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12月
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しおりを挟む「先輩は初対面から強引だし、こちらの都合考えずに色々やらかしてくれましたよね」
「あはは」
俺の急な話題変更に、先輩は思い当たる事が多いのか目を泳がせから笑いをする。
毎度毎度確信犯でやらかしてましたから、これですっとぼけされたら一発ど突かせて頂く所でしたよ。ええ。
(まあ、それでもな)
「でも、先輩は良い先輩だと思います」
「良い先輩、ね」
「そうです、良い先輩です」
嬉しいような悲しいようなそんな表情をする雪平先輩。聡い人だからもう俺の意図を分かっている。
俺に心を砕いてくれ、俺を助けてくれたのにはとても感謝している。
だから俺はーー、
「先輩は好きですよ」
「それ、程のいい断り文句だよね」
肩を竦める先輩に俺は苦く笑う。
告白当時はどう断ろうか我ながら物凄く考えた。
先輩に対し下手な言い訳で煙に撒けるとは思えなかったし、言い繕う事ばかりが頭を占めていた。
でも、今は先輩の見方が変わったから。
「先輩が兄だったら俺は凄い自慢していたと思いますよ。格好良くて頼りになって」
「じゃあ、うちに養子に来るかい?」
「遠慮します。最愛の妹がいますから」
格好良い兄より可愛い妹を取るのは当たり前。
可愛こぶって唇をとがらせても、似合いませんよー、先輩(笑)
「兄かぁ…、なら兄の細やかなワガママ聞いてくれるかな凪沙」
「ワガママですか?」
さらっと下の名前呼んで突然兄弟ごっこですか。
兄弟設定なら無体はないかな?
「凪沙からハグして?」
「…それくらいなら」
流石に人通りがある場所は無理なので、人気の無い場所に移動する事を条件に俺は先輩のワガママに付き合う事にした。
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