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12月
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しおりを挟む告白されました。キスもしました。朝もこんな調子ですが付き合っているわけじゃありません(ここ重要)
すっかり寒くなり吉良も起こしに来るようになって、俺は自転車通学からバスに切り替えた。隣には当たり前のように吉良がつり革に手をかけ立っている。
あの文化祭の諸々全てが綺麗に払拭とまではいかないが、何とか平穏を保っている。
あの拉致事件は皺寄せなんじゃないかと俺は考えている。
この世界での元のストーリーを無視した結果、起きてしまった事件で俺の自業自得なんじゃないかと。
だから、あの場に居合わせた関係者は被害者で、雪平先輩も雨塚先輩もそして吉良も悪くない。
流れて行く景色。窓ガラスに映る隣りを気づかれない様に窺う。
キスされるのも触られるのも嫌いじゃない。心地いいけど反面ドキドキする。
そして、こいつが傷つくのはもう見たくない。
それってつまりーー、
「おっと」
バスの急ブレーキで倒れそうになる身体を、腰に回った腕が支えてくれる。
「大丈夫か?」
「…ありがとう」
こういう時体格差が恨めしい。
細やかな対抗意識で顔を除き込む視線からそっぽを向いて礼を言う俺に、吉良は良かったと嬉しそうに呟く。
(安上がりな奴)
だから今は言えない。
もしまた同じ事が起きないとも限らない。
終業式はもうすぐ。
(もうすぐゲームは終わる)
それは別れと同意語。
誰かを好きになるつもりは無かったのに、遠距離恋愛なんて面倒だし続かないと思って恋なんてする気はなかったのに。
腰に回ったままの腕を振り払う気にもなれず、俺は黙って俯いた。
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