【本編完結】ブーゲンビリアの花束を

戌依 寝子 (旧いろあす)

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ローダンセの花

42.秘密の恋

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 寝て、起きて、ちょっと仕事をして、シャワーを浴びた。いつもより少し遅いくらいの時間。今日は日曜日だ。お休みにしてもいいだろう。
 昨日は飲みすぎちゃったな。
 薫くんがあんまりにも嬉しそうに話しながらどんどんお酒を注ぐもんだから、僕も嬉しくてつい飲みすぎてしまった。あの時は?この時は?ってウキウキした顔で話す彼が可愛くて可愛くて。
 酔って帰って全部そのままになっていた部屋を片付ける。回収した空き缶の量に驚いた。
 こんなに飲んだのか。薫くん、呆れただろうな。
 頑張ればまだ飲めたけど、あれ以上飲んでたら逆に危なかったかもしれない。
 妙な質問もしちゃったし。
 彼を酔わせないように画策していたくせに、自分が酔って箍が外れちゃ目も当てられない。気を付けないと。酒は飲んでも飲まれるな。ホントに。
 さぁ、切り替えよう。
 ソファに座ってコーヒーを飲む。
 今日は休みにしたんだから、気分転換に外へ出よう。以前から考えると信じられない思考だ。これは薫くんがくれた。
 どこへ行こう。髪を切りに行ってもいいかもかな。でも、僕は自分の顔があんまり好きじゃない。目付きがきついからいつも怒ってる風に取られてしまう。前髪で隠してるのに慣れちゃって今更顔を出すのは恥ずかしい。
 そうだ、テーラーに行こう。
 薫くんと一緒に行った後、オーダーしたスーツの仮縫いが終わってるはずだ。
 ついでに隣の靴屋さんにも相談して、スーツに合う靴も選んでもらおう。隣同士で完結できるのは便利だ。
 だったらお昼はあの洋食屋さんに行こうかな。今度は僕の食べたいものを食べて、薫くんに勧めれるようにしよう。薫くんの好きそうなものにしよう。
 こうやって考えていると、どんどん楽しくなってきて心が弾んだ。
 この気持ちも、全部薫くんがくれた。僕は貰ってばかりだ。
 僕にできるのは、花言葉を込めて花束を渡すだけ。
 それも、彼に気付いて欲しいような、欲しくないような、気恥ずかしい気持ちを返してもらいながら。
 薫くんのことを考えるだけで胸がきゅんきゅん疼いて、身体に痺れが走る。
 これはそういう邪な感情じゃなくて、ただただ胸が高鳴るだけ。純粋な、甘い感情だ。
 この感情だけに溺れていたい。
 考えれば考える程苦しくなるような情念なんてなくなればいいのに。
 でもきっとそれも含めてこの恋なんだろう。
 オキナグサを送って、僕の気持ちは落ち着いていた。
 変に期待して揺れてたから辛かったんだ。決めてしまえばどうということはない。僕の気持ちは僕の気持ちとして、僕が大切に持っていてあげればいい。
 彼と会って、ちょっとお酒を飲みながら話して、映画を見て、時々ゲームもして。それだけで十分満たされる。
「さて」
 コーヒーを飲みほしてマグカップをシンクですすぐ。
 そろそろ出かけようかな。
 前までだったらてきとうに服を着て何もせずに出ていたけど、もしかして、万に一つ、外で薫くんにバッタリ会ったりしたらと思うと、ちゃんとした服を着て、セットをしてから外出するようになった。
 花屋の奥さんと挨拶した時、彼女はちょっと困ったような顔をして「今日のディスプレイはミモザですよ」と教えてくれた。
 今日は彼に教えてもらった店に行く。
 会えるといいな。
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