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八
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今日は何を教えてくれるんだろう。
そう思いながら今日も階段を上る。いつの間にか屋上に行く目的がご飯を食べて次の時間の予習をすることからノアに教えてもらうことになってて良くない。いつもノアがいるとは限らないし、学年一位を取ったらノアは死んでしまうのに。
11月ももう後半になり次の試験まで今日で一週間前になる。初めてノアと初めて会った次の日から色々な魔術を教わって生成魔法はもちろん、調合魔法や初級の攻撃魔法も使えるようになった。成功率はそこそこだが、一週間頑張れば得点に繋げられるだろう。ノアは僕の覚えるスピードが速いと褒めてくれるが、ノアの教え方が上手いのだと思う。実技の授業を受けられるようになったがノアから教えてもらった方が分かりやすい。それをノアに伝えたとき、ノアは「それはお前が俺を好きすぎるからだ」とからかってきたので仕返しに肯定してやろうかと思ったが、ノアに避けられたら困るので肯定も否定もせずに俯くことしか出来なかった。
試験範囲には今までノアから習った魔術に加えて魔法陣を杖を使って実際に発動させる魔術も含まれる。あんまり難しくないらしいけど魔術の授業のときはよく分からなくて成功させることが出来なかった。
色々考えてるといつの間にか最上階に着いていたので扉を開ける。
「こんにちはー」
「おう」
挨拶をしてからいつものパンを食べる。
「食べながらで良いんだが、ってもう食べ終わってんのか。じゃ始めるか」
「え、気になります。何ですか?」
「いや、やっぱ良いや。時間は有限だから。ほら、杖構えろ」
あからさまに話を逸らされるときは問い詰めても絶対に教えてくれないときだ。この人は止めて欲しいことを直接的には言わないが察してほしいと態度に出してくるので分かりやすい。心を許してくれてるんだか、許してくれてないのか謎だ。
「はい。今日は何するんですか」
「んー、何だろうな。逆に何が良いんだ?一年生で身に着けとくべき基礎は大体教えてきたし授業も受けられてんだろ?」
「えーと、そうですね……。あっ、魔法陣について教えて欲しいです。授業受けてても良く分かんないんですよね」
「魔法陣のどこが分かんないんだ?発動のさせ方はほぼ魔術を使うのと変わらないぞ」
「そうなんですね、それなら出来るかも」
魔法陣を書こうとペンと紙を用意する。
「その反応って本当に先生の話ちゃんと聞いてんのか?教えてくれるだろ」
「ちゃんと聞いてますよ先生?」
「いや、俺は先生じゃないけど。口より手を動かせ。実技の試験は魔法陣を描くことも採点に含まれるからな。ちゃんと覚えたか?」
「はいはいはいはい」
「はいは一回だ。」
先生と言われて満更でもなさそうなのが面白い。ノリが良いだけかもしれないけど。
「あなたが本当に先生なら良いのに。」
魔法陣を描きながらふとそんなことをうっかり呟いてしまう。
「……こんな魔力量の少ないやつが先生になれるわけねえだろ。口が動いてるアル君はちゃんと魔法陣が描けたのか?お、書けてんじゃん。しかも上手いな、流石だ。試験範囲の魔法陣は全部覚えてんのか?」
他の生徒のために魔法陣を途中までたくさん描かされてきたので自分でも魔法陣を描くことことには自信がある。さすがに全暗記してるわけでは無い。
「まあ大体ですけど。ってか魔法陣の発動のさせ方が普通の魔術と変わらないって本当ですか?」
「ああ。普通、魔術を使うとき魔力を体外に出すイメージだろ?そのイメージのまま魔法陣に魔力を流し込むだけで良いんだ。普通の魔術と違って成功をイメージしなくていいからこっちの方が楽だと思う。魔法陣を組み立てるのは難しくて俺にも分らんが組み立てられれば自分の属性以外の魔術を使えるところが良いよな」
なるほど。確かにそう考えると魔法陣の方が楽かもしれないな。ところで……
「この魔法陣って発動させるとどうなるんですか」
そう聞くとノアが目を丸くさせたので久しぶりに見るその表情に笑ってしまった。
「お前なー、笑い事じゃねえぞ。成功のイメージは必要ないけど理解しとくのは必要だろ。これは成功すれば結界が張れる魔法陣だ。まあ今アルが描いたやつは小さいから小さい俺とお前の間に壁一枚出来るだけだな。大きい結界を張るためにはより大きい魔法陣が必要だが労力も魔力も大きさに応じて増えてくから気を付けろよ」
話を聞いて書いた魔法陣をなぞるイメージで魔力を流すと本当にノアとの間に結界が出来た。
なるほど。
発動のさせ方が分かり無事発動が確認出来たので即座に魔法陣を消して結界を壊す。
こんなにすぐ壊れるものなんだな結界って。
「おー成功したな。え、もう壊したのか。初めて魔術が使えたときは泣くほどだったのに」
