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【完結】探偵物語【甘め】
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「対象が予想以上に早くホテルに向かったせいで、相手を頼んでいた女が間に合いそうになかったんだ」
「迂闊だった。猿め」と、自分のことは棚に上げて先生が語るに、そういうことらしい。
それで僕が完成度が下限値ラインをマイナスに天元突破してる女装をして、先生とホテルに居るわけか。なんという行きずり感。
「それじゃあ、電話してた女性は仕事のパートナーだったんですね」
そんな人がいるのは知らなかったけど、仕事放棄してるわけじゃなかったということでちょっとホッとした。
ごめんね先生。思春期の猿とか思ってて。
「いや、彼女は何も知らないよ。知ってたら素人は変に意識するから怪しすぎるだろう?」
いや、僕も素人なんですけど。そう思ったけど、まぁ何も聞かされてなくてそれどころじゃなかったし、一応関係者ではあるし、今日の場合は仕方ないと言ってもいいだろう。なんせ僕、助手!だからね!
…マイクについての言い訳はどうしてるんだろう。聞くのが怖かったので聞かないことにした。
「変なことを考えてるだろう。いつもはこんなあからさまな場所には仕掛けないよ。それに今日は相手が瑠衣だったからあれだけドタバタ動いたんだ」
あ、そうですか。
そこで思い至ってしまった。
「待ってください。何も知らない女性とホテルで二人きりになるってことは…」
「当然、ヤることはヤってる。隣が終わるまで適当に時間を引き延ばす。それから、時間までにとっとと出してとっとと出る」
予想していた通り、以上の歯に衣着せぬの答えに力が抜けた。
引き延ばすって、そんな無駄な神経使うくらいなら誰か相棒を作ればいいじゃん。
そう考えて、あ、なんか嫌だな。と思った。先生の助手は僕だけでいい。こんなダメ男を往なせるのは僕だけだ。
「先生の女好きは、趣味と実益を両取りしてたわけですね…」
なんて仕事熱心なんだ。毎日毎日、いつ使うともわからない仕事相手をせっせと引っかけてせっせと連れ込んでせっせと落としてたわけですね。それで片付けは僕がすると!
毎度タイプが違うから、よっぽど節操がないのかと思ってた。いや十分節操がないんだけど。猿め。
「まさか。実益のみだよ。何を好き好んで好きでもない相手を誘って連れ込んで喜ばせてやらんとならんの」
「瑠衣とならいいパートナーになれそうなんだけどね」と、流し目を送られて目が合う前にサッと逸らした。
駄目だ、この人役に入り切ってて線引きができてない。頭がおかしくなってる。
そうこう、話してるうちに、隣の部屋から『あーん、はーん』とか言うあられもない声が聞こえ始めて、先生が唇に人差し指を当てた。
地獄の時間が始まった。
「迂闊だった。猿め」と、自分のことは棚に上げて先生が語るに、そういうことらしい。
それで僕が完成度が下限値ラインをマイナスに天元突破してる女装をして、先生とホテルに居るわけか。なんという行きずり感。
「それじゃあ、電話してた女性は仕事のパートナーだったんですね」
そんな人がいるのは知らなかったけど、仕事放棄してるわけじゃなかったということでちょっとホッとした。
ごめんね先生。思春期の猿とか思ってて。
「いや、彼女は何も知らないよ。知ってたら素人は変に意識するから怪しすぎるだろう?」
いや、僕も素人なんですけど。そう思ったけど、まぁ何も聞かされてなくてそれどころじゃなかったし、一応関係者ではあるし、今日の場合は仕方ないと言ってもいいだろう。なんせ僕、助手!だからね!
…マイクについての言い訳はどうしてるんだろう。聞くのが怖かったので聞かないことにした。
「変なことを考えてるだろう。いつもはこんなあからさまな場所には仕掛けないよ。それに今日は相手が瑠衣だったからあれだけドタバタ動いたんだ」
あ、そうですか。
そこで思い至ってしまった。
「待ってください。何も知らない女性とホテルで二人きりになるってことは…」
「当然、ヤることはヤってる。隣が終わるまで適当に時間を引き延ばす。それから、時間までにとっとと出してとっとと出る」
予想していた通り、以上の歯に衣着せぬの答えに力が抜けた。
引き延ばすって、そんな無駄な神経使うくらいなら誰か相棒を作ればいいじゃん。
そう考えて、あ、なんか嫌だな。と思った。先生の助手は僕だけでいい。こんなダメ男を往なせるのは僕だけだ。
「先生の女好きは、趣味と実益を両取りしてたわけですね…」
なんて仕事熱心なんだ。毎日毎日、いつ使うともわからない仕事相手をせっせと引っかけてせっせと連れ込んでせっせと落としてたわけですね。それで片付けは僕がすると!
毎度タイプが違うから、よっぽど節操がないのかと思ってた。いや十分節操がないんだけど。猿め。
「まさか。実益のみだよ。何を好き好んで好きでもない相手を誘って連れ込んで喜ばせてやらんとならんの」
「瑠衣とならいいパートナーになれそうなんだけどね」と、流し目を送られて目が合う前にサッと逸らした。
駄目だ、この人役に入り切ってて線引きができてない。頭がおかしくなってる。
そうこう、話してるうちに、隣の部屋から『あーん、はーん』とか言うあられもない声が聞こえ始めて、先生が唇に人差し指を当てた。
地獄の時間が始まった。
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