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第1章 始まりの国
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きっかけは、突然だった。
「葵!僕も魔法って使えるの!?」
「え…どうしたのですか。突然。」
「いいから、使えるの?使えないの?」
「使えますよ。コツさえ覚えれば。」
葵はいつものように微笑んだ。
……………………
「よし、準備はOKだよ。」
貸してもらった動きやすい服に着替える。それまでは、ずっと制服を着ていて流石にそろそろ汚れてきていたのでかわりの服が欲しかったのだ。
「ぴったりで良かったですね。」
葵の声が聞こえて後ろを振り向くと葵も着替えていたようで軍服みたいな格好をしている。
「…私が、こちらに来た時は基本的にこの格好なのですが…。久しぶりに着るとやっぱり派手で目立ちますね。」
少し恥ずかしかったのか、少し笑いながらそう言う葵。
「でも、すごい似合っててかっこいいよ。」
流石、葵。と言うべきなのか。イケメンにしか似合いそうにない格好を完璧に着こなしてる。
「そうですか。なら、良かったです。それでは、始めましょうか。…とは言っても教えるのは私ではなく、彼なのですかね…。」
そう言って、葵は禅と呼んだ。
すると、宴会の時に合掌をかけた眼鏡の男の子が返事をしながらやってきた。
「私は、生まれた時から魔法を使えていましたので他の人に魔法を教えるという作業が出来ないのです。龍心様も呼吸の仕方を教えてと言われても息を吸って吐くだけとしか言えないですよね?そのようなものです。」
なるほど…と呟く。でも、その話を聞いて僕は葵にかけてるところは無いのではないかと考える。
顔も性格も良くて、スタイルも良い。おまけに当たり前のように魔法を使えるという。
魔法を使ったことがない僕にはどれくらいの難しさか分からないが、聞く限りの話じゃ難しそうだ。
そんな葵が主に選んだのは出来損ないの僕。
葵は、なぜ僕のことを選んだのだろう。なぜ僕のことを助けてくれたのだろうか。
「龍心様?」
「…あ、ごめん。ボーッとしてた。」
「いえ、大丈夫ですか?」
心配そうに僕の顔を覗き込む葵。
やめた。そんなこと考えてもダメだ。
「あの、始めても大丈夫でしょうか?」
禅くんが僕らの様子を見ながらそう尋ねる。
「うん、大丈夫。始めよう。」
僕は顔を上げながらそう言った。
……………………………………
「あー、出来ない!!」
僕は、その場に大の字になって寝転ぶ。
「初めから出来る人なんていませんから、焦らず行っていきましょう。」
そんな僕を起こしながら禅は優しく言う。
葵は、仕事があると言って街に出て言った。夕方くらいに帰ってくると言ったのでもう少しで帰ってくるだろう。
「葵って昔からあんな感じだったの?」
「あんな感じ…とは?」
禅は、僕に水を渡しながら僕の隣に座った。
「完璧。というかなんというか…。」
口下手な僕にはあまり説明出来ないが、葵にはなにか特別な存在感がある。
「…分からない。と言うべきですかね。私が葵様を知ったのは、葵様が15歳の時。私が10になるかならないかの頃ですね。子供ながら思いました。この方は、神様なのではないか。と。それから、一生付いていこうと決めました。」
禅の目は輝く。
つまり、葵がこの村にやってきた時はもう既に葵は天才的な能力を持っていた。やっぱり、僕には…勿体無い存在なのだ。
「龍心様。」
「葵。」
そんなことを考えていると、後から葵の声が聞こえた。
「もうそろそろ、夕飯のお時間ですので…。」
「え、もうそんな時間?」
ふと、空を見ると確かに日が暮れてもうすぐで夜になりそうな雰囲気だった。
魔法の練習は大変で疲れるものだが、すごい楽しい。でも、まだコツが掴めないからか全然上手くいかないのではやくコツを覚えて自由に魔法が使えるようになりたい。
そんなことを考えながら僕は夕日を眺めていた。
……………………
その夜、僕はぐっすりと眠れた。久しぶりだった気がした。
前の世界では寝て起きたらまたいつものように最悪の1日が待ってる。それを考えるとぐっすりと寝るなんてことなかった。
でも、今は違う。
優しい葵とその家族。村の人達。
僕のことを優しく包んでくれる
ずっとここにいたい。
この世界に…。
(…あなたが望めば、ずっとここにいられますよ。あなたが望み続ければですが…。)
葵…?
