短編集

蓼丸ゆた

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彼の笑顔

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君を始めてみたとき、なんて綺麗な人なんだと思った。
まるで、絵本から飛び出してきた王子様だった。
誰にでも優しくて、綺麗な金髪。青い瞳。眉目秀麗。
笑顔なんて、初めて見た時は心臓が止まるかと思うくらいの威力だ。
そう思っていた。
初めて、話すまでは。
「犬、お茶。」
「私は、犬じゃないです。」
「じゃあ、豚。」
王子と私の会話。
もちろん、さっき話した彼のことだ。
この通り、彼は猫かぶりの完璧主義者。つまり、あの姿は偽の姿だったのだ。
それに、すっかりと騙されてしまった私はこのようにこき使われている。
「…そんなに太ってないです!」
バンと起き上がりながら言うと王子はぶはっと大口を開けて笑い始めた。
その姿にはもうすっかり王子様の姿はなく、どちらかと言えば傲慢な王様だ。
本当に、嫌だってこと。
でも、そんな彼のわがままを聞いているのにも理由がある。
「…はぁ、笑った笑った。」
「ほんと…笑いすぎですよ。」
怒った様子を見せると、王子は少しだけ戸惑った。
「…ごめん、怒った?」
しゅんとした王子の姿にキュンとする。
そう、私はこんな王子でも…いや、こんな王子が大好きなのだ。
わがままだけどピュアで素直な王子。
王子様みたいな王子も好きだったけど、素の王子のほうがよっぽど人間味があって大好きになった。
「…嘘ですよ、怒ってません。」
私がニコッと笑うと、王子はまた笑顔になってわがままを言い始めた。
わがままで、皮肉ばっかり言う王子。
でも、この姿を知ってるのは私だけ。
あの、笑顔を見れるのも私だけ。
私だけの王子様。大好きだよ。
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