最果ての

クエスチョンはてな!

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   三限終わりのチャイムが鳴って直ぐに屋上への階段を上る。何か前もこんなことあったな。今日は会える気がする。根拠も無いのに良い予感を信じてしまうくらいには心が浮き立ってしまっている。最上階まで上り屋上の扉を開ける。
   当然ながら誰もいない。まあ知ってたけど。
   12月に入り、より寒くより空気が澄んでいるような心地がして大きく深呼吸してすっかり座られなくなった定位置に座る。もう定位置とは呼べないかもだけど。
    パンを買い忘れてきた事に気付いて買いに行こうとして立ち上がるのと同時に屋上の扉が開いて、

「「えっ」」

と思わず相手と同時に驚きの声を挙げてしまった。
1週間ぶりにまた会えた驚きと嬉しさでその場で硬直してしまったが、少しして相手が先に口を開いた。

「今日は早いんだな、試験どうだった?一位取れそうか?おーい、石化しちまったのか?俺はメデューサか何かかよ」

  そう言って近付いてきたので、やっとのことで口を開く。

「石化なんてしてませんよ、僕は急に屋上に来なくなって試験が終わった次の日にまた来るからびっくりしてるのに何であなたはそんないつも通りなのがおかしいんですよ。試験?ボロボロに決まってんじゃないですか、誰かさんに指導を放棄されて手付かずになりました」
「怒るのか笑うのかどっちかにしとけよ、そんな怒らないで欲しいけどさ。ごめんな~。俺がいないとやっぱだめなのか~そっか~」

   放棄したことも突然いなくなったことも全然反省しないこのニヨニヨした目も口も、本当にむかつくなぁ。

「そうですけど」
「へー、そうかよ。そういう時はさ、ちょっと赤面しながら照れたように肯定しろよ。目線を外すのも忘れずにな。可愛い女の子じゃなくて背の高いお前が演技してもあんまし効果無いけどな。」

   仕返ししたら動揺せずに真顔でそう返してきたので面白くない。けど、この会話に楽しさと安心感を覚えてしまう自分も嫌だな。

「はいはい、そうですか、そうですよねー。ちょっと素直に言ってみただけなのにダメ出ししてくるなんて酷い先輩ですよほんと、傷付きました。テスト期間1回も会えなかったし」
「悪かったってほんとに。反省してるから。これからも誠意を持って魔術教えるからさ、こんな俺で良いならだけど」
「そんなん当たり前ですよ、これからもよろしくお願いします。テスト期間会えないのはどうにかならないんですか。会えなかった期間で魔術の使い方忘れたんですよね。次の試験もそうなったらあまりにも意味の無い授業になるんですけど」
「えっ、それはお前魔力の流れが無くなったとかそういうことか?1回魔術使ってみろよ、杖構えろ」
  
   そう言われて杖を構える。使ってみろって言われてもこっから何も分からない。目線を送ると、

「どうした?使えるだろ、前まで出来たんだから。魔力の流れは掴めるか?突然無くなるなんてそんな話し聞いたこと無いぞ」
「分からないんですよね。自分がどうやって魔術を使ってたかまるで何も分からない。全部忘れちゃったみたいで。本当に申し訳ないんですけど最初っから教え直して貰えないですか?」
「んーまあ1回また使えれば他の魔術も使えんだろ。よし、手出してみろ」
   手を出すとノアが握って来たので驚いたが魔力の流れを掴むためにこんなことしたなと思い出して手に集中する。
   そうすると温かい魔力が身体中を流れてるのが分かった。
「寝るなよ、アル。前と全く同じことだから前より早送りで教えてくからな」
「寝ないです!何か分かった気がします、もう大丈夫です。ありがとうございます。魔術使ってみます」
  
  手を離して杖を構え購買で売ってるいつものパンを出すことをイメージする。魔力を手から杖の先に流すとやっぱり2つパンが出来たのでキャッチする。それを見て驚いていると横から手が来た

「お!出来んじゃん、良かったな。1つ貰うわ。前より味も良くなってるな、良い感じだ」

「久しぶりに魔術使えました……!僕も食べます。ん、いつものパンですね、初めて成功したかも」

「よしよし、無事アルが魔術を思い出せたことだしもう予鈴鳴りそうだから今日は帰るかな、アルも教室帰んな、風邪引くぞ」

「そうですね、ちゃんと寝て下さいね!また明日!」
   そう声を掛けるとはいはいとでも言うように手を振ってきたので思わず溜め息が出てしまう。
   久しぶりに見たにも関わらずやっぱり目元に隈がしっかりあって何も変わらなくて安心したような心配なような。
   魔術がまた使えて良かったなぁ。良かった。
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