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第2話 転生ヒロインは入学早々王子を下敷きにする
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私は一晩かけてゲームの内容を思い出した。
ここは前世で大大大好きだった乙女ゲーム、『幸せの青い鳥は君だった』の世界だ。
内容は至ってシンプルで、町一番の美少女と評判だったヒロイン“ミーシャ”は、16になる直前に病弱な母が亡くなって、貴族の父親に引き取られ突然伯爵令嬢になってしまう。そして放り込まれた貴族のお坊ちゃん、お嬢さん方が通うブルーバード学院で気に入ったイケメンのハートをゲットせよ!と言う王道ストーリーだ。
メインヒーローはこの国の王子様、他に攻略対象として未来の騎士団長になる先輩、裁判官になる秀才の同級生、飛び級で高等科に入ってくる天才ショタの全4人。特にぶっ飛んだキャラも居ないし、シナリオも普通でヤンデレとかのエンディングはなかった……筈。
まぁ後日配信で増えるって宣伝してた隠しキャラがあと二人居るはずなんだけど、とんと見当つかないからそっちは無視で!そんなことより、 まさかの大好きな乙女ゲームに転生なんてこれはもう、ゲーム中もずっとお近づきになりたくて仕方なかったのにルートが無くて泣く泣く諦めてたあの方の攻略を頑張れって言う神様の御告げよね!!早速会いに行かなくちゃ!丁度今日は入学式だからメインヒーローとの出会いイベントがある、そこで上手くやれば出てきてくれる筈よ!
「ーっ!?あぁミーシャ、どこへ行くんだい!?帰りの馬車はあっちだよ!」
「ごめんねお父様、私帰る前に色々学院を見て回りたいの!」
入学式が終わるなりお父様にそう告げて、ダッシュで走って校舎裏の森へ。すぐに辺りは完全に木ばっかりになり、帰り道もわからなくなった。思わず笑いが溢れる。
「ふふふふふふふ……、やったぁ!見事な迷子だわ!」
ばんざいしてピョンピョンと跳び跳ねてはしゃぐ。ここがヒーローとヒロインの第一の出会いの現場なのだ!ちなみに選択肢が『不安な気持ちを吹き飛ばす為に歌いながらその場で踊る』と『現在地を知る為にまずは木に登って辺りを見てみる』の二つあって、選んだ方によって片方はいきなり王子様にお姫様抱っこされるスチルイラストが見れて、失敗を選ぶといきなり悪役令嬢に叱られる。私が狙うのはもちろん後者だ!
迷わず一番背の高い木に上ることにした。前世のあだ名は“うり坊”だったけど、豚もおだてりゃ木に上るのよ!スルスルスルスル……と、あっという間にてっぺんについた。
よし!後はここから落ちるのみ!
「って高っ!ひぇぇぇぇっ、流石に飛び降りるとかムリムリムリーっ!!!」
バッと下を見て、あまりの高さに木の幹にしがみつく。しまった!調子にのって高い木を選びすぎた!
降りらんないよ、どうしよーっ!
「ん?ミシっ……?」
乗っていた枝から聞こえたその不吉な音に冷や汗が止まらない。まさか……と思った瞬間、バキッと枝が折れて真っ逆さまに下へと落ちた。
「嘘でしょーっっっ!?」
まさかの転生一日目にしてヒロイン終了のお知らせ!?
「君、危ない!」
男の子の声と同時にドンッと衝撃は受けたけど案外痛くない。あれ?と目を開くと、私の下敷きになったイケメンが痛そうに顔を歪めていた。ってこれ、メインヒーローの王子様じゃないの!いや、流れ的にはイベント通りなんだけどね!