「必要無いと思ったので。そう言えば、試験のときって魔力どうしてるんですか。絶対足りないですよね」
他の人に貰っているのなら僕もあげられたら良いのに。
「必要無いって……。まあそういうもんだよな、魔術って。あー、試験のときはな、魔道具を使ってるんだよ。魔力量を一時的に増やす魔道具。でも急に増えすぎると色々大変だからさ、少しずつ増やしてくんだ。少しずつでもやっぱ精神的にも肉体的にも苦しいから極力人とは会いたくないな。そういやもう一週間前だな。悪ぃが明日からここ来れないかもしれない」
唐突な知らせにびっくりする。会えなくなったら僕はどうやって魔術の練習をすれば良いんだ。
「えっ、本当ですか、嫌です。魔道具以外から、人から魔力を貰ってもそうなるんですか?」
「嫌ですって言われてもどうしようも無いもんな。そういや人から貰ったことは無いな、そもそも俺の魔力量が少ないことはアルと家族しか知らない」
じゃあ、と思い口を開く。
「一回、試しにやってみませんか。あ、勿論皮膚からの方で。今日はもう魔力使わないので大丈夫ですよ。魔道具より楽ならその方があなた的にも良いし僕的にも会えないのは困るので」
そう言うと、ノアは考え込んでしまったがしばらくして顔を上げたので返事を待つ。
「ん-、まあ貰えるもんは貰っとくか。初めてだからどうなるか分からないけど。頼む」
そう言われて手を握る。
「流していいですか?」
「おう、念のためゆっくり流してくれ。あと少しだけで良いからな」
見上げた目に不安が混じってるのを確認して両手で握ってからゆっくり少しずつ魔力を流す。不安を取り除けるようにイメージしながら。集中していると上から叩かれたのでびっくりしてそこでやっとノアが名前を呼んでいるのに気付いた。
「アル、もういいから、やめとこう、やっぱり。ありがとう」
そういうノアは泣いていて心なしか顔も赤かった。
やらかした。もっと相手の確認をしなきゃいけないのに。
「すみません!加減が分からなくて。痛かったですか?」
「いや、俺が頼んだのが悪かった。俺が変なんだよ。痛くなかったから大丈夫だ。いや大丈夫ではないのか?やっぱ大丈夫だ。魔道具と変わらなかったからいつも通りにするよ。ありがとな、じゃあ俺、もう教室帰るから」
大丈夫じゃないってなんだ、変ってなんだ、魔道具と同じなのにそんなに動揺するのか、そんな疑問が次々に浮かんでくる。考えようにもあからさまに目線を避けられたのが悲しくて激しく動揺してしまって思考が動かない。
ノアにもう会えなかったらどうしよう。今日は「また明日」を言い忘れてしまった。
そう思いながら今日も階段を上る。いつの間にか屋上に行く目的がご飯を食べて次の時間の予習をすることからノアに教えてもらうことになってて良くない。いつもノアがいるとは限らないし、学年一位を取ったらノアは死んでしまうのに。
11月ももう後半になり次の試験まで今日で一週間前になる。初めてノアと初めて会った次の日から色々な魔術を教わって生成魔法はもちろん、調合魔法や初級の攻撃魔法も使えるようになった。成功率はそこそこだが、一週間頑張れば得点に繋げられるだろう。ノアは僕の覚えるスピードが速いと褒めてくれるが、ノアの教え方が上手いのだと思う。実技の授業を受けられるようになったがノアから教えてもらった方が分かりやすい。それをノアに伝えたとき、ノアは「それはお前が俺を好きすぎるからだ」とからかってきたので仕返しに肯定してやろうかと思ったが、ノアに避けられたら困るので肯定も否定もせずに俯くことしか出来なかった。
試験範囲には今までノアから習った魔術に加えて魔法陣を杖を使って実際に発動させる魔術も含まれる。あんまり難しくないらしいけど魔術の授業のときはよく分からなくて成功させることが出来なかった。
色々考えてるといつの間にか最上階に着いていたので扉を開ける。
「こんにちはー」
「おう」
挨拶をしてからいつものパンを食べる。
「食べながらで良いんだが、ってもう食べ終わってんのか。じゃ始めるか」
「え、気になります。何ですか?」
「いや、やっぱ良いや。時間は有限だから。ほら、杖構えろ」
あからさまに話を逸らされるときは問い詰めても絶対に教えてくれないときだ。この人は止めて欲しいことを直接的には言わないが察してほしいと態度に出してくるので分かりやすい。心を許してくれてるんだか、許してくれてないのか謎だ。
「はい。今日は何するんですか」
「んー、何だろうな。逆に何が良いんだ?一年生で身に着けとくべき基礎は大体教えてきたし授業も受けられてんだろ?」
「えーと、そうですね……。あっ、魔法陣について教えて欲しいです。授業受けてても良く分かんないんですよね」
「魔法陣のどこが分かんないんだ?発動のさせ方はほぼ魔術を使うのと変わらないぞ」
「そうなんですね、それなら出来るかも」
魔法陣を書こうとペンと紙を用意する。
「その反応って本当に先生の話ちゃんと聞いてんのか?教えてくれるだろ」
