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10月
13
しおりを挟むふわっと身体が宙に浮いて腕からクッションが転がり落ちる。
顔を上げれば冷ややかな吉良のアップが視界を占め、何事かと自分の置かれている状況を見る。
(うそっ、姫抱き!?)
理解した瞬間落ちると思って咄嗟に吉良の首に腕を回してしまった。
生まれて初めて姫抱きされたよ。結構怖いねこれ。
「吉良ってフェンス飛び越えたり、俺抱き抱えたり色々凄いなー」
「凪沙は会長が気になるのか?」
会話が噛み合ってませんよー。
もう10月ですからね、冷気はいりません。
俺が何か言う前に吉良は自分のベットに俺を少し乱暴に落とし、顔のすぐ側に手をつくき見下ろしてくる。
あれ?これピンチなの?
「凪沙」
「ーーんっ、」
「会長が気になるのか?」
頬から首筋まで少し硬くて冷たい指先に撫でられ、くすぐったいような奇妙な感覚に俺は目をつぶり肩を竦める。
手つきは優しいが、俺を見る吉良の水色の瞳は感情が抜け落ちたようで何も映していないようで怖い。
これって嫉妬か?
(100年早いんだよっ)
不満顔で吉良の両頬をペチンと軽く叩く。奏美のように引っ叩かれ無いだけ有難いと思え!!
「たった今俺は待てと言ったよな、何を血迷っているのかな吉良君よ」
「だって凪沙が会長をーー」
「お前も会長の厄介さを知っているだろっ、告白された俺としては会長の事もちゃんと考えて答えを出したいんだよっ」
別に2人のどちらを選ぶって話じゃくて、あくまで俺の中でそういう目で2人を見られるか分からないし。
下手な答えじゃあの会長が納得しないだろうが。
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