「ごっ、ごめんなさい、大丈夫!?」
「あ、あぁ、大丈夫だ。君こそ、怪我はないかい?」
慌てて退いた私に、翡翠色の目を優しく細めた王子が微笑む。普通の女の子ならこれだけでイチコロなプリンスの微笑みだけど、ゲームで彼のルートも既に三桁周回プレイした私からしたら恋のトキメキより『おぉぉぉっ、本物だぁぁぁっ!』って言う感動の方が大きい。
喜びでにやけそうになる顔を一回両手でパンッと叩く。王子がぎょっとした顔をしたけど気にしない、にこっと笑って彼に向き直った。
「下敷きにしちゃってごめんなさい!助けてくれてありがとう!!」
「構わないよ、偶然居合わせただけだから。怪我がなくて何よりだ」
「我が国の王太子殿下を下敷きにしておいてそんな軽い一言で済ませるおつもり?貴女、口調も所作も、礼儀もなっていないのね」
「ーっ!!」
凛と響いたそのハスキーな声に振り向いて、時間が止まった。背後に現れた、プラチナブロンドのストレートヘアにサファイアみたいな深い青の瞳の美少女。
ゲーム中も大好きで大好きで、攻略したくてたまらなかった彼女は、しゃんと背筋を伸ばし腕組みをして冷たい眼差しで私を見ていた。
~第2話 転生ヒロインは入学早々王子を下敷きにする~
ここは前世で大大大好きだった乙女ゲーム、『幸せの青い鳥は君だった』の世界だ。
内容は至ってシンプルで、町一番の美少女と評判だったヒロイン“ミーシャ”は、16になる直前に病弱な母が亡くなって、貴族の父親に引き取られ突然伯爵令嬢になってしまう。そして放り込まれた貴族のお坊ちゃん、お嬢さん方が通うブルーバード学院で気に入ったイケメンのハートをゲットせよ!と言う王道ストーリーだ。
メインヒーローはこの国の王子様、他に攻略対象として未来の騎士団長になる先輩、裁判官になる秀才の同級生、飛び級で高等科に入ってくる天才ショタの全4人。特にぶっ飛んだキャラも居ないし、シナリオも普通でヤンデレとかのエンディングはなかった……筈。
まぁ後日配信で増えるって宣伝してた隠しキャラがあと二人居るはずなんだけど、とんと見当つかないからそっちは無視で!そんなことより、 まさかの大好きな乙女ゲームに転生なんてこれはもう、ゲーム中もずっとお近づきになりたくて仕方なかったのにルートが無くて泣く泣く諦めてたあの方の攻略を頑張れって言う神様の御告げよね!!早速会いに行かなくちゃ!丁度今日は入学式だからメインヒーローとの出会いイベントがある、そこで上手くやれば出てきてくれる筈よ!
「ーっ!?あぁミーシャ、どこへ行くんだい!?帰りの馬車はあっちだよ!」
「ごめんねお父様、私帰る前に色々学院を見て回りたいの!」
入学式が終わるなりお父様にそう告げて、ダッシュで走って校舎裏の森へ。すぐに辺りは完全に木ばっかりになり、帰り道もわからなくなった。思わず笑いが溢れる。
「ふふふふふふふ……、やったぁ!見事な迷子だわ!」
ばんざいしてピョンピョンと跳び跳ねてはしゃぐ。ここがヒーローとヒロインの第一の出会いの現場なのだ!ちなみに選択肢が『不安な気持ちを吹き飛ばす為に歌いながらその場で踊る』と『現在地を知る為にまずは木に登って辺りを見てみる』の二つあって、選んだ方によって片方はいきなり王子様にお姫様抱っこされるスチルイラストが見れて、失敗を選ぶといきなり悪役令嬢に叱られる。私が狙うのはもちろん後者だ!
迷わず一番背の高い木に上ることにした。前世のあだ名は“うり坊”だったけど、豚もおだてりゃ木に上るのよ!スルスルスルスル……と、あっという間にてっぺんについた。
よし!後はここから落ちるのみ!
「って高っ!ひぇぇぇぇっ、流石に飛び降りるとかムリムリムリーっ!!!」
バッと下を見て、あまりの高さに木の幹にしがみつく。しまった!調子にのって高い木を選びすぎた!
降りらんないよ、どうしよーっ!
「ん?ミシっ……?」
乗っていた枝から聞こえたその不吉な音に冷や汗が止まらない。まさか……と思った瞬間、バキッと枝が折れて真っ逆さまに下へと落ちた。
「嘘でしょーっっっ!?」
まさかの転生一日目にしてヒロイン終了のお知らせ!?
「君、危ない!」
男の子の声と同時にドンッと衝撃は受けたけど案外痛くない。あれ?と目を開くと、私の下敷きになったイケメンが痛そうに顔を歪めていた。ってこれ、メインヒーローの王子様じゃないの!いや、流れ的にはイベント通りなんだけどね!
「ごっ、ごめんなさい、大丈夫!?」
「あ、あぁ、大丈夫だ。君こそ、怪我はないかい?」
慌てて退いた私に、翡翠色の目を優しく細めた王子が微笑む。普通の女の子ならこれだけでイチコロなプリンスの微笑みだけど、ゲームで彼のルートも既に三桁周回プレイした私からしたら恋のトキメキより『おぉぉぉっ、本物だぁぁぁっ!』って言う感動の方が大きい。
喜びでにやけそうになる顔を一回両手でパンッと叩く。王子がぎょっとした顔をしたけど気にしない、にこっと笑って彼に向き直った。
「下敷きにしちゃってごめんなさい!助けてくれてありがとう!!」
「構わないよ、偶然居合わせただけだから。怪我がなくて何よりだ」
「我が国の王太子殿下を下敷きにしておいてそんな軽い一言で済ませるおつもり?貴女、口調も所作も、礼儀もなっていないのね」
「ーっ!!」
凛と響いたそのハスキーな声に振り向いて、時間が止まった。背後に現れた、プラチナブロンドのストレートヘアにサファイアみたいな深い青の瞳の美少女。
ゲーム中も大好きで大好きで、攻略したくてたまらなかった彼女は、しゃんと背筋を伸ばし腕組みをして冷たい眼差しで私を見ていた。
~第2話 転生ヒロインは入学早々王子を下敷きにする~
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