「ちゃんと聞いてますよ先生?」
「いや、俺は先生じゃないけど。口より手を動かせ。実技の試験は魔法陣を描くことも採点に含まれるからな。ちゃんと覚えたか?」
「はいはいはいはい」
「はいは一回だ。」
先生と言われて満更でもなさそうなのが面白い。ノリが良いだけかもしれないけど。
「あなたが本当に先生なら良いのに。」
魔法陣を描きながらふとそんなことをうっかり呟いてしまう。
「……こんな魔力量の少ないやつが先生になれるわけねえだろ。口が動いてるアル君はちゃんと魔法陣が描けたのか?お、書けてんじゃん。しかも上手いな、流石だ。試験範囲の魔法陣は全部覚えてんのか?」
他の生徒のために魔法陣を途中までたくさん描かされてきたので自分でも魔法陣を描くことことには自信がある。さすがに全暗記してるわけでは無い。
「まあ大体ですけど。ってか魔法陣の発動のさせ方が普通の魔術と変わらないって本当ですか?」
「ああ。普通、魔術を使うとき魔力を体外に出すイメージだろ?そのイメージのまま魔法陣に魔力を流し込むだけで良いんだ。普通の魔術と違って成功をイメージしなくていいからこっちの方が楽だと思う。魔法陣を組み立てるのは難しくて俺にも分らんが組み立てられれば自分の属性以外の魔術を使えるところが良いよな」
なるほど。確かにそう考えると魔法陣の方が楽かもしれないな。ところで……
「この魔法陣って発動させるとどうなるんですか」
そう聞くとノアが目を丸くさせたので久しぶりに見るその表情に笑ってしまった。
「お前なー、笑い事じゃねえぞ。成功のイメージは必要ないけど理解しとくのは必要だろ。これは成功すれば結界が張れる魔法陣だ。まあ今アルが描いたやつは小さいから小さい俺とお前の間に壁一枚出来るだけだな。大きい結界を張るためにはより大きい魔法陣が必要だが労力も魔力も大きさに応じて増えてくから気を付けろよ」
話を聞いて書いた魔法陣をなぞるイメージで魔力を流すと本当にノアとの間に結界が出来た。
なるほど。
発動のさせ方が分かり無事発動が確認出来たので即座に魔法陣を消して結界を壊す。
こんなにすぐ壊れるものなんだな結界って。
「おー成功したな。え、もう壊したのか。初めて魔術が使えたときは泣くほどだったのに」
「必要無いと思ったので。そう言えば、試験のときって魔力どうしてるんですか。絶対足りないですよね」
他の人に貰っているのなら僕もあげられたら良いのに。
「必要無いって……。まあそういうもんだよな、魔術って。あー、試験のときはな、魔道具を使ってるんだよ。魔力量を一時的に増やす魔道具。でも急に増えすぎると色々大変だからさ、少しずつ増やしてくんだ。少しずつでもやっぱ精神的にも肉体的にも苦しいから極力人とは会いたくないな。そういやもう一週間前だな。悪ぃが明日からここ来れないかもしれない」
唐突な知らせにびっくりする。会えなくなったら僕はどうやって魔術の練習をすれば良いんだ。
「えっ、本当ですか、嫌です。魔道具以外から、人から魔力を貰ってもそうなるんですか?」
「嫌ですって言われてもどうしようも無いもんな。そういや人から貰ったことは無いな、そもそも俺の魔力量が少ないことはアルと家族しか知らない」
じゃあ、と思い口を開く。
「一回、試しにやってみませんか。あ、勿論皮膚からの方で。今日はもう魔力使わないので大丈夫ですよ。魔道具より楽ならその方があなた的にも良いし僕的にも会えないのは困るので」
そう言うと、ノアは考え込んでしまったがしばらくして顔を上げたので返事を待つ。
「ん-、まあ貰えるもんは貰っとくか。初めてだからどうなるか分からないけど。頼む」
そう言われて手を握る。
「流していいですか?」
「おう、念のためゆっくり流してくれ。あと少しだけで良いからな」
見上げた目に不安が混じってるのを確認して両手で握ってからゆっくり少しずつ魔力を流す。不安を取り除けるようにイメージしながら。集中していると上から叩かれたのでびっくりしてそこでやっとノアが名前を呼んでいるのに気付いた。
「アル、もういいから、やめとこう、やっぱり。ありがとう」
そういうノアは泣いていて心なしか顔も赤かった。
やらかした。もっと相手の確認をしなきゃいけないのに。
「すみません!加減が分からなくて。痛かったですか?」
「いや、俺が頼んだのが悪かった。俺が変なんだよ。痛くなかったから大丈夫だ。いや大丈夫ではないのか?やっぱ大丈夫だ。魔道具と変わらなかったからいつも通りにするよ。ありがとな、じゃあ俺、もう教室帰るから」
大丈夫じゃないってなんだ、変ってなんだ、魔道具と同じなのにそんなに動揺するのか、そんな疑問が次々に浮かんでくる。考えようにもあからさまに目線を避けられたのが悲しくて激しく動揺してしまって思考が動かない。
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