そんな言葉が耳元に聞こえたような気がした。
葵の声の気がしたが、意味はよく分からなかった。
でも、なんだか少しだけ寂しそうな声だった気がした。
「葵!僕も魔法って使えるの!?」
「え…どうしたのですか。突然。」
「いいから、使えるの?使えないの?」
「使えますよ。コツさえ覚えれば。」
葵はいつものように微笑んだ。
……………………
「よし、準備はOKだよ。」
貸してもらった動きやすい服に着替える。それまでは、ずっと制服を着ていて流石にそろそろ汚れてきていたのでかわりの服が欲しかったのだ。
「ぴったりで良かったですね。」
葵の声が聞こえて後ろを振り向くと葵も着替えていたようで軍服みたいな格好をしている。
「…私が、こちらに来た時は基本的にこの格好なのですが…。久しぶりに着るとやっぱり派手で目立ちますね。」
少し恥ずかしかったのか、少し笑いながらそう言う葵。
「でも、すごい似合っててかっこいいよ。」
流石、葵。と言うべきなのか。イケメンにしか似合いそうにない格好を完璧に着こなしてる。
「そうですか。なら、良かったです。それでは、始めましょうか。…とは言っても教えるのは私ではなく、彼なのですかね…。」
そう言って、葵は禅と呼んだ。
すると、宴会の時に合掌をかけた眼鏡の男の子が返事をしながらやってきた。
「私は、生まれた時から魔法を使えていましたので他の人に魔法を教えるという作業が出来ないのです。龍心様も呼吸の仕方を教えてと言われても息を吸って吐くだけとしか言えないですよね?そのようなものです。」
なるほど…と呟く。でも、その話を聞いて僕は葵にかけてるところは無いのではないかと考える。
顔も性格も良くて、スタイルも良い。おまけに当たり前のように魔法を使えるという。
魔法を使ったことがない僕にはどれくらいの難しさか分からないが、聞く限りの話じゃ難しそうだ。
そんな葵が主に選んだのは出来損ないの僕。
葵は、なぜ僕のことを選んだのだろう。なぜ僕のことを助けてくれたのだろうか。
「龍心様?」
「…あ、ごめん。ボーッとしてた。」
「いえ、大丈夫ですか?」
心配そうに僕の顔を覗き込む葵。
やめた。そんなこと考えてもダメだ。
「あの、始めても大丈夫でしょうか?」
禅くんが僕らの様子を見ながらそう尋ねる。
「うん、大丈夫。始めよう。」
僕は顔を上げながらそう言った。
……………………………………
「あー、出来ない!!」
僕は、その場に大の字になって寝転ぶ。
「初めから出来る人なんていませんから、焦らず行っていきましょう。」
そんな僕を起こしながら禅は優しく言う。
葵は、仕事があると言って街に出て言った。夕方くらいに帰ってくると言ったのでもう少しで帰ってくるだろう。
「葵って昔からあんな感じだったの?」
「あんな感じ…とは?」
禅は、僕に水を渡しながら僕の隣に座った。
「完璧。というかなんというか…。」
口下手な僕にはあまり説明出来ないが、葵にはなにか特別な存在感がある。
「…分からない。と言うべきですかね。私が葵様を知ったのは、葵様が15歳の時。私が10になるかならないかの頃ですね。子供ながら思いました。この方は、神様なのではないか。と。それから、一生付いていこうと決めました。」
禅の目は輝く。
つまり、葵がこの村にやってきた時はもう既に葵は天才的な能力を持っていた。やっぱり、僕には…勿体無い存在なのだ。
「龍心様。」
「葵。」
そんなことを考えていると、後から葵の声が聞こえた。
「もうそろそろ、夕飯のお時間ですので…。」
「え、もうそんな時間?」
ふと、空を見ると確かに日が暮れてもうすぐで夜になりそうな雰囲気だった。
魔法の練習は大変で疲れるものだが、すごい楽しい。でも、まだコツが掴めないからか全然上手くいかないのではやくコツを覚えて自由に魔法が使えるようになりたい。
そんなことを考えながら僕は夕日を眺めていた。
……………………
その夜、僕はぐっすりと眠れた。久しぶりだった気がした。
前の世界では寝て起きたらまたいつものように最悪の1日が待ってる。それを考えるとぐっすりと寝るなんてことなかった。
でも、今は違う。
優しい葵とその家族。村の人達。
僕のことを優しく包んでくれる
ずっとここにいたい。
この世界に…。
(…あなたが望めば、ずっとここにいられますよ。あなたが望み続ければですが…。)
葵…?
そんな言葉が耳元に聞こえたような気がした。
葵の声の気がしたが、意味はよく分からなかった。
でも、なんだか少しだけ寂しそうな声だった気がした。
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