距離が面倒だとか友情エンドでいいやとか考えが覆るほど、恋になっていって…。
でも、それは本当に自分の気持ちなのか?女の子の気持ちすら縛って?
それはただの洗脳じゃないか!?
「だから、お前や会長は凄いと思う。なんで俺?がいいのかは別にして」
「凪沙だから好きなんだ」
「お、吹っ切れたか?」
「うるさいっ、いいだろ俺はお前が好きなんだよ」
「うん。その気持ちは凄いと思うし、俺には羨ましいよ」
自分で好きと言葉にする度頬を赤らめて。見ているこっちがむず痒くなりそうで顔が緩む。
その好意はゲームにとってイレギュラーだけど、本物なんだなぁて信じられるよ。
「今の俺は幼馴染みとしてのお前や奏美は好きなのは断言出来る」
「今のオレにはそれで充分だ」
「ありがとな。だからこれから時間は無いけど、その、恋愛としてはどうか考えるから待ってくれないか?」
俺の言葉が意外だったのか、吉良は驚きに目を見開き期待の光をその双眸の奥に灯す。
言った俺はそんな吉良の視線に耐えられず、クッションに顔を埋める。
お前に都合の良い返事なんて可能性低いんだぞっ、俺には期待持たせて余計に悲しませる方が想像に容易いのに。
「…期待すんなよ、会長の事もあるし」
つい、漏れ出た浅慮な発言に選択ミスったと気づいた時には手遅れだった。
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